必然は偶然、偶然は必然 第十九話
「皆様は鏡窟の中へお進みください!謡将達は奥にいると思われます!道中の神託の盾は私達が抑えますので決着は皆様で!」
「あぁ!すまないフリングス少将!」
・・・それで神託の盾がここにいるかもわからない事に賭けの要素があった訳だが、それもなく決戦に望める。そんな状態になった事に華を添えるかのようフリングスが自身らを先に行かせるために剣を抜きながら叫ぶ姿に、ルーク達は礼を言いながら鏡窟の奥へと走り出した。
・・・それで奥の方のフォミクリー装置のある場所にまで一気に走り抜けたルーク達。
「・・・貴様ら!何故ここに!?」
「決着をつけに来てやったぜ、お前らとな!」
・・・そこにいたのは数人の神託の盾兵士を周りにつけたヴァンにシンクにラルゴの三人。
駆け抜けてそこまできた一同にラルゴの驚きの声が響き渡れば、向かい合うルークは威勢よく啖呵を切って剣を抜く。それに倣って一同も一斉に戦闘体勢に入る。
「・・・ルーク・・・」
「今更気色悪い師匠ヅラはやめようぜ、セ・ン・セ?こっちはもうとっくの昔にあんたに対しての情は切り捨ててんだ。もう一度うまく言いくるめて捨てゴマにしようなんて都合のいいもんにこっちは付き合う気は更々ないんだよ」
「・・・何だと・・・っ!」
そんな中でヴァンが戸惑いながらもいかにも優しい師匠と言った声色で話しかけようとするが、すかさず皮肉めいた笑みを持って中身を聞きもせず切り捨てる。その答えに一気にヴァンの表情が素の怒りに満ちたものに染まる。
「安い挑発に乗らないでよヴァン、あんたらしくないよ・・・まぁらしくないって言えば、そっちにも二人いるけどね」
「私達の事か・・・確かにヴァンの所にいた頃の私ならこちら側につくことなど有り得ない事であっただろう。だが今は違う・・・今の私は新たに未来を作る為にこちら側にいるのだ。ヴァンの望む形での預言の解放とは違う未来の為に」
「アリエッタも同じ、です・・・アリエッタ、ルーク達に会って大事な物、増えました。でも謡将は今も見た、ですけどルークの事認めようとしなかった、です・・・だから戦う、です。謡将を止める為に」
「・・・ふーん・・・二人とも戻る気はないようだね・・・」
その姿にシンクが軽い口調でなだめる声をかけつつ裏切ったと見なした二人に皮肉を向けるが、リグレットもアリエッタも共に真っ直ぐな眼差しを向け強く自身の意志を告げて返してきた事でどこか苛立たしげに納得の声を上げる。
「出来れば降伏して欲しいというのが僕の望みですが、貴殿方がその言葉だけで易々と降伏してくれるとは思っていません・・・ですから戦わせていただきます。貴殿方を止める為に」
「・・・フッ、それは構いませんよ導師。ですがその構えを見る限りでは自ら戦うように見えますが?それも杖も使わず、素手という形で・・・」
「・・・気遣いはいりませんよ。これは僕が選んだ戦い方ですから・・・」
今度はその会話の中に入ってイオンが自らの決意を口にするが、その手にイオンがいつも使っていた杖の姿がなく格闘をするといった構えを見せていることに少し気を落ち着けたヴァンが冷笑を浮かべる。しかし当の本人であるイオンは全く気にした様子を見せずに三人を見据える。
・・・イオンが杖を持っていないのは対シンクの為に講じた考えからである。
シンクと戦う事を考えた時にイオンからしてネックだったのは杖を持つことによる、攻撃速度の低下だ。格闘スタイルを確立しているシンクに接近されるということは杖ではかなり致命的である。見た目的にも実用性から見ても杖は近接用に仕立てられた武器ではなく、あくまで術の補助及び護身用の武器というのが大抵の杖の使い方だ・・・その点ではティアとアニスも杖で直接殴って攻撃をしないというのは共通しているし、ハロルドは二人と違い打撃系の技を使っていたりもしたがあくまでメインは術の攻撃で接近戦を主体としているわけではない・・・そんな武器を使いシンクと接近戦を挑むのはイオンにとっては自殺行為と言えた。
・・・故にイオンは杖を封じたのだ、セネルとの稽古を信じシンクに勝つ可能性を高める為に。
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「あぁ!すまないフリングス少将!」
・・・それで神託の盾がここにいるかもわからない事に賭けの要素があった訳だが、それもなく決戦に望める。そんな状態になった事に華を添えるかのようフリングスが自身らを先に行かせるために剣を抜きながら叫ぶ姿に、ルーク達は礼を言いながら鏡窟の奥へと走り出した。
・・・それで奥の方のフォミクリー装置のある場所にまで一気に走り抜けたルーク達。
「・・・貴様ら!何故ここに!?」
「決着をつけに来てやったぜ、お前らとな!」
・・・そこにいたのは数人の神託の盾兵士を周りにつけたヴァンにシンクにラルゴの三人。
駆け抜けてそこまできた一同にラルゴの驚きの声が響き渡れば、向かい合うルークは威勢よく啖呵を切って剣を抜く。それに倣って一同も一斉に戦闘体勢に入る。
「・・・ルーク・・・」
「今更気色悪い師匠ヅラはやめようぜ、セ・ン・セ?こっちはもうとっくの昔にあんたに対しての情は切り捨ててんだ。もう一度うまく言いくるめて捨てゴマにしようなんて都合のいいもんにこっちは付き合う気は更々ないんだよ」
「・・・何だと・・・っ!」
そんな中でヴァンが戸惑いながらもいかにも優しい師匠と言った声色で話しかけようとするが、すかさず皮肉めいた笑みを持って中身を聞きもせず切り捨てる。その答えに一気にヴァンの表情が素の怒りに満ちたものに染まる。
「安い挑発に乗らないでよヴァン、あんたらしくないよ・・・まぁらしくないって言えば、そっちにも二人いるけどね」
「私達の事か・・・確かにヴァンの所にいた頃の私ならこちら側につくことなど有り得ない事であっただろう。だが今は違う・・・今の私は新たに未来を作る為にこちら側にいるのだ。ヴァンの望む形での預言の解放とは違う未来の為に」
「アリエッタも同じ、です・・・アリエッタ、ルーク達に会って大事な物、増えました。でも謡将は今も見た、ですけどルークの事認めようとしなかった、です・・・だから戦う、です。謡将を止める為に」
「・・・ふーん・・・二人とも戻る気はないようだね・・・」
その姿にシンクが軽い口調でなだめる声をかけつつ裏切ったと見なした二人に皮肉を向けるが、リグレットもアリエッタも共に真っ直ぐな眼差しを向け強く自身の意志を告げて返してきた事でどこか苛立たしげに納得の声を上げる。
「出来れば降伏して欲しいというのが僕の望みですが、貴殿方がその言葉だけで易々と降伏してくれるとは思っていません・・・ですから戦わせていただきます。貴殿方を止める為に」
「・・・フッ、それは構いませんよ導師。ですがその構えを見る限りでは自ら戦うように見えますが?それも杖も使わず、素手という形で・・・」
「・・・気遣いはいりませんよ。これは僕が選んだ戦い方ですから・・・」
今度はその会話の中に入ってイオンが自らの決意を口にするが、その手にイオンがいつも使っていた杖の姿がなく格闘をするといった構えを見せていることに少し気を落ち着けたヴァンが冷笑を浮かべる。しかし当の本人であるイオンは全く気にした様子を見せずに三人を見据える。
・・・イオンが杖を持っていないのは対シンクの為に講じた考えからである。
シンクと戦う事を考えた時にイオンからしてネックだったのは杖を持つことによる、攻撃速度の低下だ。格闘スタイルを確立しているシンクに接近されるということは杖ではかなり致命的である。見た目的にも実用性から見ても杖は近接用に仕立てられた武器ではなく、あくまで術の補助及び護身用の武器というのが大抵の杖の使い方だ・・・その点ではティアとアニスも杖で直接殴って攻撃をしないというのは共通しているし、ハロルドは二人と違い打撃系の技を使っていたりもしたがあくまでメインは術の攻撃で接近戦を主体としているわけではない・・・そんな武器を使いシンクと接近戦を挑むのはイオンにとっては自殺行為と言えた。
・・・故にイオンは杖を封じたのだ、セネルとの稽古を信じシンクに勝つ可能性を高める為に。
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