必然は偶然、偶然は必然 第十九話

「・・・うん、悪くないわ!妹って私にはいなかったから分からなかったけど、こんな気持ちなのね!」
「は?・・・いや、それでいいのかハロルド・・・?」
「別にいいじゃない、あんたが姉妹みたいだって言ったんだし」
それで顔を上げて見せたのは爽快そうな笑顔。予想外な反応にディムロスは面食らったように顔を見るが、ハロルドは全く気にした様子を見せずにアリエッタに笑顔を見せる。
「それとも、アリエッタはハロルドがお姉ちゃんじゃ嫌かしら?」
「えっ、あの・・・嫌じゃない、です・・・!」
「う~ん、可愛い~!」
‘ギュッ’
「~~~っ!」
(・・・カーレル、なんだろうなこの光景・・・今のハロルドの姿を見たら、お前はどう思う・・・?)
それでアリエッタにどう思うと聞くハロルドだが、恥じらったように頬を赤くして嫌じゃないと返され勢いよく抱き着く。その行動にアリエッタは更に頬を赤くする中、ディムロスは遠い目でかつての友を思い現実逃避をする。
「・・・クラトス、ここ出ないか?」
「・・・あぁ、邪魔するのも無粋だろう。外に出るか」
「そうしよう・・・」
そんな光景を見ていたセネルとクラトスは二人近寄ってコソコソ会話をした後、そっとその部屋を後にする。ただ呆然としてるディムロスを残して・・・















・・・そんな、各々の個性的な夜を過ごしたルーク達。時間が経ち各々がバラバラながらも部屋のベッドに戻り、眠りにつく。



・・・そして決戦当日となった朝、領事館の前に出たルーク達は後ろにマルクト兵士達をつけたフリングスと顔を合わせる。



「・・・おはようございます、皆様。よく眠れましたか?」
「はい、とても」
「それはよかった・・・では早速今日の予定を発表してよろしいですか?」
「はい、お願いします」
それで丁寧で爽やかな笑みを浮かべ挨拶をするフリングスにイオンが同じく笑みで答えた後、フリングスは真面目に表情を引き締め今後の予定を言ってもいいか確認する。それに応えるようイオンも真面目に表情を引き締める。
「これより船でワイヨン鏡窟に向かう訳ですが、アルビオールと船ではその航行速度に差が多いにあります。それでアルビオールで行った方が早いというのは分かりますが、流石にアルビオールに最大限乗れる程度の人員で謡将率いる神託の盾を相手にするのは危険です。ですので皆様は私達と共に船に乗り、アルビオールには後に来ていただきたいと思ってます」
「アルビオールは後に、ですか・・・?」
「もしアルビオールで先にワイヨン鏡窟に向かえば人数の関係で神託の盾がなだれ込まれてアルビオールを占拠もしくは破壊した場合、相当厄介な事になりかねません。ですので危険を避けるためにも出来る限り船の進行速度に合わせてアルビオールには来ていただきたいのです。そして事が済んだ後で、後に来たアルビオールで皆様に帰っていただきたいと思ってます」
「・・・そう言うことですか、分かりました。僕はそれでいいですが、ルークもそれでいいですか?」
「あぁ、俺も大丈夫だ。まぁちょっと俺達だけ先に戻るってのもなんか悪い気はするけどな・・・」
「いえ、気にしないでください。元々アルビオールはキムラスカの物でルーク様が持ってきた物ですし、神託の盾との戦いの後始末がありますからそれに皆様を付き合わせる訳には参りませんから」
「っ・・・そう、ですか。心遣い、感謝します」
次にフリングスはアルビオールの事を切り出すが、その中身にイオンは何故と首を傾げる。だがその理由が配慮に満ちた物であることにイオンは納得したが、ルークは悪いと頭をかきつつフリングスを申し訳なさげに見る。だが快い笑顔を見せるその好意からの返答に、ルークはたまらず昔のように敬語を漏らして礼を言った。









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