必然は偶然、偶然は必然 第十九話

「それで、その草案とは一体・・・?」
「・・・まぁ彼らを待つまでの間、少し時間があることだからね。私の草案に賛同出来るか、君の意見を聞かせてもらえるかな?無骨な話に付き合わせてしまってすまないけれどね」
「いや、構わない。是非聞かせてくれ」
そんな壮大に見える考えにリグレットは聞きたいと真剣にウッドロウを伺えば、意見を聞きたいと言った上でこんな話を聞かせて申し訳ないと微笑を浮かべる。しかしリグレットは自身で否定しているよう、その話を聞きたいという空気で真剣にウッドロウを見つめていた。















・・・そして一方領事館にてルーク達にあてがわれた部屋の中、残りのメンバーは一同集まっていた。



「・・・いよいよ明日、なんですね・・・」
「そうだな・・・」
・・・ベッドに腰をかけて人形をギュッと握り締めうつむくアリエッタにその横に座るハロルド、それでクラトス達はそのベッドの周りに立っている。そんな中でアリエッタの呟きにクラトスが答える。
「ヴァン達を倒し終えれば後に残るのは外郭大地の降下に、キムラスカとマルクトとダアトに預言を詠むのを止めるように説得すること・・・それらが済めば私達も元の場所に戻ることになる、ウッドロウを除いてな」
「・・・寂しい、です・・・アリエッタ・・・」
「・・・確かに寂しいけど・・・俺達も元の世界に仲間がいる訳だし、元々全部終わったら帰る予定だったからな・・・」
それで自分達がどのような事をした後で元の世界に戻るのかを言うクラトスにアリエッタは泣きそうな声を上げ、セネルもつられながら辛そうに声を上げながらも帰る意志に変わりはないからと言って聞かせる。
「ま、こればっかりはしょうがないわよ。帰る場所は人それぞれなんだし・・・その点私は自分で帰るつもりだから、クラトス達よりは貴女と長く一緒にいれるけどね♪」
「・・・成功する見込みはあるのか、ハロルド?」
「もっちろん!前の実験結果もあるし、むしろ失敗する確率の方が低いわ!」
「・・・どこまで行くつもりだ、お前は・・・」
それで今度はハロルドが珍しく慰めと自分はしばらくいるという声をかけ、ディムロスが恐る恐ると静かに本当に帰れるのかと再確認をするが全く躊躇なくイケると豪語した事に頭を抱えて視線を背ける。
「・・・ハロルド、しばらく一緒にいてくれる、ですか?」
「もっちろん!なんなら私の作る装置で一緒に私のいた世界に来たっていいのよ?」
「・・・それは、出来ない、です」
「あら?やっぱりこっちの世界の方がよかった?」
「・・・はい」
そんなハロルドにアリエッタは一緒にいることへの期待を込めた瞳を向けてきたので、そこは肯定しつつも自分達の世界へ来るかとの誘いを軽くしてみるが、そこは重く否定で返された為にこの世界への想いがあるのかと聞くとアリエッタはゆっくり頷く。
「クラトス達の言うこともアリエッタ、分かる、です・・・仲間、とは違うかもですけど、アリエッタも一緒にいたい人がいるです・・・ママも、イオン様も、リグレットも、そしてルークも・・・だからアリエッタ、行けない、です。だってハロルドの所に行ったら、会えなくなる、ですから・・・」
「・・・そっか、そういうことならしょうがないわね・・・でもちゃんと考えてて偉いわよ、アリエッタ。そうやって皆の事を想えるんだから」
「・・・はい」
それでアリエッタが語るのは大事な人達、ルークやイオン達への想い・・・その答えを受け取ったハロルドはしょうがないと言いつつ笑顔でアリエッタを誉めて頭を撫で、そのアリエッタも恥ずかしそうながらも確かな笑顔を浮かべる。
「・・・っ!」
「ん?どうしたの、ディムロス?」
「い、いや・・・なんというか、その・・・お前がそんな人を誉めるようなことを言うとは思わなくてな・・・それに今の姿はどこか姉妹に見えるような物があったからつい戸惑ってしまって、な・・・」
「・・・姉妹、ね・・・」
ただそんな姿にディムロスが驚いた表情と共に息を呑んだ音が聞こえたのでハロルドがそちらを向いて何事かを尋ねれば、その訳をらしくないと言った上で姉妹に見えたからと言ってディムロスは視線を背ける。その答えにハロルドは視線を落とし、少し黙って考え込む。








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