必然は偶然、偶然は必然 第三話

「・・・ウダウダしてても仕方ねぇな、どうやってチーグルの森に行くかを考えねぇとな」
「・・・そうですね、考えましょうか」
「・・・うむ」
そんなウッドロウに感化させられ、二人の瞳に決意の炎が静かに灯る。それを見てウッドロウは満足そうにほほ笑む。
「では我らも一緒に考えよう、我々は仲間だからね」
「・・・ありがとう」
そんな二人に優しく協力を申し出、ルークははにかむよううつむき礼を言う。イオンも満ち足りた笑みを浮かべながら頷いている。



・・・ウッドロウの前向きさを伴ったカリスマに感化したルーク達だが、こうやって自然に本音から仲間と言われた事はなかった。故にこんな言葉を当たり前に恥ずかしげもなく送ってくれるウッドロウに対し、気恥ずかしさという物を覚えていた。



(感謝するぜ、ローレライ。こんだけのイイ人を送ってくれたことをさ・・・)
そんなウッドロウと会えた事をルークは心からローレライに感謝する、嬉しさに頬が緩むのを自覚しながら。









・・・それから数十分程どうやってチーグルの森に行くのか、と言う議論が交わされた。
「・・・やっぱイオンがチーグルの森に行こうとしているのをたまたま目撃したっていう感じで合流するしかないか」
「そうでしょうね。いきなり会ってすぐに息があってチーグルの森に食糧盗難の件の探索に行くことになったなんて言えばまずティアは反対するでしょうし、それ以前に今でこれ以上僕がここにいたらジェイドがルークの事に気付き問答無用でタルタロスに連れていきかねませんからね。それが妥当でしょう」
「・・・では明日の早朝寝たティアを起こさないようにしてから、我々と導師が合流と言う事でいいな?」
「「「「あぁ(いいわよ)」」」」
一通り話した後、クラトスの確認の声に皆が肯定の声を上げる。



・・・以前はルークが食糧泥棒と疑われた事から始まり、イオンがそうせざるを得なかった理由を探る為からチーグルの森に行き互いに合流を果たした。だが今回はルークは食糧泥棒には関わってない・・・だからたまたま朝起きたらイオンとティアを抜かしたルーク達は出会い話を聞いてチーグルの森に向かった、と言う体で済ませることとなった。



「そうと決まれば僕はジェイドの元に戻りますね。あまり時間をかけるとろくなことになりそうにありませんからね」
「ああ、じゃあまた明日な」
「えぇ、では・・・」
そして話し合いが終わったからには戻らなければならないとイオンは言い出し、会釈をして部屋を出ていく。
「・・・さて、と。じゃあティアと合流しなきゃならないんだけど・・・だりーなー、アイツに一々説明すんの・・・」
「ねーねー、話聞いてるとティアって相当めんどくさい感じに聞こえるんだけど実際はどんな感じなの?私は又聞き話でしか聞いてないからどんな性格なの?」
その姿を見届け途端にダルそうな声を上げぐったりするルークに、ハロルドがティアの事を聞いてくる。
「あー、一言で言えば間違った認識を持つ夢見る堅物だな。自分の判断が一番正しいって思ってるだけならただの馬鹿で済むんだけど、物事の判断の基準が色々おかしいからなー。話すと長くなるから実際実物見て俺の言葉と照らし合わせてくれよ」
「ふーん、間違った堅物ねー。それだけ聞くとディムロスの方が全然マシね。コイツはただの堅物だから」
「・・・誉めてるようには聞こえんぞ、ハロルド」
それを説明するルークの声にハロルドはディムロスを引き合いに出すが、当人は微妙に顔をしかめて目をつぶるだけに済ませる。
「まぁそれは後で置いとくとして、俺達も一緒に行くって説明する為に早く会っておいた方がいいだろ。今のうちに探して宿に連れてきた方がいいんじゃないのか?」
「んー、そうだな・・・じゃあクラトス、付いてきてくれよ。一応アイツに対しての説明役は必要だしさ」
「ああ、わかった・・・では少し行ってくる」
そんな二人の空気を気にせずセネルがティアとの合流を提案し、ルークはクラトスと共に探しに行くとクラトスもそれを了承する。そしてすぐに戻ると残し、二人は部屋を出ていく・・・









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