必然は偶然、偶然は必然 第十八話
・・・ディムロスが一人目の前で行われている甘い空間に帰界への想いが強まる中、再び場はケセドニアへと戻る。
「・・・ふぅ、ふぅ・・・」
「よしいいぞ、イオン」
「驚いたな・・・イオンがここまで戦えるようになってたなんてな・・・」
「これも今までの訓練の賜物だ」
・・・夜になり街の外に出たルーク達。
その中でイオンは息を荒くしながらも目の前のセネルを前に強い意思を持った視線を向け、そのセネルはイオンを笑顔を浮かべて誉める。その様子に近くにいたルークは素直に感嘆の声を上げ、隣にいたクラトスがその声に当然と言った様子で答える。
・・・イオンとセネルが何をやっているのかと言えば、それはカイツールの夜から時間と隙を見つけては通してやっていた体術の稽古である。ティア達がいる時はティア達を、フリングスがいる時はフリングスを警戒していたがそれでもイオンの強い意思により稽古は続いて行われていた。
しかししばらくイオン達から離れて行動していたルークからしてみればどれくらい腕を上げたのか、それが分からなかったが為に夜になって人がいない時間を見計らって行われるイオン達の稽古に立ち会ったのだが・・・予想以上の成長にルーク達は目を見張った。
「・・・信じられない、です。イオン様があんな風に戦う、なんて・・・」
「それも全て後の事を含めた上で、ヴァン達との決着をつけるために自分が避けてはならないことだと導師は言っていた。特にシンクとは自身で相対せねばならない、ともな」
「・・・シンク、ですか・・・アリエッタ、聞いた、です。シンクもイオン様のレプリカだって・・・」
そんな光景に今度はアリエッタが愕然とした様子で呟くが、クラトスから引けない想いがあるからこそとシンクの名前も引き合いに出されたことで沈痛な様子に変わる。
・・・かつてルーク達の経験した結末を聞いた時、アリエッタはシンクも被験者イオンのレプリカであることを聞いていた。その身の上を聞いたアリエッタは今までにないくらいに同情を覚えていた。
「ヴァン達と対すると言うことは同時に、シンクと対する事を意味する・・・だからこそ導師は自身の意思でシンクと向き合うことを決めた。戦って様々な物と決着をつけるためにな」
「決着・・・それは避けられない、ですか?もう・・・」
「導師は話し合う事を求めるだろう。だがシンクはそれを求めはしない。自身を理不尽に産み出し捨てた預言に世界への復讐が目的なのだからな。だからシンクを止めるにはどうなるにせよ、その目的を諦めてもらう必要がある。その為にも一先ず我らとヴァン達の戦いに決着をつけねばならぬ、そうでなければシンクに言葉は届かないだろう。そこからになる、わかりあうためにはな」
「・・・決着をつけてから、ですか・・・」
それで話を続けるクラトスにアリエッタが別の道の可能性を問い掛けると、何はともあれ決着が必要だと返された事でその瞳に次第に力がこもっていく。
「・・・アリエッタも、やってみる、です。やらなきゃダメなら、やってみたい、です。ルークやイオン様と、皆一緒に・・・!」
「・・・そうか」
それでまっすぐと言葉に紡いだのは決意、シンクとわかりあう為の。その決意を見てクラトスはただそっと笑みを浮かべ、言葉少なく受け入れた。
望んだ愚者との別れは壮大に済ませた
次に控えるは滅びを望む者達との戦い
交錯する様々な想い、決着の時は近い・・・
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「・・・ふぅ、ふぅ・・・」
「よしいいぞ、イオン」
「驚いたな・・・イオンがここまで戦えるようになってたなんてな・・・」
「これも今までの訓練の賜物だ」
・・・夜になり街の外に出たルーク達。
その中でイオンは息を荒くしながらも目の前のセネルを前に強い意思を持った視線を向け、そのセネルはイオンを笑顔を浮かべて誉める。その様子に近くにいたルークは素直に感嘆の声を上げ、隣にいたクラトスがその声に当然と言った様子で答える。
・・・イオンとセネルが何をやっているのかと言えば、それはカイツールの夜から時間と隙を見つけては通してやっていた体術の稽古である。ティア達がいる時はティア達を、フリングスがいる時はフリングスを警戒していたがそれでもイオンの強い意思により稽古は続いて行われていた。
しかししばらくイオン達から離れて行動していたルークからしてみればどれくらい腕を上げたのか、それが分からなかったが為に夜になって人がいない時間を見計らって行われるイオン達の稽古に立ち会ったのだが・・・予想以上の成長にルーク達は目を見張った。
「・・・信じられない、です。イオン様があんな風に戦う、なんて・・・」
「それも全て後の事を含めた上で、ヴァン達との決着をつけるために自分が避けてはならないことだと導師は言っていた。特にシンクとは自身で相対せねばならない、ともな」
「・・・シンク、ですか・・・アリエッタ、聞いた、です。シンクもイオン様のレプリカだって・・・」
そんな光景に今度はアリエッタが愕然とした様子で呟くが、クラトスから引けない想いがあるからこそとシンクの名前も引き合いに出されたことで沈痛な様子に変わる。
・・・かつてルーク達の経験した結末を聞いた時、アリエッタはシンクも被験者イオンのレプリカであることを聞いていた。その身の上を聞いたアリエッタは今までにないくらいに同情を覚えていた。
「ヴァン達と対すると言うことは同時に、シンクと対する事を意味する・・・だからこそ導師は自身の意思でシンクと向き合うことを決めた。戦って様々な物と決着をつけるためにな」
「決着・・・それは避けられない、ですか?もう・・・」
「導師は話し合う事を求めるだろう。だがシンクはそれを求めはしない。自身を理不尽に産み出し捨てた預言に世界への復讐が目的なのだからな。だからシンクを止めるにはどうなるにせよ、その目的を諦めてもらう必要がある。その為にも一先ず我らとヴァン達の戦いに決着をつけねばならぬ、そうでなければシンクに言葉は届かないだろう。そこからになる、わかりあうためにはな」
「・・・決着をつけてから、ですか・・・」
それで話を続けるクラトスにアリエッタが別の道の可能性を問い掛けると、何はともあれ決着が必要だと返された事でその瞳に次第に力がこもっていく。
「・・・アリエッタも、やってみる、です。やらなきゃダメなら、やってみたい、です。ルークやイオン様と、皆一緒に・・・!」
「・・・そうか」
それでまっすぐと言葉に紡いだのは決意、シンクとわかりあう為の。その決意を見てクラトスはただそっと笑みを浮かべ、言葉少なく受け入れた。
望んだ愚者との別れは壮大に済ませた
次に控えるは滅びを望む者達との戦い
交錯する様々な想い、決着の時は近い・・・
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