必然は偶然、偶然は必然 第十八話

「ま、何はともあれ数日はこのケセドニアにいるんだ。しばらくはジッと待ってようぜ」
「そうですね。フリングス少将が帰って準備が整うまでは僕達もしばらく待たないといけませんし」
そんなある意味お約束なやり取りをしたのを見てルークが明るく笑顔を見せ、イオンもそれに同意して頷く。












・・・そんな風にルーク達がケセドニアでゆっくりすることを決めた中、グランコクマに行くことになったウッドロウ達はアルビオールの中にいた。



「・・・ヴァンとの決着の時、か」
「やはり想うところはあるのかな?」
「・・・それは、ないと言えば嘘になるな」
・・・通路を挟んで隣り合わせに座っていたウッドロウとリグレット。そんな状況でふと漏れ聞こえてきたリグレットからの重い声に、ウッドロウが反応して声をかける。
「元々私も神託の盾の一員として活動していた身だからな。ヴァンの理想の為・・・それを打倒する事になった今となって、少し緊張している。まがりなりにも一緒に同じ目標を見据えて活動していたのだからな・・・」
「大丈夫かい?」
「・・・あぁ、戦いになれば迷いは見せん。ただそろそろと思うと、少し感傷的な気持ちがな・・・」
「・・・そうか。君なら大丈夫だとは思うが、無理はしないで欲しい。君に何かあれば、私も悲しいからね」
「っ・・・ウッドロウ・・・!」
それで重く自身の内情を吐露する姿にウッドロウが包み込むような優しい笑みを見せれば、リグレットは頬を一瞬で赤く染め視線を背ける。
(・・・なんだ?この空気の甘さは・・・この二人、いつの間にこんな関係になっていた?・・・まるで恋人のようではないか)
・・・そんなやり取りを後ろの座席に座って見ていたディムロスは一人、内心で微妙な思いを抱いていた。自分だけ何か疎外感を受けているような、そんな思いを。



・・・ディムロスは知るよしもないが、ウッドロウはクラトスの言葉を受けリグレットと真剣に対することを決めた。その結果ウッドロウは自分に関わってくれるリグレットを仲間としてというのもだが一人の女性としても見るようになり、リグレットもまた今までとは違う一つ線を引いたような態度からウッドロウがその線を取り除いた事で自分の元に不意に飛び込んでくれる姿に内心ドキドキするようなことが度々起きていた。

そしてそれは端から見れば女性に対して完璧なエスコートをする男性という、恋人同士に見えても全く遜色ない代物・・・今まで一緒にいて経緯を知ってその姿に慣れているイオン達と違い、久しぶりに会ったディムロスが戸惑うのは当然と言えた。



(・・・まぁ色恋沙汰は個人の自由、少々意外ではあったがそれを止める理由は私にはないか・・・私も一応は、アトワイトと恋仲の身だからな・・・・・・アトワイト、君が待っていてくれているかは分からないがそろそろ君の元に戻ろう・・・!)
・・・しかしディムロスとて大人として分別は弁えている身であり、自身もアトワイトという恋人を持つ身。そして普段は抑えてこそいるが、他人を羨む気持ちも持っている。



目の前の甘いやり取りを見ながらディムロスは内心で元の世界に戻る決心を強めていた。らしくもなく恋人であるアトワイトへの想いに馳せる形で・・・







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