必然は偶然、偶然は必然 第十八話

「じゃあフリングス少将、もしグランコクマに行って事情を説明して許可を取りたいというならアルビオールを使ってくれ。操縦士のギンジには俺が協力するようにって言ってたって伝えるようにするから」
「それは、ありがたいのですが・・・よろしいのですか?」
「あぁ、こう言ったのは早い方がいいからな。説明と護衛役に・・・そうだな。ディムロスとウッドロウとリグレット付けるから、遠慮なくアルビオールを使ってくれよ」
「・・・ありがとうございます。心遣い、ありがたく承ります」
それで続いてルークがアルビオールを使うように進言すれば、最初は固辞しようとしたが三人を付けるとまで言う積極的に協力をすると言われてフリングスも観念したように頭を下げ受け入れると答える。
「では皆様はしばらくこの領事館で過ごしていてください、何か不都合がありましたらなんなりと近くの者に申し付けを。私はすぐにグランコクマに向かいたいと思います・・・ではお三方、よろしいですか?」
「あぁ、問題ない」
「こちらも問題ないよ」
「私もだ」
「では行きましょう・・・失礼します」
それで早速出発せんと気遣いの声を残しつつ三人に確認を取った後、フリングスはルーク達に頭を下げてから三人を連れて外へと向かう。
「・・・なんであの三人を選んだんだ、ルーク?」
「ん?まぁ俺がギンジへの説明役も兼ねてそのままグランコクマに行くって言ったら気を遣いそうだったからな、フリングス少将。だからギンジも顔を知ってるディムロスに話を通してもらうって形にして、後は神託の盾での事の説明役にリグレットが必要と思ったのとウッドロウは顔見せに通信役を兼ねてグランコクマに行ってもらおうと思ってな」
「・・・顔見せ?」
フリングス達を見送った後、人の目が無くなった所でセネルがルークに三人のチョイスの理由を聞くがウッドロウの顔見せという理由に首を傾げる。
「まぁ現状でどっちになるのかってのはまだ決まってないけど、ウッドロウにはキムラスカかダアト内でそれなりの地位についてもらうつもりでいるからな・・・そうなったらピオニー陛下とも顔を合わせる機会が出てくるだろうから、名前と顔を覚えてもらった方がいいかなって思ってさ」
「あ・・・そう言うことか・・・」
その様子にルークが自身の思惑を説明すれば、セネルも目を見開き納得したように声を上げる。だがその顔に少し陰りが浮かんだ。
「・・・でもそう考えるともう、そろそろ終わるんだよな。この旅が・・・」
「・・・まぁ、な。正直、それはあんまり考えたくなかったけど・・・そろそろ終わるんだよな・・・」
それで口にされた別れが近いということを嘆くそのセネルの声に、ルークも自分も同じとしみじみ惜別の想いを表情に浮かべる。
「・・・元々決まっていたことだ、全てが終われば私達が帰る事はな。そして私には元の場に戻りやらねばならぬことがある。その後もこの世界にいねばならぬ理由は私にはない」
「それに別れが惜しいからと言って、貴殿方を僕達のわがままで引き止める訳には行きませんからね。セネル、貴方にも元の世界で待っている方々がいるのでしょう?」
「っ・・・そうだな、いきなり俺が消えたことでシャーリィや皆を心配させてるかもしれないし・・・そう考えたらな・・・」
そこにクラトスが目をつぶりながら元の場所の事を挙げ残る気はないと言い、更にはイオンから待ってる人と言われセネルは自身のいた場の事を思い返し寂しげな表情を浮かべる。
「しんみりすんじゃないわよ、セネル。まだやるべき事はやり終わってないわよ、むしろ次が本番なんだから。ヴァン達を倒すっていう本番はね」
「ハロルド・・・そうか、そうだよな。悪い」
「別にいいわよ、気にしなくて・・・でもどうしてもっていうなら、爪術の仕組みが気になるから少し解剖させてもらえれば「絶対嫌だ!」あら残念」
そこに今度はハロルドが発破をかけるような言葉をかけセネルも思い直して表情を改め謝るが、解剖と出された瞬間凄まじい早さで拒否を示した・・・やはり解剖されるなどという事態はセネルも恐怖心があったようだ。










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