必然は偶然、偶然は必然 第三話

・・・そしてエンゲーブの中に戻ってきたルーク達。
「・・・んー、あれじゃあすぐには無理か。なら先にティアに・・・ってあれ・・・?」
だがローズおばさんの家の前に集まる人混みを前にしてすぐさまの顔合わせは無理かと考え、ルークは合流は後にしようかとウッドロウ達の方に振り向こうとした時、ローズおばさんの家の扉が開くのを見る。
「・・・あれはイオン・・・どうやらこちらに気付いたようだな」
そのルークの目に映ったのはイオンの姿。その姿を同様に確認したクラトスがイオンと周りに分かる程度に呟き、そのイオンがはっとこちらに気付いた様子で笑みを浮かべ導師を気遣って通すよう空けられた道を歩いてくる。そしてルークの前にイオンは立つ、白々しさを感じさせない笑みのままで。
「・・・また会いましたね・・・そちらの方々は?」
「あぁ、腕利きの傭兵だって言うから条件も良かったし雇ったんだよ。あんまここらへんのこと俺知らないしさ」
「そうですか・・・では少し私とお話をしませんか?見たところ旅のお方のようですし、その旅のお話をお聞きしたいのですが・・・」
「・・・あぁ、いいぜ。んじゃ宿の方に行かねーか?ゆっくりと話すなら宿がいいだろ」
「えぇ、そうしましょうか」
当たり障りのない話題を繰り広げながらも二人は自然に宿で話す流れに持っていく。ルークの宿を指差す動作にイオンはコクりと頷き、一同はあるので宿へと向かう・・・






・・・そして宿の中。主にしばらくは誰も部屋の中にいれず、その上アニスに対して自分はここにいないと言う口止めをイオンは頼んだ。そんな状況の中で、ウッドロウ達とイオンは一通り自己紹介を終えた。
「・・・すみません、僕達に協力していただいて・・・」
「いや、構わないよ。それで当面の目的として君と一緒にバチカルに行くために何かきっかけが欲しいのだが、君はやはりチーグルの森に行こうと思っているのか?」
「そうですね。ただ今度は以前と違いライガを倒さないようにしないとアリエッタが悲しみますからね。それが正直悩み所です・・・」
「アリエッタかぁ・・・確かになぁ・・・」
そこからイオンは丁寧に頭を下げるがウッドロウは軽く気にしてないと首を横に振るが、今度は公に合流するきっかけをどうするかと聞かれ返されルークとともにイオンは弱った表情を見せる。



・・・新たな未来を作る事を願う二人にとってティア達は排除する対象であっても、アリエッタに関しては二人も敵対したいとは思っていない。だからこそ以前の流れを汲んでしまえば絶対的に敵対するしかなくなってしまう、そこが二人の悩みの種であった。



「・・・確かに悩むのは分かる。だがアリエッタの為と思いライガを放っておけば、チーグルの森に遅かれ早かれ人の手は入ることになるよ。どちらにせよ明日以外にはチーグルの森には当分行けなくなるのだ、行かない訳にはいかない。私達の合流の為にも、アリエッタの為にもね」
「それは・・・分かってるよ」
「・・・えぇ」
そんな二人の姿にウッドロウが厳しくも穏やかに二人をたしなめ、二人もその言葉を確かに受け止め静かに表情を引き締める。



・・・賢王として名高かったウッドロウの真価は物事を受け止め考える思慮深さと、分け隔てなくその思慮から出た言葉を真摯に人々に力を込めて与えていた事にある。

考えて考えて考えて、ファンダリアの国民の為に考えて出した結論をけして反故にしないよう重い責任感を常にウッドロウは背負ってきた。だが言葉に態度ではそんなものを微塵も感じさせず、寧ろその真摯に物事に常に受け止めるその徹底した立派な王たる姿勢を貫いてきた・・・それは例え王と言えど中々出来る物ではない、言ってみればそれがウッドロウのカリスマであった。



そしてカリスマとは影響力の事である。そのカリスマ性は確かに二人にも影響を与えていた。







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