必然は偶然、偶然は必然 第十八話

「まぁお前に関しちゃな~・・・俺から言うのもなんだし、何か言いたいことあんなら自由に言っていいぞ。全部叩き潰してやるから」
「叩き潰すだと・・・テメェごときが、何を言ってやがる!」
「んー、未だに立場理解してなようだなお前。だってお前散々色々やって来た訳じゃん。タルタロス襲ったりだとかカイツールで俺に襲ったりだとか・・・それでアクゼリュスの時に言っただろ、ナタリアは俺に渡したくないだとか。でも前にも似たような事言ったけどそんなお前ごときがさ、何を言えんだ?マルクトに対してハッキリ敵対行動を取ったのは歴然だし、それも今やピオニー陛下の耳に伝わってんだぞ。んで、そんな行動してんのにお前今更ピオニー陛下と対する形で堂々と出来るのか?」
「っ!?何・・・!?」
それでルークが軽く先手を譲ろうとするが、アッシュは尚も自分が上だと言わんばかりに怒声を上げる。そんな身の程知らずな姿におさらいに加えて今はピオニーもその所業を知っているとルークは告げ、アッシュを戸惑わせる。
「だって俺を廃してもう一回『ルーク』になったなら、必然的にお前が『ルーク』として対しなきゃなんねーんだぞ。それなのにお前が起こした行動を前にピオニー陛下が黙ってられると思ってんのか?それで俺は『アッシュ』なんかと関係無いって誤魔化しなんか今更きかねーぞ、俺だけじゃなくフリングス少将もここにいんだからな」
「そっ、それは・・・」
「言ってみろよ、どうやってお前はピオニー陛下と接するつもりなんだ?・・・お前にとって最悪の展開を簡単に予想してやるけど『アッシュ』の事出されたら泣き寝入りしてマルクトに精神的に下につくか、『アッシュ』なんて知るかって強引に突っぱねるかの二つくらいしかお前に残されてないぞ。それも後者はどうやったって戦争への気運を上げてしまうっていう悪循環付きになる。何せマルクト側には不興を買うしキムラスカ側はそんな濡れ衣を『ルーク』に着せられたって思うんだからな・・・分かるか?お前にとってちょうどいいとこなんてどこにもないんだよ。ましてやナタリアに『アッシュ』の事言われたら例え濡れ衣って主張したって、どうなるかわかったもんじゃねーよ。まぁ最悪はお前を信じられないってナタリアが言って、お前とナタリアの関係が修復不可能になるだろうことだけどな」
「っ・・・っ!!」
その上で追い込むようにピオニーとの関係はどうするのか、更に今までの『アッシュ』の行動の件でキムラスカと・・・特にナタリアに対して酷くまずいアドバンテージを握られているとルークが告げた事で、アッシュの表情はみるみる内に青ざめていく・・・その心中にはキムラスカに戻れないこともだが、それ以上にナタリアの信用が無くなることの恐れがあることは見え見えだ。
「これが戦争だったり国境を巡る小競り合いみたいな戦いでキムラスカ側として戦っていたならまだ戦場での習わしとして、恨み辛みはいいっこなしってなるんだろうけどダアト・・・それも今じゃ神託の盾から除名処分されてるヴァン一味の中で取った行動だからな。その名は犯罪者扱いをされているため、お前がやったことはまず許されることはない」
「えぇその通りです。彼らに貴方を庇うであろうモースは既にダアトで縄についていますし、貴方は僕の下につく気はないと言って僕の庇護をいらないものとした・・・そんな貴方の罪を無いものとするなど、僕が許せるはずもありません。きっちりと罪は償っていただきますよ、アッシュ」
「・・・!!」
そこに更に今までの行動はダアトの名の元で許されることはないとルークに続きイオンも強調して言うと、アッシュは身震いしたように二人を見る・・・その表情だけが強がっていて顔色が悪いために、その状態は端から見れば滑稽であった。









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