必然は偶然、偶然は必然 第十八話

「まぁそんな訳だからさ・・・これ以上話をしなくていいよ。したところで時間が無駄だし。って訳だからさ、もうここからほっぽりだすならほっぽりだしてくれないか?後の話にガイはいても意味ないしさ」
「・・・放り出す、ですか・・・再確認しますがガイ=セシルはもうファブレに、ひいてはキムラスカには関係無いですね?」
「まぁ処分を下した訳だし、こっちからすればガルディオスの生き残りが本当かどうかは別としてそんなことを言うヤツを尚更側になんか置きたくない。だからもうファブレにキムラスカがガイを再度拾い上げる事はない。それは俺が保証する」



「・・・そうですか、安心しました。これで心置きなく、ガイ=セシルをマルクトが捕縛出来ます」



「っ!?」
・・・ルークからの突き放す言葉にガイに衝撃が残る中、更なる衝撃と共に絶望に叩き込む言葉がフリングスより放たれた。ガイを捕縛すると。
「・・・フ、フリングス少将・・・それは・・・」
「・・・もう貴方が本当のガルディオスかどうかなんて関係無い。いやガルディオスの名を名乗られること自体、ガルディオスを侮辱することになる・・・そして貴方をこのまま放逐すれば、マルクトにとってもキムラスカにとっても多大な迷惑を被りかねない行動を取る可能性が高い・・・そんな人を放ってなどおけません、ガルディオスの名を不当に名乗った者として貴方を捕縛します」
「・・・そん、な・・・っ・・・」
たまらずガイは衝撃の残る青い顔のまま異議を唱えようとするが、フリングスが有無を言わさない力を込めた視線と声で罪状までもを告げて覆さないと言われたことで何も返せずにうなだれ膝から崩れ落ちた・・・



・・・ルークの目論見通り、ガイは盛大に自爆した。ガルディオスの名を出したことで。そしてそれは同時にマルクトに捕縛される理由を自ら作った物と同義であった。

貴族及び王族の名を騙るというのはそれだけで罪になる事があるが、それがタチが悪い物と見られればなおのことだ。そう見ればファブレに復讐をするためと目的が簡単に見えるガイをガルディオスとして迎え入れるなど到底許されない事であった、迎え入れることもであるが名前を名乗られることも。今のマルクトからすれば厄介なだけなのだ、こんな都合のいい事を言って取り入ろうとするような人間を迎えることは。フリングスはそう考えてこそ、ガイを突き放して捕縛すると決定した。

・・・ここでもしガルディオスと名乗りさえしなければ、ガイはファブレから追い出されたとは言え自由の身を謳歌していただろう。しかしガルディオスと名乗った事でガイは逃げることが出来なくなったと同時に、ガルディオスに戻ることも名乗ることすらも許されなくなったのだ。それがマルクトの恥となる前に封殺されることで。

・・・これがルークがガイに送る、最高で最低の転落劇だった。自分の身から出た錆で自爆して、ガルディオスとして何も出来なくなるという最悪の状態への招待という結末・・・これからガイはもう何も出来ない、ルークは目の前の姿からそう確信していた。



「・・・まぁもうガイはこっちと関係無いんだ。マルクトが引き取るっていうならこっちは止める理由はない。ガイはそっちで好きにしていいけど・・・とりあえず最後のコイツを片付けてから、二人は改めて牢に入れてもらっていいかな?」
「えぇ、それは」
「・・・っ!」
・・・だがガイを片付けてもまだ後一人残っている、それがアッシュだ。ガイから視線を外しフリングスに後で二人を片付けるように頼むルークを、アッシュは力を込めて睨む・・・だが全くそんなものを意に介さず、ルークはアッシュに平然と視線を向けた。









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