「・・・それに貴方がファブレの使用人であったという事実・・・これは貴方がガルディオスであったというのが真実なら、それは由々しき事態になります。それはすなわち、ガルディオスがファブレに復讐をしようとしたことの確固たる動機という事になるのですから・・・！」
「・・・ガイ・・・！」
そしてフリングスがガイの取った行動がいかに重大かを言えば、アッシュがその重大さに検討違いの怒りのこもった視線を向ける。
「・・・フリングス少将・・・」
「・・・何ですか？」
「・・・確かに俺はガルディオスの事を言い訳に使ったかもしれない・・・でももうそんなことはしない、だから今言った事は大目に見てくれないか・・・頼む・・・！」
だが当のガイはそんな視線など全く意に介さず、そればかりか同情してくれと言わんばかりに今の話を無かったことにしてほしいと頭をフリングスに下げた・・・ここまで来るといっそ清々しい程の都合のいい頭の造りと言えるだろう、自分の事は全て許されて然るべきだという思い込みが強すぎるのだから。



・・・だが目の前にいるフリングスがそんなことを許すはずもない。
「・・・その事を許して何をしろというのですか？マルクトにガルディオスとして復帰するように働きかけろというのですか？それともマルクトの公認の元、ファブレに復讐をする事が出来るとの許可が欲しいのですか？」
「・・・それは・・・もうファブレの復讐をする事は俺は出来ないと思ってます。だからガルディオスとして俺を迎え入れてもらえれば・・・」
「どちらもやれるはずがないだろう！普通に考えてそんなこともわからないのか、貴様は！？」
「っ！？」
そんな頭を見るフリングスは静かにどうしてほしいのかと選択肢を上げ、ガイは頭を上げ下手に出ながらも妥協案を形振り構わず告げようとする・・・だが瞬時にその甘い答えに対し激昂しながら言葉を荒げて返したフリングスに、ガイはビクッと驚き言葉を途中で止めさせられた。
「貴様は貴族をなんだと思っている！？貴族の名というのはその名を背負うだけで重い責任が生じるものだ！だが貴様はその事を全く分かっていない！」
「お、俺が分かってないって・・・」
「ならば！貴様はガルディオスとして恥じない行動をしたというのか！？今までファブレにただ恨みの為に潜入していたというお前はマルクトの為に何をした！？ガルディオスはマルクトの貴族だ、貴様がそう名乗るなら何かをしていて然るべきだろう！」
「っ！・・・それ、は・・・」
貴族としての責任と行動、フリングスから激しく問われたその二つにガイは返す言葉を失った。それもそうだろう、ガイはマルクトの為に貴族として本当に何もしていないのだから。
（・・・まぁここまで来ればいいか、もうフリングス少将もガイは救いようがないって思っただろうし）
「・・・返す言葉もないか」
「もういいよ、フリングス少将」
「ルーク様・・・」
そんな様子に心底軽蔑した様子を浮かべるフリングスに、ここで様子を見守っていたルークはとどめを刺すべく声をかける。
「ガイにこれ以上何言ったって無駄だよ。なんだかんだ言ったって結局コイツ、自分の思うような展開になってくんなきゃ満足も納得もしねーんだから」
「っ！ルーク・・・」
それで自然とフリングスからバトンタッチしたルークが素直に今抱いているガイの印象を口にすれば、最大限にショックを受けたように目を見開いた。











．