必然は偶然、偶然は必然 第十八話
(そしてその臣下一同よりの怒りを買ったが故にカーティス家もジェイドに見切りをつけたのでしょうね・・・)
・・・その上でもう一つの処遇、カーティス家よりの勘当を受けたことにイオンは自身の中で冷静にその理由にあたりをつける。
「・・・そしてもう一つ、カーティス家からの書状ですがマルクトの上層部よりの決定を受け貴方にカーティスの名を名乗らせる訳にはいかないと判断を下したものです。そしてこの決定はカーティス家よりマルクトの上層部にも伝わっています・・・つまり貴方はカーティスの名はもう名乗ることは出来ない、という事です」
「・・・っ!」
そんなイオンの見守る中でフリングスは改めて書状を持ち変えてカーティス家からの書状を突きだし、それが嘘ではないとその結論に至った経緯を話す。
・・・そもそもの話でジェイドがカーティス家より養子として引き取られたのは、優秀な子供であったジェイドをマルクト帝国軍の名家であるカーティス家が引き入れる為である。その意味合いとしては跡取りを求めてというより、才能を青田買いするためという意味合いが強い。そうでなければ12歳という年齢の子供を養子としてなど迎えはしないし、ましてやそんな子供を当主としてハナから育てるなど普通は有り得る訳がない。
いくら将来有望とはいえ子供が潰れる可能性は十分に考えられるのだ、良く知らない子供に対して全てを賭けるような賭けには出ないだろう。そしてそうであったならかつての過去のジェイドが38歳以降になっても結婚をせず、子供を作らなかった事はおかしいと言わざるを得ない。養子とは言え当主なのだ、家庭に跡取りを作るのは当主としての重大な責務に他ならない。
・・・ここに、カーティス家がマルクト軍の名家と呼ばれるに至った由縁がある。ある程度見込みのある子供を養子か身請けとして集め、その子供達にカーティスの名の元で軍に入り込んでもらい活動してもらう。そんな中で飛躍的な出世をすればカーティスの名が更に上がり、大した活動をしていなくてもそんな凡庸な子供を引き入れている器の大きい家として見られる・・・つまりどちらに転んでもカーティス家にはそんなに損はないのだ、子供達がそこまで活躍しなくても。事実カーティス家はそうやってマルクト内で地位を上げ、名を売れるのだから。こういったやり方も一種の成り上がりかたであるし、資本も充実した名家だからこそ出来るやり方だ。
だがいくら名家で寛容であると見せる為とは言え、許せないことは当然出てくる・・・それがピオニー以下のマルクトの重臣達の期待をことごとく裏切り、大佐の地位を降格ではなくそのまま軍を止めさせられた事への怒りである。そのような不名誉な事は軍の名家であったカーティス家からしてみれば耐え難い事であり、軍属でなくなることはその存在意義を失わせる物であった。現カーティスの血を引く当主にしてみれば、養子として優秀だったジェイドを手放してもいいと思えるほどに・・・
「・・・カーティス家はもう貴方の存在を認めてはいません。せめて貴方がもう少しでも道理を弁えていたなら、このような事態にはなってはいなかったでしょうね・・・」
「・・・もう私には何も残っていないんですね、地位も家も・・・ピオニーも、何もかも・・・それも全て、私自身のせい・・・」
「・・・そういう事になります」
・・・マルクトの上層部、自身を養子として迎え入れた家、そして立場を越えた友。一人の人間として常識の元に、守られてきたものから見放された。
その事実に気付かされたジェイドは力なくうなだれた、フリングスの厳しくも寂しい視線をその頭に受けながら・・・
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・・・その上でもう一つの処遇、カーティス家よりの勘当を受けたことにイオンは自身の中で冷静にその理由にあたりをつける。
「・・・そしてもう一つ、カーティス家からの書状ですがマルクトの上層部よりの決定を受け貴方にカーティスの名を名乗らせる訳にはいかないと判断を下したものです。そしてこの決定はカーティス家よりマルクトの上層部にも伝わっています・・・つまり貴方はカーティスの名はもう名乗ることは出来ない、という事です」
「・・・っ!」
そんなイオンの見守る中でフリングスは改めて書状を持ち変えてカーティス家からの書状を突きだし、それが嘘ではないとその結論に至った経緯を話す。
・・・そもそもの話でジェイドがカーティス家より養子として引き取られたのは、優秀な子供であったジェイドをマルクト帝国軍の名家であるカーティス家が引き入れる為である。その意味合いとしては跡取りを求めてというより、才能を青田買いするためという意味合いが強い。そうでなければ12歳という年齢の子供を養子としてなど迎えはしないし、ましてやそんな子供を当主としてハナから育てるなど普通は有り得る訳がない。
いくら将来有望とはいえ子供が潰れる可能性は十分に考えられるのだ、良く知らない子供に対して全てを賭けるような賭けには出ないだろう。そしてそうであったならかつての過去のジェイドが38歳以降になっても結婚をせず、子供を作らなかった事はおかしいと言わざるを得ない。養子とは言え当主なのだ、家庭に跡取りを作るのは当主としての重大な責務に他ならない。
・・・ここに、カーティス家がマルクト軍の名家と呼ばれるに至った由縁がある。ある程度見込みのある子供を養子か身請けとして集め、その子供達にカーティスの名の元で軍に入り込んでもらい活動してもらう。そんな中で飛躍的な出世をすればカーティスの名が更に上がり、大した活動をしていなくてもそんな凡庸な子供を引き入れている器の大きい家として見られる・・・つまりどちらに転んでもカーティス家にはそんなに損はないのだ、子供達がそこまで活躍しなくても。事実カーティス家はそうやってマルクト内で地位を上げ、名を売れるのだから。こういったやり方も一種の成り上がりかたであるし、資本も充実した名家だからこそ出来るやり方だ。
だがいくら名家で寛容であると見せる為とは言え、許せないことは当然出てくる・・・それがピオニー以下のマルクトの重臣達の期待をことごとく裏切り、大佐の地位を降格ではなくそのまま軍を止めさせられた事への怒りである。そのような不名誉な事は軍の名家であったカーティス家からしてみれば耐え難い事であり、軍属でなくなることはその存在意義を失わせる物であった。現カーティスの血を引く当主にしてみれば、養子として優秀だったジェイドを手放してもいいと思えるほどに・・・
「・・・カーティス家はもう貴方の存在を認めてはいません。せめて貴方がもう少しでも道理を弁えていたなら、このような事態にはなってはいなかったでしょうね・・・」
「・・・もう私には何も残っていないんですね、地位も家も・・・ピオニーも、何もかも・・・それも全て、私自身のせい・・・」
「・・・そういう事になります」
・・・マルクトの上層部、自身を養子として迎え入れた家、そして立場を越えた友。一人の人間として常識の元に、守られてきたものから見放された。
その事実に気付かされたジェイドは力なくうなだれた、フリングスの厳しくも寂しい視線をその頭に受けながら・・・
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