必然は偶然、偶然は必然 第十八話

「ってな訳なんでな、しっかり受け止めろよこれ。あ、受け取ってねぇとか言われても面倒だからホラ。服に入れといてやるよ」
「・・・っ」
それでルークはその書状を有無を言わさずにさっさとガイのズボンのポケットにねじ込み、否応なしに受け取らせる。嫌がってるようでいて苦痛そうな顔などお構いなしに。
「あ、言い忘れてたけどお前からファブレに対して手紙出しても握り潰されるぞ。当然身元のハッキリしない手紙なんかに偽装して屋敷内の誰かに出してもファブレのセキュリティの関係で中身が検閲されるのお前も分かってるだろうけど、無駄だって一応言ってはおくぜ」
「・・・っ!」
だがその上更に今思い出したと言わんばかりに手紙での接触も出来ないとルークから告げられた時、ガイの表情が一気に曇った物へと変わった。



・・・このようにガイがファブレから追い出された現状でガイが頼れる人材はただ一人、ペールくらいの物だ。だがペールはまず今のガイの状況など知るよしもないし、おそらくファブレ公爵もガイの処分の事は屋敷に伝えてはいないだろう。アクゼリュス行きで全て無に帰すと考えていただろうことで。

だがルークは時間差でもう既にガイの処分を公然の物のようにしていることから、下手にペールに渡りをつけられる訳にはいかないと考えた。そうなれば逆上したガイが何をするか分からなかった為に。故にルークはファブレが手紙などに対しても厳しいセキュリティに守られているといった事をほのめかしたのだ、そうしてもペールには渡らないと示す為に。

ただ何故そうやってあえてガイを厳しく苛烈に罰しないのか、と言えばまだ後に控えている処分があるからである・・・



「ま、とりあえずガイに関しちゃいいか。処分を伝え終えた事だし、次は・・・ジェイド、あんただ」
「・・・っ」
とりあえず。ガイの表情の変化に突っ込まずそう言いながらルークが視線を向けた先にいたのは、次のターゲットと公言され少しピクッと反応したジェイドだった。
「つってもこれは俺から何かを言う訳じゃない・・・フリングス少将」
「はっ、後はお任せください」
だがそこでルークは自らバトンタッチを宣言して後ろに下がり、代わってフリングスが前に出てガイのとは違う書状を懐から取り出す。
「・・・フリングス少将、一体何を・・・?」
「・・・カーティス大佐、いえもう貴方をカーティス大佐とは呼びません。貴方の処分はこの書状に書かれていますが、端的に私からその中身をお伝えします・・・」



「・・・ジェイド=バルフォア。貴方に大佐の地位を剥奪の上でマルクト軍から追放、同時にカーティス家から貴方との親子の縁を切る・・・との決定が下りました」



「なっ・・・!?」
・・・そんなフリングスに慎重に先を促すジェイドだったが、神妙な表情で告げられたその処断に一気にその顔が驚きに染め上げられた。マルクト軍を辞めさせるという宣告と同時に、カーティス家から見放されたという事を旧家名のバルフォアと呼ばれた二重の衝撃で。







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