必然は偶然、偶然は必然 第三話

「それは君を探して、頃合いと思った頃に君一人で私達の元に来てもらおうと思ったからだよ」
「俺一人に?」
その質問にウッドロウは丁寧に答えるが、ルークはまた眉間にシワを作る。
「これから行動するにあたり君と導師の二人に私達は付いていかなくてはならないが、かと言ってティアではいきなり得体の知れない団体を供にすると言ってもまずは煙たがるだろうと思ってね」
「そこで私が一人で小規模な傭兵団を率いる頭としてお前一人と接触し、独自にお前をバチカルにまで護衛する契約を結んだ物としてティアに事後承諾をさせればいいだろうと思い接触の機会を待っていたのだ」
「あぁ、成程・・・」
ウッドロウからクラトスへと説明役がチェンジした話の内容を聞き、ルークは納得の声を上げる・・・どうせいくら言った所で自分が一番何かを隠していると言う立場を棚の上に上げ、ティアは同行人の存在に関してはいい顔をしないだろう。ならいっそ傭兵と言う立ち位置でウッドロウ達と契約したと言った方が後々楽、そう思いながら。
「けど傭兵って言うけど、それらしくやることって出来るのか?」
「その点は問題ない。以前私は傭兵として活動していたからな。報酬に関してはバチカルに着いてからファブレに要求すると言う事で通し、その際にお前がファブレの者であると知っていると言う体裁で我々は通す。ジェイド辺りから細かな条件を聞かれでもしたら私に話を振ってくれれば、私が対処をしよう」
「そうか、わかった」
しかし肝心の傭兵としての経験があるのか、そう聞くルークに歴戦の猛者と言った風格と確かな経験を感じさせるクラトスの返答を聞きこれなら安心出来ると首を盾に振る。
「ただ合流したのはいいけど、これからどうするんだ?確か話を聞くと本来は明日はチーグルの森に行くんだろ?けど今はルークは食糧泥棒に関わってないんじゃないか?それだとイオンと堂々と合流する機会がないだろうし・・・」
「あっ、そっか。そういやそうだったな・・・」
しかしそこでセネルからチーグルの森とイオンとの合流の件に関しての疑問が出され、ルークはその事をどうするかと今思い出す。
「まぁ適当に後で会えばいいんじゃないの~?そのローズおばさんだっけ、村長の人?そこで何か会ったのかってきっかけ程度に聞けば向こうも何か反応してくれるんじゃない?」
「・・・う~ん、それが妥当かな。向こうもさっき俺と一緒にクラトスに会ったから何か示し合わせれば、何か反応はしてくれるだろうし」
そんな声にハロルドは気だるげながらもちゃんとした意見を上げ、ルークもその意見に賛成する。「決まりだな・・・では行こうか、きっかけを逸する訳にはいかんからな」
「うん、そうするか」
ならばとそう聞きディムロスが村に戻ることを提案し、ルークも頷き周りも了承すると、全員エンゲーブの方へと歩き出す・・・
(ほんの1日2日程度の即席パーティーにしては上々過ぎる程の連帯感だな・・・これも全員が同じ方を向いている事によるものか)
そんな中でイクティノスは言葉を出さず、このパーティーのまとまりに感心する。
(とは言え心配だな、だからこそティア達と会えばウッドロウ達の心がガリガリと削られていくのがわかってしまうだけに・・・)
だがその反面まとまっているからこそ、ティア達と一緒にいればウッドロウ達の心労は半端ではないだろうという事もイクティノスは想像出来ていた。
(まぁそこは皆覚悟の上でここに来たのだ、俺も出来る限りは協力していかねばな・・・!)
しかしイクティノスはそれでもやることをやるために来たのだと思い、自身の心を引き締める。






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