必然は偶然、偶然は必然 第十八話

・・・ルーク達とイオン達が再び集まる場所、ケセドニア・・・そのケセドニアにルーク達は一足先に辿り着いていた。






「・・・さて、イオン達が来るまでゆっくり待っとくか。数日中には向こうもここに来るだろうしな」
「あぁ、そうしよう」
マルクト側の宿に入り部屋を取ったルーク達。男と女で分かれた部屋の中で、ルークはディムロスと向かい合う形でベッドに腰掛ける。
‘ガチャ’
「やっほ~♪」
「・・・ノックくらいしろ、ハロルド」
そんな室内に明るく声を出し入室してきたハロルドだが、ノックがないことにディムロスが首を向け疲れたような表情で眉間を寄せる。
「いいじゃないの、別に。それより今時間あるでしょ、ちょっと話に付き合いなさい」
「・・・アリエッタはどうした?」
「あの子は疲れて寝てるわ。何だかんだで慣れないアルビオールに乗り続けて疲れが溜まってたようだし、わざわざ無理矢理起こしてまで連れてくるような話じゃないしね」
「そうか」
そんなディムロスの批難も全く意に介さず話を進めるハロルド。アリエッタがここに来ていない事に気付くディムロスに寝てるから置いてきたと言いつつ話を続けようとするハロルドの姿にそれ以上の追及を止める。
「で、話ってのは何なんだよ?」
「んー、まぁ簡単な事よ。ここでイオン達と合流して色々済ませたら次はヴァン達を倒しに行くようにしない?って言いに来たの」
「は?・・・つーかなんだよ、その物のついでにみたいな言い方。明らかにそんな軽い空気で言うような話じゃねーぞ絶対・・・」
それで早速本題をとルークが催促したがハロルドの返答のその中身が軽さに反比例するよう重かった為、ジト目を浮かべながらルークはハロルドを見る。
「・・・というよりいきなり何を言い出す、ハロルド」
「ほら、ここに来る前ディストが捕まえられたってイクティノスが言ってきたじゃない。流石にヴァン側もディストが捕らえられて未だにアクゼリュスが魔界に落ちてないってなったら、いくらなんでも焦るでしょまず間違いなく。それでなくても向こうはリグレットとアリエッタ、それとオマケのアッシュがいなくなったことで大分戦力も減ってるんだし・・・それでこっちは向こうの戦力を大分削いだどころか、パッセージリングの操作権までも奪ってる。傍目から見たらあたし達の圧倒的有利に見えるけど、勝利を確信した瞬間が一番敗北の確率が上がるものよ。ここでまだ大丈夫なんて楽観視してたら足元をすくわれかねないわ」
「・・・成程、確かに納得出来るな。特にパッセージリングの件に関しては向こうはもう操作が出来なくなっている状況だ。下手にこれ以上時間を長引かせれば手詰まりになりかけていると気付き、形振り構わない手を講じかねんな」
「・・・そう聞くと確かにそろそろ向こうと決着を着けた方が良さそうだな。前みたいに外殻大地全てを魔界に落とそうなんて考えられたら面倒だし・・・」
だが今は話を進めるのが先と話を促すディムロスに、ハロルドは伊達に天才と呼ばれている訳ではない・・・追い詰められた者の立場と追い詰めていく者の立場の在り方を説いた上でそろそろ危険と言えば、ディムロスもルークも共にその可能性に深刻な表情を浮かべ考え込む。









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