必然は偶然、偶然は必然 第十七話

「・・・ではまず、やるべき事をやりましょう。とりあえず一つ、確定している事はモースの処置をはっきりつける時期についてですが・・・これは前にも言いましたが、ディストの身柄を拘束してからになります。彼さえ捕らえればそれで十分ヴァン達の戦力を削れますから、そこからです。色々とやるのは」
「はい、わかっております。ダアトの街中には所々ディストが戻ってきた場合に備えて見張りの神託の盾を常駐させておりますから、ご安心を」
「そうですか」
それで湿っぽくなった空気を一新するよう真面目に話題をディストの事に振るイオンに抜かりはないとトリトハイムは返し、礼を言う。
‘ガチャッ’
「失礼します・・・あっ、詠師だけでなく導師もここにおられたのですか・・・」
「どうした、何事か?」
「あっ、はい」
するとそこに神託の盾の兵士が入室してきたため一同の視線が集まる中、場の空気に戸惑っていた兵士にトリトハイムが先を促す。
「報告ですが、六神将のディストがダアトに戻ってきた所を捕らえました」
「なにっ?それは本当か?」
「はい、ただいま教会に連れて来ている最中です。私は先に報告の為にこちらに参りました」
「そうか・・・」
「・・・いいタイミングで戻ってきましたね」
そこで兵士から出てきたのはディスト捕縛成功の報告。その報告に真偽を問うトリトハイムに兵士は迷いなく更なる報告を持って返し納得させ、イオンはこのよく出来たタイミングの良さに少しおかしそうに口元を笑ませる。だがすぐにその口元も引き締められる。
「ではちょうどいいのでディストはこのままここに連れてくるようにしてください。すぐに話したいことがあります」
「はっ!そのように伝えてまいります!」
そして引き締めた空気そのままにディストを引き連れてくるように命を下すと、兵士はすぐさま敬礼を返して退出していく。
「トリトハイム、貴殿方は前に言っていたヴァン率いる神託の盾の処置をお願いします。ディストが戻り捕まった今、ヴァン達が戻ってきた後に混乱が起こらないよう早急に後始末を施してください」
「わかりました、では我々はここで失礼します」
そこで次に出したのは詠師陣に向けての指示で、ヴァン達の後始末を命じたものでトリトハイム達はすぐさま頷き一斉に詠師陣は兵士の後に続いて退出していく。
「・・・・・・これでルークの事までもレプリカだって知られるのは避けられますね」
「おや、もしかしてとっさの判断だったのかい?」
「えぇまぁ。流石に話が話ですし突っ込んだ話にならざるを得ませんから、トリトハイム達にいてもらうのは少し遠慮してもらいたかったので外していただきました」
その詠師陣の姿がなくなった事で少しホッとした様子になるイオンにウッドロウが穏やかな微笑みを浮かべれば、微笑み返しをしながら狙い通りと言う。



・・・そう、流石にルークまでもがレプリカと知られたならその処置についてまて面倒になるのだ。とはいってもルークをどうするかではなくむしろ六神将であった本物こと、アッシュの存在にある。何せヴァン達の一員でもあったのだ、おそらくトリトハイム達なら事情を話せば事実を飲み込んでくれるだろうがそこまで引き込む理由はイオン達にはない。だからイオンはさっさと場から出ていってもらうため、早急な対応を取ってもらうように言ったのだ。



「とりあえずディストが来るまで待ちましょう、彼が来ないと話になりませんからね」
・・・そして状況は今、整られえた。
イオンの待とうとの言葉に、ウッドロウ達は同じように首を縦に振った。









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