必然は偶然、偶然は必然 第十七話
「・・・ではすみませんが誰か、彼女に部屋を用意して差し上げるよう手配してくれませんか?彼女には証言していただくべきことはしていただきました。これよりはダアト内部における問題の査問に入りますので、彼女にはこの辺りで退室していただいた方がよろしいでしょうから」
「成程・・・では扉の外で待機している兵士に私が頼みに行きましょう」
「ありがとうございます。後は少しの間このダアトでゆっくりしていてください、時期を見てケセドニアにお送りしますので」
「はい、ありがとうございます。では・・・」
そこでやるのはまず一応大詠師の査問という事から、これ以上は部外者になる乳母を外すという導師としての気遣いに満ちた発言をする事。
その命令と言える懇願の声に詠師の一人がおもむろに動き出し、イオンはそれを見てから丁寧に乳母に気遣いの言葉を向け、乳母は頭を下げながら詠師の一人と共に退室していく。
「・・・さて、彼女も行ったことですし始めましょうか。貴方の起こしてきた行動の事実確認を」
「ヒッ・・・!」
そして乳母の姿が完全に見えなくなった事を確認したイオンは机に肘をついて指を組み静かに睨み付けた、モースがたまらず悲鳴を上げるほど鋭い力のこもった瞳で・・・
・・・そこからはモースに否定も釈明も許さない、イオンに詠師陣の鋭く情け容赦ない査問の時間になった。どうにかモースは自身に向けられる明らかに都合の悪い事柄(導師守護役の家族に借金をさせるよう仕向けていた事など)だったり預言を自分だけが知りそれを勝手に自分だけで周りの事を考えず実行してきたことなどを必死に言い訳してきたが、それも結局「借金は自分のためにさせたのではなくあくまで試練を与え、ローレライ教団の信者に相応しいかを見ていた」や「ナタリア殿下はやはり王族の資格を持ってないことが明らかになったからここで言った方が大詠師の役目になると思った」などいかにも自分に非はないといった言い訳である。
だがそんな言い訳はことごとく証拠と共に上げられていくイオン達の確かな反論に全て粉々に打ち砕かれていき、モースは次第に頭を上げることもなくなり反論をしなくなっていった・・・まぁこれには既に詠師陣が戦争の預言を知っていたことに加え、イオンがモースの知る前と明らかに違うと言えるほどの変化があることが大きい。せめてもしどちらかに気付いてかつ何かしらの対応が出来たならモースも何かやりようはあっただろうが、そこは元々預言を達成する事に集中して周りに目をいかせてなかった事がモースに災いしていた。
「・・・以上です。ここまで来ると最早もう何を特筆して上げていいかわからなくなりますね、モース。マルクトに神託の盾を自らの意志で派遣して様々な被害を与えた事だけでももう十分過ぎる程ですが、キムラスカに対して内密にナタリア殿下の入れ換えを行った事に加えて更に殿下を見捨てることを仄めかしたこと。それに加えこのダアトでも私的な事の為に教団の資金を自らの為に着服したことに、導師守護役の家族に借金を背負わせたこと・・・まだまだ細かく数え上げればキリがありませんが、これだけでも十分貴方の大詠師の地位の剥奪どころかその命すら償いの為に差し出さねばならぬ重いものという事・・・わかっていますか、貴方は?」
「・・・っ・・・!」
そして全て話終わり3つの国において代表的な罪の事例を冷たく言い放った上で自分を見据えるイオンに、モースは頭を上げれないながらもビクッと体を反応させる。
・・・とは言ってもモースの事だ、自分は助かるなどと内心で思っているのは明白。しかし今のイオンはその望みなどとうに見透かしている、それこそ全て。だからこそイオンは更に口を開く、モースを真から絶望させるために。
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「成程・・・では扉の外で待機している兵士に私が頼みに行きましょう」
「ありがとうございます。後は少しの間このダアトでゆっくりしていてください、時期を見てケセドニアにお送りしますので」
「はい、ありがとうございます。では・・・」
そこでやるのはまず一応大詠師の査問という事から、これ以上は部外者になる乳母を外すという導師としての気遣いに満ちた発言をする事。
その命令と言える懇願の声に詠師の一人がおもむろに動き出し、イオンはそれを見てから丁寧に乳母に気遣いの言葉を向け、乳母は頭を下げながら詠師の一人と共に退室していく。
「・・・さて、彼女も行ったことですし始めましょうか。貴方の起こしてきた行動の事実確認を」
「ヒッ・・・!」
そして乳母の姿が完全に見えなくなった事を確認したイオンは机に肘をついて指を組み静かに睨み付けた、モースがたまらず悲鳴を上げるほど鋭い力のこもった瞳で・・・
・・・そこからはモースに否定も釈明も許さない、イオンに詠師陣の鋭く情け容赦ない査問の時間になった。どうにかモースは自身に向けられる明らかに都合の悪い事柄(導師守護役の家族に借金をさせるよう仕向けていた事など)だったり預言を自分だけが知りそれを勝手に自分だけで周りの事を考えず実行してきたことなどを必死に言い訳してきたが、それも結局「借金は自分のためにさせたのではなくあくまで試練を与え、ローレライ教団の信者に相応しいかを見ていた」や「ナタリア殿下はやはり王族の資格を持ってないことが明らかになったからここで言った方が大詠師の役目になると思った」などいかにも自分に非はないといった言い訳である。
だがそんな言い訳はことごとく証拠と共に上げられていくイオン達の確かな反論に全て粉々に打ち砕かれていき、モースは次第に頭を上げることもなくなり反論をしなくなっていった・・・まぁこれには既に詠師陣が戦争の預言を知っていたことに加え、イオンがモースの知る前と明らかに違うと言えるほどの変化があることが大きい。せめてもしどちらかに気付いてかつ何かしらの対応が出来たならモースも何かやりようはあっただろうが、そこは元々預言を達成する事に集中して周りに目をいかせてなかった事がモースに災いしていた。
「・・・以上です。ここまで来ると最早もう何を特筆して上げていいかわからなくなりますね、モース。マルクトに神託の盾を自らの意志で派遣して様々な被害を与えた事だけでももう十分過ぎる程ですが、キムラスカに対して内密にナタリア殿下の入れ換えを行った事に加えて更に殿下を見捨てることを仄めかしたこと。それに加えこのダアトでも私的な事の為に教団の資金を自らの為に着服したことに、導師守護役の家族に借金を背負わせたこと・・・まだまだ細かく数え上げればキリがありませんが、これだけでも十分貴方の大詠師の地位の剥奪どころかその命すら償いの為に差し出さねばならぬ重いものという事・・・わかっていますか、貴方は?」
「・・・っ・・・!」
そして全て話終わり3つの国において代表的な罪の事例を冷たく言い放った上で自分を見据えるイオンに、モースは頭を上げれないながらもビクッと体を反応させる。
・・・とは言ってもモースの事だ、自分は助かるなどと内心で思っているのは明白。しかし今のイオンはその望みなどとうに見透かしている、それこそ全て。だからこそイオンは更に口を開く、モースを真から絶望させるために。
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