必然は偶然、偶然は必然 第十六話

・・・ルークとアリエッタが二人いい空気になっていく中で時間は過ぎていき、夜になってディムロスが宿に戻ってハロルドはまだアルビオールの改造を続けていると聞かされた所で就寝することになった。

そして翌日、目覚めたルーク達はそのハロルドに遣わされた人の伝言よってアルビオールの元に来るよう呼び出された。



「はぁい!よく眠れた、アリエッタ?」
「はい、よく眠れた、です」
イエモン達を横につけ元気のいい挨拶をするハロルドに、名指しされたアリエッタは笑顔で頷く。
「アルビオールが完成したって聞いたけど、本当なのか?」
「はい・・・ですがまさかここまで完璧に早く仕上げられるとは思ってはおりませんでした。それに当初作成していたアルビオールの完成予想図からそのまま作っていた時の欠点部分の指摘もされました・・・一体彼女はどこの出身なのですか?彼女のような天才、私は知りません・・・」
「・・・まぁそれは気にしないでくれ」
そんな二人を尻目に早速アルビオールの完成は本当かと確認するルークに、イエモンは驚き二割で釈然としない気持ち八割といった様子でハロルドの天才ぶりに脱帽していた。よく見れば他の二人も似たような物だが、ここで深く掘り下げられる訳にはいかないとルークは詮索はしないようにと誤魔化す。
「それよりアルビオールは今から飛べるのか?」
「まだ最後の飛行試験が残っております。安全確認で念の為にやるのですが、それが済めばすぐにお渡しすることが出来ますのでそれまでお待ちください」
「あぁ、わかった」
その上でさっさと話を進めようとするルークにイエモンも話を戻し飛行試験を済ませてから渡すと言われ、反対する理由のないルークはすんなり頷いた。









・・・とは言えアルビオールの墜落の原因はハロルドが除去している。彼女が既に正解がわかりきった問題を前にして失敗するようなことなど有り得ない。

飛行試験をするとなってその光景をイエモン達共々下から見ていたルーク達だが、ギンジの乗るアルビオールは異常事態に陥って墜落することなどなく悠々と空を駆け再び発着点であるシェリダンの街中へと戻ってきた。



「・・・さて、飛行試験も済んだ。これでアルビオールを渡してくれるか?」
「はい、それはもう・・・ギンジにはしっかりするように言っておきますので、存分に命をお与えください。また、用事が済まれたら出来る限り早くお返し下されればありがたいのですが・・・」
「あぁ、わかってる・・・アルビオール、ありがたく使わせてもらうぞ(・・・ホントはあんまりこんな風な言い方したくないんだけどな・・・)」
その光景を見届け終えた所で再度アルビオールを使えるかと言うルークに、イエモンはへりくだり了承しながらも事がすみ次第返して欲しいと願ってくる。その願いにルークは貴族として笑顔で頷く、内心で過去のことがあり申し訳ない気持ちがあることを隠しながら。









・・・そして微細な打ち合わせをイエモン達とギンジがした後、ギンジの操縦するアルビオールに乗ってルーク達はシェリダンの街を飛び立って後にしていった・・・






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