必然は偶然、偶然は必然 第十六話

「・・・あー、すまない。話を戻していいか、二人とも?」
「え、あ・・・はい、です・・・」
「・・・すまない、ディムロス」
そんな場に気まずげながらも勇気を出し口を出したディムロスにアリエッタは少し恥ずかしそうながらも気を取り直し、ルークはその発言に赤い頬のまま感謝する。
「かつて起こった事実を今聞いたわけだが、アリエッタ。それで君は今も尚我々の味方でいる事を選ぶか?この事を今まで我々が黙っていたのは事実で、もし君の心が変わったというなら今のうちに言ってもらって構わないが・・・」
「・・・大丈夫、です。アリエッタの心、変わっていませんから」
「・・・いいのか?」
それでディムロスが切り出した事は尚こちら側につき続けるか、という物。まだ全てを言っていなかった事を引き合いに出し今ならとディムロスは離れても構わないといったように言うが、アリエッタはすぐさままっすぐな目でその心遣いを拒否する。
「アリエッタ、謡将のやってること、ダメだって思ったから、ルーク達と一緒にいる、です。多分ルーク達の言ってた時のアリエッタだったら何も考えてなかったと思う、ですけど・・・今はルーク達と離れたくない、です。それがアリエッタの考え、です・・・」
「・・・そうか。ならもう私は何も言わないよ」
揺るぎなく自分の考えを言うその眼差しのまっすぐさを見て、ディムロスは柔らかく笑みそれ以上の追求をやめた。そうすることが無粋であると思った為に。
「だがこれだけは言っておこう・・・これから遠くないいずれかには謡将達と雌雄を決することになる。その事だけは覚悟をしておいてくれ」
「・・・それはわかってる、です・・・でもアリエッタ、やるです」
「・・・そうか」
しかし尚ヴァン達との戦いを示唆して覚悟をするように求める真剣なディムロスに、アリエッタは悲壮な決意を浮かべながら力を込めやると頷く。その答えにディムロスは優しく頷きそっと入口の方へ向かう。
「なら今日はゆっくり休むといい。ハロルドの事だから、ある程度形になっているならパッと手を加えて終わらせるだろう。早ければ明日にでもアルビオールとやらは完成するはずだが、一応私はハロルドの様子を見てこよう。ではな」
「あ、ディムロス・・・」
それで何をするかと言えばハロルドの元に行くといい部屋を出ていくディムロスに、ルークはその後ろ姿を引き留めんと声をかけようとするがバタンと閉められた扉の向こうに消えたその姿は止まってはくれなかった。そして残ったのはルークとアリエッタの二人・・・
「「・・・・・・!」」
ディムロスの意図的かどうかは知らないが二人きりになってしまった。その事に互いに顔を見合わせた瞬間顔を赤くし、たまらずうつむいた二人は気付く。
「・・・・・・なぁ。俺もあんまお前の事、そこまで色々知ってる訳じゃないしさ。時間もあるしアリエッタのこと教えてくれないか?俺も何か聞きたいことあるなら出来る限りは答えるぞ」
「・・・はい、わかった、です!」
しかし何かしなければこの空気は変わらない。そう思ったのか二人でやれることとして互いの事を話し合おうと、顔を上げ笑顔を作り歩み寄るルークにアリエッタも顔を上げ笑顔で了承で返した。










8/13ページ
スキ