必然は偶然、偶然は必然 第十六話
「そんなことより早くそのアルビオールとやらのある場所に行くわよ!」
「あぁ、わかったよ。ハロルド」
ただそんな空気を読むはずもないハロルドが尚も楽し気に先を促せば、ルークも気を取り直して頷き先へと歩き出す。前より早目に来た分集会所にはいないと考え、アルビオールがあるであろう作業場に。
「・・・すまない、誰かいるか?」
「む・・・誰じゃ、一体?」
「・・・っ・・・」
・・・そしてその作業場に来た訳だが、以前のようにではなく新たな関係を作るのとすんなりとハロルドを入り込ませる為にルークは威厳を持った口調を室内に向ける。それで声に反応してアルビオール側からぞろぞろと現れてきたイエモン達に、ルークは一瞬だけ悲しげに目を細めるがなんとか元に戻す。
「はっ・・・貴方のその髪に瞳の色・・・まさか王族の方ですか?」
「そうだ・・・少し頼みがあってここに来た」
「頼み・・・ですか?」
「あぁ」
そんなことを知らずルークの姿を見てかしこまった口調で確認を取ってくるイエモンに、ルークは口調を崩さず頼みと切り出す。
「今このシェリダンで空を飛ぶ譜業を作っていると聞いたのだが、その譜業を使いたいんだ」
「それで・・・このシェリダンにまでご足労いただかれたのですか?そのようなことをされずとも手紙を送っていただければすぐにそちらにお伺いしたのですが・・・」
「いや、まだ完成に至ってないと聞いてな・・・それで出来るだけ早くその譜業を使う為と、腕利きの技術者を補助につける為にここに来たんだ」
「技術者・・・?」
それでアルビオールを使いたいとあくまでまだ名前までは知らないように話をするルークにイエモンはへりくだった態度で通してくるが、ここで内情を少しなりとも知っているルークは技術者をつけると言う。訝しげなイエモンの視線にルークは後ろにいたハロルドに視線を向ける。
「このハロルドは私が個人的に信頼している技術者だ。腕はそこらのものなど歯牙にかかないが邪魔になるようなら遠慮なく邪魔だと退くように言ってくれて構わないから、ハロルドをつけてやってくれ」
「は、はぁ・・・そういうことでしたら、わかりました」
それで厳しい言葉を用いながらもハロルドをつけるように言えば、イエモンは歯切れが悪いながらもその頼みに頷く。
・・・ここで素直にただハロルドを受け入れるように言った所で、何気に自分達の技術に対して高いプライドを持っているイエモン達が言葉だけですんなり受け入れるとはルークは思っていなかった。ならばどうするのかと言えばぽっと出のハロルドを同じもしくは高い位置でイエモン達の作業に参加させるのではなく、むしろ低い位置から参加させる方がいいとルークは考えた。そうすれば基本は人のいいイエモン達の事で、実力さえ認められればすぐに受け入れられるだろうと。ましてやハロルドの頭はそれこそ半端ではないと、そう分かっているルークから思えばこれは成功しない訳がないとの考えがあった。
・・・その後ハロルドをイエモン達に預けたルーク達はアルビオールが完成するまではシェリダンに留まるという事を伝えた上で、宿屋に向かった。
「「「・・・」」」
そこで取った部屋の中でルークはディムロスと共に、アリエッタと向かい合っていた。自分達の事を話すために・・・
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「あぁ、わかったよ。ハロルド」
ただそんな空気を読むはずもないハロルドが尚も楽し気に先を促せば、ルークも気を取り直して頷き先へと歩き出す。前より早目に来た分集会所にはいないと考え、アルビオールがあるであろう作業場に。
「・・・すまない、誰かいるか?」
「む・・・誰じゃ、一体?」
「・・・っ・・・」
・・・そしてその作業場に来た訳だが、以前のようにではなく新たな関係を作るのとすんなりとハロルドを入り込ませる為にルークは威厳を持った口調を室内に向ける。それで声に反応してアルビオール側からぞろぞろと現れてきたイエモン達に、ルークは一瞬だけ悲しげに目を細めるがなんとか元に戻す。
「はっ・・・貴方のその髪に瞳の色・・・まさか王族の方ですか?」
「そうだ・・・少し頼みがあってここに来た」
「頼み・・・ですか?」
「あぁ」
そんなことを知らずルークの姿を見てかしこまった口調で確認を取ってくるイエモンに、ルークは口調を崩さず頼みと切り出す。
「今このシェリダンで空を飛ぶ譜業を作っていると聞いたのだが、その譜業を使いたいんだ」
「それで・・・このシェリダンにまでご足労いただかれたのですか?そのようなことをされずとも手紙を送っていただければすぐにそちらにお伺いしたのですが・・・」
「いや、まだ完成に至ってないと聞いてな・・・それで出来るだけ早くその譜業を使う為と、腕利きの技術者を補助につける為にここに来たんだ」
「技術者・・・?」
それでアルビオールを使いたいとあくまでまだ名前までは知らないように話をするルークにイエモンはへりくだった態度で通してくるが、ここで内情を少しなりとも知っているルークは技術者をつけると言う。訝しげなイエモンの視線にルークは後ろにいたハロルドに視線を向ける。
「このハロルドは私が個人的に信頼している技術者だ。腕はそこらのものなど歯牙にかかないが邪魔になるようなら遠慮なく邪魔だと退くように言ってくれて構わないから、ハロルドをつけてやってくれ」
「は、はぁ・・・そういうことでしたら、わかりました」
それで厳しい言葉を用いながらもハロルドをつけるように言えば、イエモンは歯切れが悪いながらもその頼みに頷く。
・・・ここで素直にただハロルドを受け入れるように言った所で、何気に自分達の技術に対して高いプライドを持っているイエモン達が言葉だけですんなり受け入れるとはルークは思っていなかった。ならばどうするのかと言えばぽっと出のハロルドを同じもしくは高い位置でイエモン達の作業に参加させるのではなく、むしろ低い位置から参加させる方がいいとルークは考えた。そうすれば基本は人のいいイエモン達の事で、実力さえ認められればすぐに受け入れられるだろうと。ましてやハロルドの頭はそれこそ半端ではないと、そう分かっているルークから思えばこれは成功しない訳がないとの考えがあった。
・・・その後ハロルドをイエモン達に預けたルーク達はアルビオールが完成するまではシェリダンに留まるという事を伝えた上で、宿屋に向かった。
「「「・・・」」」
そこで取った部屋の中でルークはディムロスと共に、アリエッタと向かい合っていた。自分達の事を話すために・・・
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