必然は偶然、偶然は必然 第十六話

「アリエッタ・・・モースの事はもういいか?」
「あっ、はい・・・ハロルド達の話聞いて、もっとモースの事ほっといたらダメだって思いました、です・・・だからもうこれでいいんだって・・・」
「そっか・・・」
それでアリエッタに話題を振るルークに、アリエッタは少し複雑そうな表情を見せながらもそっと頷く。その姿を見てそれ以上は何も言わずルークも頷くだけに留め、辺りを見渡す。
「とりあえず、イオン達のおかげで一つ山を越えたんだ。それでこの後俺らがとちる訳にはいかないしな・・・気を張って行くぞ」
「あぁ、勿論だ」
「・・・アリエッタも頑張る、です」
ディムロス、アリエッタと来て少し落ち込んだ空気を切り替えるためにピンと真面目な張りつめさせた空気をまとわせるルーク。そんな空気にディムロスもアリエッタも表情を引き締め、同じように頷く。
「グッフッフ~♪次で私が頑張らなくてどうするのよ♪」
「・・・ハロルド、少しは空気を読んでくれ」
「イチイチそんな事する気ないわよ、めんどくさいし」
・・・だがやはりハロルドにそんな一体感を求めるのは無理だった。明らかにシェリダンに行くのが楽しみだと雰囲気が語っており、ディムロスが懇願の声を上げるが歯牙にかけない様子で一蹴するハロルド。
「・・・フ、ハハハ・・・まぁいいんじゃないのか?妙に真面目でしおらしいハロルドってのも、考えると有り得ないのもあるし気持ち悪いしさ」
「・・・むぅ、確かにそうだな」
「ちょっとあんたら、それってどういう意味よ?」
「・・・フフッ」
そんないつものらしいやり取りを見て笑いながらこっちの方がハロルドらしくていいと言いディムロスも素直なその声に疲れたよう同意し、ハロルドはその二人に突っかかる。そんな光景を見ながらアリエッタは微笑ましげに穏やかな笑い声を上げた。












・・・そんなルーク達の彼らなりの楽しく、穏やかな一幕は彼らの目的地であるシェリダンに着くまで続いた。



「うーん、ここがシェリダンなのね~♪いかにも技術が集まってそうな場所よね、ここ♪」
港に着き船から降りたルーク達はシェリダンに辿り着いた。入口で街の光景にハロルドはまた楽し気な様子で辺りを見渡している。
「ここなら私の望む装置を作る材料は十分にありそうよね。しばらくここで色々研究しようかしら」
「・・・あぁそう言えば言っていたな、帰る時はお前自身で帰ると。ちなみにその装置を作る目算はついたのか?」
「勿論よ、私に不可能はないわ!」
「・・・あの、装置って・・・?」
「あぁ、気にすんな。ハロルドにはやりたいことがあるってだけで・・・」
「そうじゃない、です。帰るって、どういう事、ですか・・・?」
「・・・あ・・・」
それで目的の一つである自分自身の帰還の為の目算を立てていくハロルドにディムロスが大丈夫なのかと問えば、自信満々の笑みを見せる。だが初めて聞く言葉にアリエッタが不安そうになりルークが気にしないように言おうとするが、ハロルド達の事を未だ別世界の人間と聞いていないアリエッタの帰るという事への疑問の声にルークはその事を言っていなかったことを今更ながらに思い出す。
「・・・とりあえず後でにその話はしてくれ、事情はその時に話す」
「・・・はい、わかりました、です」
そう思い返しルークは静かに決心する、ハロルド達の事を話すべきだと。しかし今この場で話すべきではないと後に話すと言うルークに、アリエッタも素直にその言葉を受け入れた。











5/13ページ
スキ