必然は偶然、偶然は必然 第十五話

「まぁ今はどちらにせよダアトに早く戻らねば事態は進みません。何せモースの査問を終わらせねばユリアシティにもヴァン達にも手の打ちようがありませんからね・・・ユリアシティにはその後に事情を理解していただきますよ、手遅れだとね」
「成程」
事後承諾で済ませる、いや済まさせる。有無を言わせないイオンの言葉に、クラトスはただ一言声を上げた。



・・・やり方としては誉められた物では確かにないだろうが、一々ユリアシティを説得などそれこそくたびれ儲けの骨折り損になる可能性が高い。今の時点で道義的だったりヴァンの背信などを引き合いに出した所でまともに取り合う可能性などそれこそ無いに等しいのだ。預言達成の前には些細な事だと言うだろう、今の市長なら。そして説得出来たとしても相当に長い時間をかけこれ以上無いという程の物証を提示せねば、まず無理と言える。

ならばこそ取るべき手段としては例え不満が出ようともそれを押し潰し、否応なしに納得出来るような状況に持っていってそれで理解してもらった方が余程マシと言えるだろう。少なくとも証拠さえ出れば信じられないながらも預言にない事態も起こりうると理解したのだ、時間を取った方が建設的な上に余計な波風が起こらない・・・そうイオンは考え、事後承諾を取らせることを決めたのだ。



「ただそこまですれば後やることとしてはセフィロト巡りにヴァン達の排除、そしてガイ達の本格的な処分を言い渡す時になりますが・・・そうするからにはそろそろルーク達と合流する算段を着けておいた方がいいでしょうね。僕達がダアトで事を済ませる位にはある程度ルーク達もセフィロト巡りを進めているでしょうし」
「そうだね。向こうも向こうでそろそろどうするべきかを考えている頃だろうからね。それに向こうに人手が少ないことも懸念材料になっている、この辺りで合流について話をしておいた方がいいだろう」
ただ、と話題転換に上げたイオンのその話題の中身はルーク達との合流。そこに時期的な物も加え質はいいとは言え寡兵しかいない事もあると言うウッドロウもその意見に同意する。
「ではイクティノス、ルークに連絡を取ってくれるか?」
『あぁ、わかった・・・(ローレライ、聞こえるか?)』
『(あぁ、話は聞いていた。すぐにルークに繋ごう・・・)』
「(・・・なんだ、イクティノス?)」
そこでイクティノスに話を振ればすぐさま了承し、ローレライに連絡を取る。ローレライもすぐに反応し渡りをつけると返せば、すぐさまルークの声がイクティノスに届いてくる。
『(いや、少しいつ俺達が合流するべきかという話題になってな・・・こっちはバチカルからモースを捕らえ今ダアトに戻る最中だ。そっちは?)』
「(あぁ、こっちは今シェリダンに向かってる最中だ。ザオ遺跡のセフィロトに行った後でそろそろアルビオールが欲しいって思ったから、それでタタル渓谷に行った後シェリダンに向かってんだ)」
『(アルビオール・・・それならヴァン達の追撃の心配はいらなそうだな)』
「(あぁ。ただそっちがアルビオール使えないって思うと悪いって気持ちがあるけどな)」
『(いや、現状で危ないのがどっちかと言えばお前たちだしこちらは今はアルビオールを必要としていない。それに合流の時に役に立つだろうから気にせずお前たちが使え)』
「(あぁ、悪いな・・・ただ合流だよな・・・そっちタルタロスだし、ガイ達の処分もあったりするから出来る限り早い方がいいよな)」
『(あぁ、それで俺達はお前に連絡を取ったんだ。これからどうするかを決める為にな)』
そこから互いの状況を軽く報告しあいながらも言葉を交わしていき、本題である合流の為ルークとイクティノスは少し重い口調になる。









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