必然は偶然、偶然は必然 第十五話
「・・・大体話の流れは理解できた」
そこに話を黙って聞いていたクラトスが声を上げてくる。
「アニスに関して言うならお前に対しての想いがあったと、そう言う言い訳があったのだな?」
「・・・まぁそうですね。ただそこで精神的な苦痛が僕だけならよかったんですが、フローリアンも巻き込まれたというのが悔やまれるんですよ」
「フローリアン?何故そこでフローリアンが出てくるのだ?」
その上でアニスもティアと同じような状態でターゲットがイオンになったのだろうとクラトスが問えば、暗く落ちた声でフローリアンもと言われどういった存在なのか名前は聞いていたクラトスはどういう事かと再び問う。
「・・・アッシュが無事に大爆発を終え、タタル渓谷に戻ってきた時アニスは16歳という年齢になっていました。一応彼女も結婚しようと思えば出来ない年齢ではありませんでしたが、流石に歳が歳なだけにティアと違いまだ結婚には早いとなっていたんです。ただそこから次第にダアトは彼女達のせいで荒れていく一方で、彼女に縁談など持ちかけられる状況ではなくなっていきました。まぁそれはいいんです・・・そんな中でアニスに純粋な優しさを持って接しようとしたのが唯一フローリアンなんですが、その時彼女が言った言葉は今でも忘れられません・・・『あんたはイオン様じゃないんだから黙ってて!』、という言葉を・・・!」
「「・・・!」」
その問いにイオンはまずはアニスが結婚出来なかった訳を説明するが、その後に続けたフローリアンの心を多大に傷付けた言葉を紡いだ時に沸々と沸き上がる怒りが声にも顔にもこもっているのを見て、二人はそれがどれだけ残酷な物かを悟り表情を厳しくさせた。
「僕じゃないんだから?だから姿形が一緒のフローリアンにそんな形でイライラしてるから優しさをはねのけていい?・・・そんな言葉でフローリアンを傷つけていいはずがないと、僕はそう思いました。そしてフローリアン自身その言葉に傷付き茫然自失としてその場を後にした後、泣き崩れました・・・その姿を見て僕はアニスへの失望を禁じ得なかったのと同時に、結果僕を殺した貴女が何を言っているとも疑問に思いました。そしてそこから考えて僕がアニスに対して得た結論は結局彼女もティアと同様、僕を言い訳に使いたいだけなのだという事でした」
「・・・確かに導師を言い訳に使ってるとしか言えんな。だがその上で子供に対し八つ当たりで当たり散らすなどしていいことではない上、フローリアンが不憫にしか思えん・・・」
「はい、僕のことだけだったらまだ我慢が聞いたんですけどね・・・」
・・・いかにフローリアンを想い、いかにアニスに怒りを覚えたか。詳細に話す話から溢れる物にクラトスも悲し気に目を細め、イオンは沈痛な面持ちでうつむく。
「・・・なんか、悪かった。変なこと聞いてしまってさ」
「あ・・・いえ、気にしないでください。僕達がその時思ったことを言っただけですから」
そんな姿にそもそもの話題を振ってしまったセネルが気まずそうに頭を下げ謝罪するが、イオンはすぐに頭を横に振って大丈夫と告げる。
「それに今はもうあの二人は牢の中です、気にしないでもこれからは前のような事は起きませんから大丈夫です」
「・・・あぁ、わかったよ。これから気をつける」
そこに今回はもう大丈夫と明るくした顔で付け加えた事にセネルも必要以上に何かを言うことを止め、そこで会話を止める。
「・・・では今度は僕から聞きたいことがあるので質問いいですか?」
「・・・あぁ、いいぞ」
だがまだセネルの表情は固く晴れていない。それを見たイオンは自身から会話を持ち掛け、別の方向へ行こうとチャレンジする。
・・・そして結果、イオンが話題を代えていった事で少しずつセネルも普段の様相を取り戻し談話にまで行くことに成功して事なきを得た。
その事にホッと安堵を浮かべたイオンであったが、一抹の想いがここで呼び起こされていたのを今はまだ本人は知るよしもなかった。
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そこに話を黙って聞いていたクラトスが声を上げてくる。
「アニスに関して言うならお前に対しての想いがあったと、そう言う言い訳があったのだな?」
「・・・まぁそうですね。ただそこで精神的な苦痛が僕だけならよかったんですが、フローリアンも巻き込まれたというのが悔やまれるんですよ」
「フローリアン?何故そこでフローリアンが出てくるのだ?」
その上でアニスもティアと同じような状態でターゲットがイオンになったのだろうとクラトスが問えば、暗く落ちた声でフローリアンもと言われどういった存在なのか名前は聞いていたクラトスはどういう事かと再び問う。
「・・・アッシュが無事に大爆発を終え、タタル渓谷に戻ってきた時アニスは16歳という年齢になっていました。一応彼女も結婚しようと思えば出来ない年齢ではありませんでしたが、流石に歳が歳なだけにティアと違いまだ結婚には早いとなっていたんです。ただそこから次第にダアトは彼女達のせいで荒れていく一方で、彼女に縁談など持ちかけられる状況ではなくなっていきました。まぁそれはいいんです・・・そんな中でアニスに純粋な優しさを持って接しようとしたのが唯一フローリアンなんですが、その時彼女が言った言葉は今でも忘れられません・・・『あんたはイオン様じゃないんだから黙ってて!』、という言葉を・・・!」
「「・・・!」」
その問いにイオンはまずはアニスが結婚出来なかった訳を説明するが、その後に続けたフローリアンの心を多大に傷付けた言葉を紡いだ時に沸々と沸き上がる怒りが声にも顔にもこもっているのを見て、二人はそれがどれだけ残酷な物かを悟り表情を厳しくさせた。
「僕じゃないんだから?だから姿形が一緒のフローリアンにそんな形でイライラしてるから優しさをはねのけていい?・・・そんな言葉でフローリアンを傷つけていいはずがないと、僕はそう思いました。そしてフローリアン自身その言葉に傷付き茫然自失としてその場を後にした後、泣き崩れました・・・その姿を見て僕はアニスへの失望を禁じ得なかったのと同時に、結果僕を殺した貴女が何を言っているとも疑問に思いました。そしてそこから考えて僕がアニスに対して得た結論は結局彼女もティアと同様、僕を言い訳に使いたいだけなのだという事でした」
「・・・確かに導師を言い訳に使ってるとしか言えんな。だがその上で子供に対し八つ当たりで当たり散らすなどしていいことではない上、フローリアンが不憫にしか思えん・・・」
「はい、僕のことだけだったらまだ我慢が聞いたんですけどね・・・」
・・・いかにフローリアンを想い、いかにアニスに怒りを覚えたか。詳細に話す話から溢れる物にクラトスも悲し気に目を細め、イオンは沈痛な面持ちでうつむく。
「・・・なんか、悪かった。変なこと聞いてしまってさ」
「あ・・・いえ、気にしないでください。僕達がその時思ったことを言っただけですから」
そんな姿にそもそもの話題を振ってしまったセネルが気まずそうに頭を下げ謝罪するが、イオンはすぐに頭を横に振って大丈夫と告げる。
「それに今はもうあの二人は牢の中です、気にしないでもこれからは前のような事は起きませんから大丈夫です」
「・・・あぁ、わかったよ。これから気をつける」
そこに今回はもう大丈夫と明るくした顔で付け加えた事にセネルも必要以上に何かを言うことを止め、そこで会話を止める。
「・・・では今度は僕から聞きたいことがあるので質問いいですか?」
「・・・あぁ、いいぞ」
だがまだセネルの表情は固く晴れていない。それを見たイオンは自身から会話を持ち掛け、別の方向へ行こうとチャレンジする。
・・・そして結果、イオンが話題を代えていった事で少しずつセネルも普段の様相を取り戻し談話にまで行くことに成功して事なきを得た。
その事にホッと安堵を浮かべたイオンであったが、一抹の想いがここで呼び起こされていたのを今はまだ本人は知るよしもなかった。
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