必然は偶然、偶然は必然 第十五話
「・・・リグレットが何故あのような事になったかはわかった。だが話を聞く限りではウッドロウはあまり結婚に対して乗り気ではないと言うことらしいが、大丈夫か?」
「・・・まぁそれは僕も不安な所ではあります。ウッドロウさんは見かけによらず頑固な所がありますからね」
だがそれでも成功するかを危ぶむクラトスに、イオンも少し思う様子を見せる。だがそれもすぐに真剣な顔に変わる。
「ですが純粋にウッドロウさんを想うリグレットを僕は否定したくありません。だから僕は彼女がその想いでウッドロウさんの頑なな心を動かしてくれると、そう信じたい・・・いや、信じます」
「・・・そうか、いやそうだな。ここは私達はリグレットの想いがうまくいくのを信じるべきだな」
想いを信じる、そう言い切るイオンにクラトスも微笑を浮かべ同意する。
・・・クラトス自身、立場も何も関係無く真剣に人と恋した身だ。自身がそうなのに打算で純粋な想いの可能性を否定することはクラトスは出来ないことだった。
「そう言うことなら俺も信じたいし、後は結果待ちだけど・・・こういうことってあんまり経験なかったから、どうにも妙な気持ちになるな・・・」
「セネルは好きな人はいなかったんですか?」
「・・・まぁいたけど、それがうまくいかなかったから俺しばらく引きずってて何も出来なかったんだよな・・・」
「・・・そうなんですか?ちょっと意外でしたね・・・」
そこにセネルが賛同はしつつもむず痒そうな顔をして入ってきたこともありどうなのかとイオンが問えば、過去に大きな失敗があったことを理解してしまう返答にイオンはそんな風には見えないと少し目を開く。
・・・セネル自身詳しく言えと言われれば話すことはやぶさかではないが、自分がステラを助けられなかった事はあまり率先して話したくはなかった。だから表現を少しぼかして言ったのだが、ステラを失ったことが発端で恋愛だとかそう言ったことに目を向けることが出来なかったのは嘘ではなかった。
「その点では導師はどうなんだ?あまり宗教においてどういった体制で結婚に取り組んでいるか、私は分からんのだが・・・」
「僕ですか?そうですね・・・」
そこに今度はクラトスがお前には決まった相手はいるのかと聞いてくると、少しイオンは考え込む。
「・・・歴代の導師の事を考えると、預言で結婚相手が決まる風潮がありましたね。ただ預言で詠むのはその年始の時にその一年がどうなるか、と言った位の長さが一般的ですから結婚が詠まれていたらその相手と即座に・・・と言ったパターンが多かったと思われます。ただそんな形で結婚するものですから、その預言に沿わせる為にけして預言が詠まれていない相手とは結婚はさせられてはいないと思いますよ。預言にこだわるが故に預言に反する事は認められない、と言った形で」
「成程、預言がある故に歴代の導師は相手が定められていた訳か。それも預言ならではでもあるのだろうが、一方的に導師と結婚しろと詠まれた側はどう思ったのだろうか・・・?」
「・・・それは正直わかりません。ただ少ないと思いますが、反発はあったとは思います。導師と結婚出来るメリットは教団の中心に近くなる事が上げられますが、預言だからと強制させられそれで嫌になる人もいてもおかしくありません。今までの生活を強制で取り上げさせられるんですからね。ただ反発してもダアトの預言保守派はそんな声を許さない・・・」
「だからその声は闇に葬られてきた、か」
「えぇ。結局預言主導のままでは人の気持ちを踏みにじってしまう可能性が高いですから、僕は僕自身の意志でいい相手がいたら探したいと思っています。そもそも僕は預言に詠まれてない存在ですから、それで嫁をあてがうことなど出来ませんけどね」
「・・・フッ、ならお前は大丈夫だな」
「あぁ、お前は大丈夫だよ。イオン」
少しして教団の独特のルールによる結婚の仕方を明かすイオンだが、そのルールにより被害者が出ていただろう事も考え暗い面持ちになる。だがそれを変えるんだと明るく自分のレプリカという身の上も利用するというイオンの覚悟のある声に、クラトスもセネルも賛辞を送りつつ笑みを浮かべた。
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「・・・まぁそれは僕も不安な所ではあります。ウッドロウさんは見かけによらず頑固な所がありますからね」
だがそれでも成功するかを危ぶむクラトスに、イオンも少し思う様子を見せる。だがそれもすぐに真剣な顔に変わる。
「ですが純粋にウッドロウさんを想うリグレットを僕は否定したくありません。だから僕は彼女がその想いでウッドロウさんの頑なな心を動かしてくれると、そう信じたい・・・いや、信じます」
「・・・そうか、いやそうだな。ここは私達はリグレットの想いがうまくいくのを信じるべきだな」
想いを信じる、そう言い切るイオンにクラトスも微笑を浮かべ同意する。
・・・クラトス自身、立場も何も関係無く真剣に人と恋した身だ。自身がそうなのに打算で純粋な想いの可能性を否定することはクラトスは出来ないことだった。
「そう言うことなら俺も信じたいし、後は結果待ちだけど・・・こういうことってあんまり経験なかったから、どうにも妙な気持ちになるな・・・」
「セネルは好きな人はいなかったんですか?」
「・・・まぁいたけど、それがうまくいかなかったから俺しばらく引きずってて何も出来なかったんだよな・・・」
「・・・そうなんですか?ちょっと意外でしたね・・・」
そこにセネルが賛同はしつつもむず痒そうな顔をして入ってきたこともありどうなのかとイオンが問えば、過去に大きな失敗があったことを理解してしまう返答にイオンはそんな風には見えないと少し目を開く。
・・・セネル自身詳しく言えと言われれば話すことはやぶさかではないが、自分がステラを助けられなかった事はあまり率先して話したくはなかった。だから表現を少しぼかして言ったのだが、ステラを失ったことが発端で恋愛だとかそう言ったことに目を向けることが出来なかったのは嘘ではなかった。
「その点では導師はどうなんだ?あまり宗教においてどういった体制で結婚に取り組んでいるか、私は分からんのだが・・・」
「僕ですか?そうですね・・・」
そこに今度はクラトスがお前には決まった相手はいるのかと聞いてくると、少しイオンは考え込む。
「・・・歴代の導師の事を考えると、預言で結婚相手が決まる風潮がありましたね。ただ預言で詠むのはその年始の時にその一年がどうなるか、と言った位の長さが一般的ですから結婚が詠まれていたらその相手と即座に・・・と言ったパターンが多かったと思われます。ただそんな形で結婚するものですから、その預言に沿わせる為にけして預言が詠まれていない相手とは結婚はさせられてはいないと思いますよ。預言にこだわるが故に預言に反する事は認められない、と言った形で」
「成程、預言がある故に歴代の導師は相手が定められていた訳か。それも預言ならではでもあるのだろうが、一方的に導師と結婚しろと詠まれた側はどう思ったのだろうか・・・?」
「・・・それは正直わかりません。ただ少ないと思いますが、反発はあったとは思います。導師と結婚出来るメリットは教団の中心に近くなる事が上げられますが、預言だからと強制させられそれで嫌になる人もいてもおかしくありません。今までの生活を強制で取り上げさせられるんですからね。ただ反発してもダアトの預言保守派はそんな声を許さない・・・」
「だからその声は闇に葬られてきた、か」
「えぇ。結局預言主導のままでは人の気持ちを踏みにじってしまう可能性が高いですから、僕は僕自身の意志でいい相手がいたら探したいと思っています。そもそも僕は預言に詠まれてない存在ですから、それで嫁をあてがうことなど出来ませんけどね」
「・・・フッ、ならお前は大丈夫だな」
「あぁ、お前は大丈夫だよ。イオン」
少しして教団の独特のルールによる結婚の仕方を明かすイオンだが、そのルールにより被害者が出ていただろう事も考え暗い面持ちになる。だがそれを変えるんだと明るく自分のレプリカという身の上も利用するというイオンの覚悟のある声に、クラトスもセネルも賛辞を送りつつ笑みを浮かべた。
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