必然は偶然、偶然は必然 第十四話

「(そっちの様子はどうだ?)」
『(あぁ、今ダアトからバチカルに向かう途中だ・・・ティアにアニスはもう既に詠師達に事情を説明して、罪人として引き取ってもらったぞ)』
「(そっか)」
戸惑いを消し経過を問うルークにイクティノスは現在位置と二人の末路を淡々と告げるが、ルークもまた淡々と納得する・・・もうティア達に対しての情けなど一切存在しないルークにとって、別に二人が堕ちた境遇など同情するような物ではなかった。
「(んじゃそっちに六神将の姿とかあったか?)」
『(いや、それはない。こちらに追撃が来ないことが少し、不可解だと思っているんだが・・・そちらは?)』
「(いや、こっちもない・・・正直そっちに追撃来てんじゃないかって思ってたんだけどな・・・)」
そんなことはさておきとヴァン達の動きを聞くルークにイクティノスは特にないと答えるが、その答えにいぶかしむルーク。
『(可能性として上げるなら早い移動手段が無いことが向こうの痛手になっているのではないか?タルタロスは俺達の元にある上、アリエッタがそちらにいることで魔物も統制が取れてないのだろう。更に言うならアニスが情報をモースに横流ししていないのが痛いとも見ている。話を聞けば以前は計ったようなタイミングで敵が来たのだろう?それらがアニスの仕業であったからこそ、というなら以前のよう手に取るように居場所が分かるようなことはないはずだ)』
「(あ・・・そっか、そういやそうだったな。ならアニスがいなくなったのって今思えば結構大きかったんだな・・・)」
そけにイクティノスが2つ考えられる理由を上げるが、どちらかと言えばアニスの方が理由としてピッタリ来ると思ったルークは過去を思い出し、悪い意味でその存在感が大きかったのだと苦く顔をしかめる。



・・・ルークの脳裏に浮かぶのはダアトから問答無用でバチカルにナタリア共々処刑の為に捕縛されて送られたり、シェリダンの人達がヴァン達の襲撃を受けた時など、数え上げれば到底許されない事ばかり。それらの思い当たる事情を思い出せば、つくづくルークはアニスの事を軽蔑の気持ちでしか見れなかった。それらに対して責任を取ろうとしていなかったことに。



『(ただ向こうもずっと手をこまねいているとも思えん、その内こちらに対して何か手を打ってくるだろう・・・俺の見立てでは恐らく、どこかで待ち伏せ辺りしてくる可能性があると見ている)』
「(待ち伏せ、か・・・)」
『(あぁ、下手に追うよりはどこかめぼしい所に当たりをつけて待っていた方がいいと考える可能性がある。俺だったらそうした方が建設的と考える)』
「(そっか・・・)」
そうルークが考えている中でイクティノスがヴァン達の取るだろう行動を予測して発言すると、ルークは少し考え込む。
「(・・・そう言うことならザレッホ火山に行くのはラジエイトゲートにアブソーブゲートの前にした方がいいかな。ダアトはそっちのおかげで大丈夫だとは思うけど、すぐに行ったら変な事態になるかもしれないしな・・・)」
『(ヴァン達の待ち伏せ候補としては確かにダアトは有り得るだろうな、イオンを待ち伏せるならダアトが妥当と言える)』
「(やっぱそう思うよな・・・鉢合わせは俺も勘弁だからダアトは後回しにする。あ、それとついでにベルケンドも結構危ないと思うから気をつけろよ)」
『(あぁ、わかった)』
少し考えた後セフィロト巡りでダアトに早めに行くのはまずいなと思ったルーク。そう言えばイクティノスも納得した。と、そこでベルケンドがヴァンの拠点の1つであったと思い出したルークが忠告をいれればイクティノスもまた頷きをいれた。







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