「いやまぁアリエッタがこっちにいるってんなら俺も嬉しい、それは確かだ。イオン達も喜ぶ、それは間違いない・・・けど、だからって俺はお前を引き留める事は出来ないからそう言ってるだけだよ」
「ホントはアリエッタにいてほしい、ですか？」
「・・・俺の本音はな」
そんな空気に押されたまらずルークは自身の本音を本意でないと苦くも語るが、対照的にアリエッタの顔は少し明るくなる。
「よかった、です。ルークからその事、聞けて・・・」
「・・・アリエッタがいいならいい、って言いたいところだけどいいのか？自分で言っちゃなんだけど謡将と戦う事は確定してんのに、お前が戦いにくくなるようなこと自分でやっちゃって・・・」
「・・・いいんです、もう。謡将の事・・・」
「・・・それ、本気で言ってるのか？」
安心したように声を上げるアリエッタだがいざ敵対したなら互いに困ると考えていたルークの気遣う声に、アリエッタはうつむき悲し気に諦めを込めた声を上げる。ルークは真剣に確認の声を向けるが、アリエッタは決意を込めた顔を表に上げる。
「はい。ルークの話聞いて思った、です。多分アリエッタ、謡将の所に戻ってルークと仲良くしてくださいって言っても無理だって・・・それに、謡将がやることもだけど言うことをアリエッタ、信用出来なくなった、です。ルークをいらないなんて、言えるなんて・・・他にもいっぱい言いたいことある、です。けどそんな事出来る謡将、信じられない、です・・・」
「・・・いいんだな？まだ引き返せるぞ？」
「いい、です。どっちか選ばなきゃならないなら、アリエッタ、ルークと一緒がいい、です」
「っ・・・そうか・・・・・・いきなり何を言うんだよ・・・」
そのまま自らの決意を語る姿に再三アリエッタに決意を伺うルーク。だがふわりと自身に向けられた笑顔と名前にルークは納得したように顔を背けるが、赤くなった顔と後半小声で呟いた声には明らかに照れがあった。
「・・・話はそれで終わりか？早く休まねーと、明日ザオ砂漠入るんだから体持たねーぞ」
「あ、はい。じゃあアリエッタ、お部屋戻る、です・・・お休みなさい、ルーク」
「・・・あ、あぁ・・・お休み」
照れに耐えれなくなったルークは表情を必死に普通に戻して精一杯の強がりで休むよう言えば、アリエッタは幼さがありながらもどこか大人っぽく嬉しそうに挨拶をして退出していく。ルークはその雰囲気に見惚れて圧されたよう、精一杯に言葉をふりしぼりその姿を見送った。
「・・・くっそ、なんなんだよ。なんだよ、この気持ち・・・」
そしてアリエッタがその部屋から出てルークは１人頭をかき、訳がわからないと呟く。頬に明らかな赤みを浮かべながら・・・









「ディムロスー、どうなると思う？あの二人」
「うまくいって欲しい、というのが正直な気持ちだな。まぁあの二人なら大丈夫だと思うが」
・・・一方女性二人の部屋に入ったディムロスはハロルドとの会話に興じていた。その話題の中心はルークとアリエッタについて、である。
「でもあんたも随分と気を利かせたじゃない、二人きりにしてあげるなんて。堅物のあんたにしちゃ上出来よ」
「そういうお前が焚き付けておいて何を言う、ハロルド」
「別にいいじゃない、あの娘かわいいんだし。恋心を愛情に昇華させてあげるのもいいかなーって思っただけよ、私は。それにあんたもそれを止める気がなかったからこっちに来たんでしょ、ディムロス？」
「・・・否定出来んな」
愉快犯として動くハロルドに、真摯に二人を想い場を空けたディムロス。共に二人の仲を想い行動を起こした、それが故に今の状況は生み出された。ハロルドの楽し気な笑みに、ディムロスも苦笑を浮かべる以外に出来なかった。









．