必然は偶然、偶然は必然 第十四話

「よっしゃ、とりあえずここの仕掛け解除してセフィロトの中入るぞ。やれっか、ミュウ?」
「任せてくださいですの!」
まずはここに入るにはミュウの助けがいると、ルークは道具袋の中にいたミュウを取り出す。その呼び出しに普段は呼ばれた時と用がある時以外は喋るなと言われたミュウは、嬉々として小さい手をピョコッと上げた(尚、普段あまり活動をさせていなかったのはティアを喜ばせたくなかった為であり別に今はミュウをルークは嫌っている訳ではない)。









・・・そんなやり取りこそあったものの、セフィロトに入る為の仕掛けは以前にも解いたためあっさりとルーク達はダアト式封呪の扉のある幻影を解除した。
「よしよし、これの出番だな・・・っと・・・!」
‘パキィンッ!’
「おー、すげぇ。本当に解けたよ、封呪。んじゃ行こうぜ、先に」
「グッフッフ~♪ここから先が創世歴の技術の粋が集まった場所なのね~、楽しみだわ~♪」
そしてダアト式封呪の扉の前に立ったルークがローレライの鍵を掲げ集中して念じると、扉はガラスが砕けるような音と共に跡形もなく消えた。その事に感心しつつもルークが先に行こうと後ろを見て促せば、1人手をワキワキと動かし目を輝かせるハロルドがそこにいた。
「・・・さ、行くか」
その光景を最大限スルーするディムロスと何か得体の知れない物を見てビクビク怯えるアリエッタを見て、ルークはアリエッタの肩を引き寄せつつディムロスに倣い何も見なかったことにし先に進んで行った。












・・・そしてセフィロトの中に入ったルーク達だが、最初の内こそキャーキャーと言っていたハロルドが少しすると途端につまらなそうにテンションダウンした。
「ふーん、まぁこんな感じか」
「ん・・・何だ?いきなり冷静になって?」
誰よりも創世歴の技術に興味を持っていたのに、いきなり冷めた声を上げた。その事にルークはミュウを持つアリエッタとディムロスが先に行くのも気にせず、立ち止まってハロルドにその訳を問う。
「んー、未知の技術ってことでちょっと期待してたんだけどね。これならちょっと条件さえ整えたなら私の頭でも再現可能なレベルだったから、特に大きな発見もなかったし別にいっかって思ったのよ」
「はぁっ!?」
だが返された何の気なしの答えにルークは驚愕した、ハロルドがその気になれば外殻大地すらも作れると言った答えに。
「あー、念のために言っておくわよ?私のいた世界でも外殻大地があったって話聞いたでしょ。要はあれと造りが似てるしその作り方も覚えてるからそう言ってるだけよ」
「・・・いや、それでも十分すげぇよ・・・」
そこにハロルドが大したことないと言ったように返すが、外殻大地の作り方を覚えて理解してる時点で規格外だとルークは脱力せざるを得なかった。
「でも愚かよねー、この世界の先人達って。外殻大地なんて所詮仮初めの大地でしかないし、第七音素の恩恵にすがり続けてまで預言を詠みたがるなんて。正直、私には理解出来ないわ。滅びへの道を自ら進みたがるヤツの気持ちなんか」
「は?いきなりどうしたんだよ?」
だがハロルドの言いたいことはまだ終わらない。今度は創世歴の人間を批難し出した事に、ルークは訳がわからないと気を取り直して問う。
「だってそうじゃないの。話を聞くと障気をどうにかするための研究なんてのもされてて、そのための理論を確立させた研究書もあったんでしょ?それに外殻大地もパッセージリングが危険だったりした場合に備えて、アクシデントや耐久年数の関係でセフィロトが崩壊するかもみたいな警告が出てたりしてたんでしょ?これ、2つの意見をちゃんと考えて組み合わせて世界に発表したら普通に考えて預言とか関係無く障気をどうにかして外殻大地を地上に戻したいって思える代物でしょ」
「!あっ・・・!」
だが更にハロルドから口にされた的確過ぎるほど的確な指摘に、ルークは反論が出ずむしろその方が正しいと思い目を見開いた。
「勿論時代の関係だとか研究している人間の違いだとか、そう言った伝わりにくくなるかもしれない問題はあると思うわよ?けど危険だからこそ伝えなきゃいけないこともあるはずだし、預言とかそんな薄っぺらい言葉1つで問題点があるものを看過するなんてそれこそ愚の骨頂よ。そう考えると敢えて無視したようにしか思えないのよ。預言を詠みたがる人間が後世の事なんて全く考えず、障気も外殻大地の問題も無視したようにしかね」
「・・・確かにそう思えるな。伝えるべき物を敢えて伝えなかったのは、預言を詠み続ける為の環境にとっては邪魔だった。だから証拠を闇に葬った、か・・・」
その上で故意ではないかもと言いつつもそれだけでは不自然極まりないと言うハロルドに、ルークもそれが真実ではと考えるほどに真剣な面持ちになっていた。







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