必然は偶然、偶然は必然 第十四話

・・・イオン達がタルタロスを使いダアトに向かったその裏で時間は戻り、セントビナーでイオン達と別れたルーク達は一路一番近いセフィロトがあるシュレーの丘へと向かった。












「・・・よし、着いたな」
「ここにセフィロト、ある、ですか?」
「まぁな」
・・・そして辿り着いたシュレーの丘にて、ルークはアリエッタに返答を返しながらも集中して頭に左手を添える。
「(聞こえるか、ローレライ?)」
『(あぁ、どうしたルーク?)』
その集中の理由とはローレライに交信を取るため。意識をして声をかけると、すぐさまローレライは返答してきた。
「(えっと、ダアト式封呪の解除の仕方って鍵を使えばいいって言ってたけどどうやりゃいいんだ?)」
『(基本的に超振動を使うように掲げ、扉に向けて意識を集中させればいい。そうすれば鍵を介してユリア式封呪も解除出来るよう、我が設定し直したからな)』
「(そう聞いたからイオンにティアと分かれられたんだけど、よくやれたよなそんなこと)」
『(元々我もパッセージリングにセフィロトの造りはよく理解している。それにユリア式封呪は多少解釈は違うが、どちらも第七音素を介して作られたもの。そう考えれば我にどうにか出来ぬ道理はない)』
そこから早速聞きたいことの本題に入るルークに、ローレライは答えを返しつつ自身の行動の結果を当然の物と言う。



・・・そう、ダアト式封呪にユリア式封呪があるのにルーク達がイオンとティアの二人を連れてこなかった理由とは、ローレライがその力を持って2つの封呪をローレライの鍵を持って解除出来るように設定し直すと言ったからだ。これは効率よく二手に分かれて行動するための気遣いでもあるが、同時にヴァン達がセフィロトを操作出来ないようにするためだ。

いかにセフィロトの造りを理解しユリア式封呪を血のおかげで解除出来るヴァンとて、ユリア式封呪が解除出来なくなるなら何も出来なくなる。その上まず有り得ない事ではあるが、ダアト式封呪を解除出来るイオンを連れてきたとて何にも出来なくなる。その上人数が少ないルーク達に対しイオンが離れて行動することで、その目をルーク達から引き離すことも出来る。

・・・そう考えればローレライの行動は迂闊な行動さえ起こさなければ、別段損を被るような代物ではなかった。



「(それは素直に感謝するけど、お前はまだ俺達と一緒に行かないのか?別に今は地核にいる訳じゃないんだから、セフィロトを通ってこっちにくることも出来ない訳じゃないんだろ?)」
『(・・・我もそうしたいところだが、まだ少しやるべき事が残っていてな。だからアブソーブかラジエイトのゲートに来ることになれば我もそなたらに合流出来るようにするから、それまでは今まで通りで頼む)』
「(・・・まぁそれならいいや。また連絡することがあれば連絡するから)」
『(うむ、ではまた)』
・・・そんなローレライに感謝しつつもまだ自分達の元に来ない事にルークは何故と問う。しかし深い事情を匂わせるローレライの声にこれ以上聞けないとルークは無理矢理聞かず話を終わりに持っていき、ローレライも通信を切る。そしてルークは手をどけ、前を向く。












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