必然は偶然、偶然は必然 第十三話

「・・・貴殿方にしていただきたいことは今まで言った事です。よろしかったですか?」
「はい、導師のおっしゃりたいことはよくわかりました」
・・・ディストの事まで言った事で、まずダアトでやるべき事は終わった。イオンは話を終焉に持っていくよう、詠師陣に確認を取る。
「ではこれ以降やることを実践していただくため、綿密な打ち合わせをしましょう。色々と必要な物がありますからね・・・ですのでリグレットは僕と残って、クラトスさん達は宿で休んでおいてください。少し時間がかかりますので、ダアトを出る時は僕達から宿に向かいます」
「了解した。では我々は宿に向かわせていただきましょう・・・では、失礼します」
「はい、ではまた後で・・・」
詠師陣が納得している様子からクラトス達に視線を向け休息するよう頼めば、代表者のクラトスが丁寧に頭を下げウッドロウ達も頭を下げ、その場を後にして行く。イオンはクラトス達のその様子を非常に穏やかな笑顔で見送った・・・















・・・そして宿にて1人フリングス少将がタルタロスにいるジェイド達に事の経緯を説明しに行くと場を外した中、ウッドロウ達三人は真剣な様子で顔を見合わせていた。
「さて・・・二人とはここで別れてもらったわけだが、重要なのはこれからだな」
「あぁ・・・これから俺達はバチカルに向かうんだから、下手をすると兵士に取り囲まれて終わるかもしれないしな」
・・・クラトスとセネルの二人が緊迫した声色で次の目的地をバチカルと、逆転の手段を揃えて尚危険な地であるのに変わりはないのでそれを確認しあうように話し合う。
「だがこれは言い換えればチャンスでもある。我々がキムラスカを抑えさえすれば、別行動を取るルーク君達も一気に楽になるからね。それに失敗をする気は君達も元々ないだろう?」
「それは勿論だろ」
「あぁ、言われるまでもない」
・・・だがだからと言ってクラトスにもセネルにも絶望などない。ウッドロウの前を向く為の言葉を向けられ全く淀みなく二人とも返した事で、ウッドロウも柔らかい笑みを浮かべる。
「・・・とりあえず少しの間、我々は休もう。とりあえず今心配なのはルーク君の方だ。彼らはセフィロトを回る身の上でアクゼリュスの件で警戒されているだろうからね。アニス君がいない今我々の行動を読まれる可能性はかなり減っただろうが、やはり不安という点では否めないからね」
「・・・そうだな。けど今はルーク達がうまくいくことを祈るしかない。だから信じて待とう、ルーク達を・・・」
「あぁ・・・」
・・・しかし当面の問題で今危険なのはむしろ裏で後ろ楯なく動いているルーク達。そんなところをヴァン達に襲われれば数の面で、不利な事は否めない。



ウッドロウも緊迫した面持ちになったことで、セネルもクラトスもルーク達を想い遠くを見る視線へと変わった。












二つの運命の岐路の破壊は為された



しかしこれは在るべき物を在るべき姿に変えただけ



歪な英雄像は正しい姿へと破壊される、罪人という真なる姿を現した実像へ・・・






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