必然は偶然、偶然は必然 第十三話

‘ガチャ’
「失礼します、導師。兵士を連れて参りました」
「あぁご苦労様です・・・では早速連れていってください」
「はっ!」
「「・・・っ・・・」」
と、そこに兵士を伴い入って来た詠師の一人にすぐにイオンが捕縛を命じ兵士達はすぐさま二人の捕縛にかかる。だが二人は抵抗も何もすることもなく涙を流しながら、兵士達によりすんなりと部屋から連れ去られて行った。
「さて、導師。これよりどうなされますか?」
それを見届けた所でトリトハイムがイオンに向き直り、今後の指示を求めてくる。
「そうですね・・・まずは先程も言いましたがタトリン夫妻に導師守護役の事からお願いします。特にオリバーとパメラは内密の上で迅速に事を進めてください。モースに早期に事実が露見されたならタトリン一家を丸々とトカゲの尻尾切りのようにしかねませんからね」
「わかりました。流石に大詠師の所業は目に余る物がありますからね。この件は大詠師に情報が渡らないように処置をします」
「お願いします。それとヴァン率いる神託の盾についてはリグレットとアリエッタを除き、除名処分にしておいてください。彼らももうダアト所属の神託の盾にしておくには無理がありますし、それを覚悟の上で行動しているでしょうからね。兵力は確かに減りますが、手元に無理矢理置いたとていずれ彼らは世界に牙を向くでしょう。その時に備え彼らと我らは別物と示しておく必要があります」
「成程・・・」
「尚、ヴァンの使用していただろう基地についての情報はリグレットより後に詳細な情報を説明していただきます。このダアトの近辺にある基地は我々が始末をつけたいと思っていますので、それは後々詳しく打ち合わせをしてくださいね。リグレット」
「はっ、わかりました」
「後は出来る限り情報規正してください。この事実を一般の教団員に知らせるにはまだ早すぎますので、ヴァンの反逆の物的証拠とモースの罪状を確定させるまではくれぐれも内密に」
「はっ・・・しかしイオン様、どこか変わられましたね」
「・・・僕がですか?」
そこからスラスラと後の為の処置を命じていくイオンに承諾の返事を返したトリトハイムだが、途端に変わったと探るよう慎重に言い出したことにイオンは首を傾げる。
「はい、以前のイオン様でしたらこういった時に厳しい処置をくだすとは思えなかった物ですから変わられたと思ったのですが・・・」
「・・・気にしないでください、こちらも色々思うところがあったのでこのままではいけないと思ったんですよ」
「・・・わかりました」
以前との違和感、それを感じたとのトリトハイムの言にイオンは本当の事を言うわけにはいかない為にとっさにそれだけアニス達が酷かったからこそ変わらざるを得なかったとも取れるように影を見せて返す。その顔にトリトハイムもそれ以上は突っ込めず、頭を下げる。
(危なかったですね・・・ついつい昔の自分の時の事を忘れた発言をしていることを失念していました。とは言えトリトハイム達もこれで僕に違和感を感じることはなくなるでしょうから、話を元に戻しますか)
その頭を見ながら内心自分のヘマを反省しつつも、イオンは機転を利かせた事で今までの流れもすんなりと受け入れられると確信しつつ更に口を開く。







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