必然は偶然、偶然は必然 第二話

「・・・あ、そうだ。イオンってこの事をまだ知らないんじゃないのか?あいつもこの事を知る必要があるだろ」
だがふと、ルークはイオンの事を思い出しローレライに問いかける。
『それについてはそなたから話をしてくれ。今の時間帯では導師はタルタロスにいるだろうから下手に我は姿を現せんし、同調フォンスロットは我の同位体ではない導師には開けん。それに我はこれより姿を隠すから、しばらくはそなたたちの前には現れん』
「ん?どうしてだ?」
その問いに自分で話してくれと言いつつもローレライは姿を隠すと言い、ルークはその言葉に眉を寄せる。
『前のこの時点での事を思い出してみろ、我はこの時地核にいただろう。あの時は地核にいたために我の居場所など誰もが検討もつかなかったが、このまま地上に何もせずいれば我の第七音素がいずれかの軍に察知されていらん騒ぎを起こしかねん。故に我は姿を隠すのだ、そなたらに迷惑をかけないために』
「そうか・・・確かあの時も擬似超振動でマルクトに飛んだ時、それを観測したってジェイドも言ってたな」
その訳を話すローレライの声に、ルークはこれから先の事を思い返し第七音素の計測をしていたと言っていた時のジェイドを思い出す。
『そうだ。故に今、我はシュレーの丘のパッセージリングの前にいる。そしてパッセージリングを通じてアブソーブかラジエイトのどちらかのゲートに行こうとしているのだが、そうする前にそなたに連絡を取っておこうと思ってな』
「成程、プラネットストームの音素の中に紛れ込もうってのか。自分の第七音素をプラネットストームで誤魔化す為に」
『ああそうだ。それに地核にいる時などよりそなたとの連絡は確実につくからな。有事があればすぐに連絡はするから、そなたたちはそなたたちで旅をしてほしいのだ。ウッドロウ達もその事については了承は得ているから心配には及ばん』
「・・・そう言うことなら分かったよ」
ルーク達以外の誰かに見つけられる事に対しての処置、そう言われてしまえば返す言葉がない。ルークはならいいかと納得をしつつ、そうすることを理解したと告げる。
『ではもう切るぞ。そろそろ始まりの時は近そうだからな』
‘コンコン’
「おっと・・・起きてるから入っていいぞ」
そしてローレライが用事を言い終え会話を切ると同時にメイドのノックの音が響き、ルークは入口に振り返り入室するよう命じる。



・・・その後メイドに公爵の元に来るよう言われたルークは適当に相槌を打ってから庭に出て、玄関の所に飾ってある宝刀ガルディオスの前に移動した。
(あー・・・だりぃ。ガイが来る前にここに来はしたけど、あいつどうしようかな~。下手に刺激すっと後々めんどくさいし、かといって前のようにこの剣返すような状況にまで持っていくともうガルディオス復帰決定してる時だろうから下手に始末出来ないしな~)
剣を見ながら頭をガシガシかくルークの脳内には、今頃主の室内に窓から入ったものの自分がいなくてガッカリしながらどこぞに行っただろうガイの姿がある。
(つーかもう関わりたくねぇな~、変にあいつに。あいつの勝手な押し付けがましい行為が今となっちゃすっげぇウザくて仕方ねぇ・・・)
そんな姿を想像し、ルークはゲンナリする気持ちを内心に押し込める。



・・・まがりなりにもちゃんとした意識を持ってルーク達は何十年も人の軌跡を見てきた訳ではない。今となって思い返せばガイの行動はルークの為を思った行動ではなく、自身を売り込む為だとルークは考えている。

窓から侵入して馴れ馴れしく主に話しかけることがそうだ。何も知らない頃のルークはそれが自身を楽しませてくれる来訪者が来たとウキウキしていたが、実際思い返してみればルークはそうしてくれと自ら言ったことは一度もなかった。

・・・本来用がないなら主には極力近付かないようにするのが使用人であり、呼び出しを受けて初めて近づけるのが貴族に仕える使用人なのだ。ましてや正規の入口を使わないなどと言うのは言語道断な出来事だ。

それを自分が育てたと言う妙な自負の元で一応最低限屋敷内で暮らせる知識はあるのにも関わらず、必要以上に馴れ馴れしく接してくる・・・それは全てを知りかつての旅の事を思い返したルークからすれば非常に鬱陶しく、切り捨てたい物と言えた。









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