必然は偶然、偶然は必然 第十三話

「さて、ティア。次は貴女です・・・言っておきますが、自分はアニスと違いモースとそこまで密接な繋がりはないと言っても無駄ですよ。貴女には別件でモースの擁護など頼れないような事をしでかしてくれましたからね」
「っ!・・・わ、私はそんなことしていません・・・!」
ハッキリとティアも潰すと言わんばかりの苛烈な言葉に、ティアは怯えながらも不当な物だと見上げながら主張してくる。



「黙りなさい。ヴァンが何かをしようとしていたことを知っていたのを誰にも言わなかった件、それを忘れたとは言わせませんよ」



「・・・え・・・?」
・・・そんなティアに決定的な失敗であり罪であるその自白をイオンは冷たく尊大に突き付ければ、ティアは何をと理解できずに呆けた声を上げる。
「・・・すみません、導師。我々には何を言っているのか分からないのですが・・・」
「・・・あぁそうでしたね、すみません。ちょっと時間はかかりますがその時の事を説明をします」
そこにその時の経緯を知らない詠師の一人が困惑しながら声をかけてきたことに、イオンはアクゼリュスの事実に併せヴァンのやろうとしていたことを話始める・・・















「・・・という訳です。彼女はヴァンを退けた後言ったんですよ、兄が何かをやろうとしていたことを知っていたとね」
「「「「・・・」」」」
・・・そしてその時の事を話終わったイオンの言葉に、詠師達全員が厳めしい顔になり顔をしかめた。
「それはまた、なんというか・・・そう言ったことは言っていただきたかったですね・・・」
「そうでしょう、だから僕は言ったんですよ。それが問題だとね」
「あの、イオン様・・・それは私個人の事情「ではないからトリトハイム達が頭を抱えているのが見えないんですか、貴女は?」・・・え・・・っ!?」
詠師の一人がたまらず声を上げたのにイオンも同意しティアはたまらず最早伝家の宝刀になっている個人的事情という言葉を吐くが、イオンから言葉を遮るようそんなもの効果はないから詠師達を見るよう言われ視線を向ければ懐疑的な表情で全員に返され一気に言葉を無くす。
「では逆に聞きます、ティア。もしアクゼリュスが魔界に落ちたとしたなら被害は相当な物です。しかし貴女はヴァンが何かすることを知っていたにも関わらず、それを止められなかった。その時貴女はどうやって詫びるつもりだったのですか?」
「そ、そんな仮定意味がありません!」
「いいえ意味は十分にあります。貴女はヴァンが何かをしていることを知っていた、つまりはヴァンを止めれる可能性が一番高かったのは貴女という事になります・・・貴女の言うことでは結構前からヴァンの事を知っていたみたいですから、ね」



・・・以前ティアは自身がしっかりしてればなどと悔しがったくせに、結局アクゼリュス崩壊を止められなかったのをルークの態度を見て全てルークに転嫁し、自分の責は何もなかったよう兄の暴挙を嘆く妹の顔であたかも自分も被害者のように振る舞った。



だが今度はそんなティアがルークを罵倒する空気になどさせないし、真実はティアにこそ責があると示す為にイオンは反論を受けつつも話を続けていく。








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