必然は偶然、偶然は必然 第十三話
・・・しかしもう賽は投げたのだ、イオンは。今更二人の為に止めて引き返す気などないし、止めたいと思ってももうイオンにも出来るはずもない。
ウッドロウ達に振り返り先に行くと目だけで促したイオンは先に歩き出し、一同は二人を逃がさないよう周りを囲みながら後についていく・・・
・・・そしてイオンの私室にやってきた一同だったが、けして二人を逃がさないよう寝室に続く扉の前に陣取り再びセネルとクラトスが腕を拘束済みだ。
‘ガチャッ’
「・・・お待たせしました、導師」
「あぁトリトハイム、お待ちしていました」
そして時間が少し経った所でトリトハイムを先頭にぞろぞろと入室してきた詠師陣に、リグレットを横につけ自身の机に備え付けてあった椅子に座ったイオンが出迎える。
「・・・それでご用件とは、と伺いたいところですがその様子ではそちらの二人の事と言った所でしょうか?」
「ご理解していただいているようで何よりです」
「「・・・っ!」」
詠師陣が全員入室しきった所で早速の本題を拘束された二人の姿を見つけ冷たい目付きで予測をつけたトリトハイムに、イオンはにっこりと笑みを浮かべるが反対にティアとアニスの二人はガタガタと恐怖に震え出した・・・今になってイオンが経緯を伝えておいたとの話をまさに実感しているのだろう。トリトハイム達のその態度から。
「確かに導師の手紙を受け、我々もこの二人は神託の盾としてこのような態度はいかがな物かと思いました。そしてそれが到底許される物ではない、と・・・とは言えこの二人の上司は大詠師、いくら導師が何かを言った所ですぐに処分をくだすとは思えません。大詠師の事です、導師の言葉には素直に従わないでしょうからね」
「「・・・っ」」
だが自分達はそれを認めはするがモースは認めないだろうと言えば、ティアとアニスの二人は光明を見つけたかのようハッと目を見開かせ輝かせる・・・が、そんなもの光明になどなりはしない。イオンはその光明を闇に沈める為、冷笑を浮かべて口を開く。
「でしたらアニスが僕のスパイをしていた、という事実があればモースの許可がなくとも二人は裁けるでしょう?」
「「「「っ!?」」」」
「えっ・・・!?」
「・・・嘘・・・なんで・・・っ!」
・・・その光明を潰すのはアニス自身の罪であり、イオンを死に追いやった原因であるスパイの事実。前は予感しつつもアニスの事情に気遣い知っていて何も言わなかったが、今は躊躇など全くない。
はっきりとした声で問いかける形で口にされたそれに詠師陣にティアも驚愕を浮かべるが、アニスの顔から一気に血が引き蚊の鳴くような声が響く。それをイオンは見逃さない。
「僕が気付いてないと思いましたか、アニス?この2年で何度も僕は貴女の怪しい行動を目撃していますよ」
「・・・あ、あの・・・いくら怪しいからって、それだけで私が大詠師のスパイだなんてそんな・・・」
「ならば証拠を見せればよろしいのですね?」
「え・・・っ!?」
すかさず冷静に攻撃するイオンにアニスは精一杯に状況証拠だけじゃ無理があると怯えながら言えば、物的証拠はあるとイオンは宣いアニスの表情に焦りを浮かばせる。
・・・前はアニスがモースのスパイをしていたことが分かったときはルーク達の目の前で起こした現行犯だったため物的証拠など必要なかったが、今回はアニスを表舞台から消したいのもあってイオンは変に事態がこじれる前に決定的な証拠を掴むべきだと裏で動いていた。
そして今その証拠を出す時と、イオンは懐に手を突っ込みその証拠を取り出す。
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ウッドロウ達に振り返り先に行くと目だけで促したイオンは先に歩き出し、一同は二人を逃がさないよう周りを囲みながら後についていく・・・
・・・そしてイオンの私室にやってきた一同だったが、けして二人を逃がさないよう寝室に続く扉の前に陣取り再びセネルとクラトスが腕を拘束済みだ。
‘ガチャッ’
「・・・お待たせしました、導師」
「あぁトリトハイム、お待ちしていました」
そして時間が少し経った所でトリトハイムを先頭にぞろぞろと入室してきた詠師陣に、リグレットを横につけ自身の机に備え付けてあった椅子に座ったイオンが出迎える。
「・・・それでご用件とは、と伺いたいところですがその様子ではそちらの二人の事と言った所でしょうか?」
「ご理解していただいているようで何よりです」
「「・・・っ!」」
詠師陣が全員入室しきった所で早速の本題を拘束された二人の姿を見つけ冷たい目付きで予測をつけたトリトハイムに、イオンはにっこりと笑みを浮かべるが反対にティアとアニスの二人はガタガタと恐怖に震え出した・・・今になってイオンが経緯を伝えておいたとの話をまさに実感しているのだろう。トリトハイム達のその態度から。
「確かに導師の手紙を受け、我々もこの二人は神託の盾としてこのような態度はいかがな物かと思いました。そしてそれが到底許される物ではない、と・・・とは言えこの二人の上司は大詠師、いくら導師が何かを言った所ですぐに処分をくだすとは思えません。大詠師の事です、導師の言葉には素直に従わないでしょうからね」
「「・・・っ」」
だが自分達はそれを認めはするがモースは認めないだろうと言えば、ティアとアニスの二人は光明を見つけたかのようハッと目を見開かせ輝かせる・・・が、そんなもの光明になどなりはしない。イオンはその光明を闇に沈める為、冷笑を浮かべて口を開く。
「でしたらアニスが僕のスパイをしていた、という事実があればモースの許可がなくとも二人は裁けるでしょう?」
「「「「っ!?」」」」
「えっ・・・!?」
「・・・嘘・・・なんで・・・っ!」
・・・その光明を潰すのはアニス自身の罪であり、イオンを死に追いやった原因であるスパイの事実。前は予感しつつもアニスの事情に気遣い知っていて何も言わなかったが、今は躊躇など全くない。
はっきりとした声で問いかける形で口にされたそれに詠師陣にティアも驚愕を浮かべるが、アニスの顔から一気に血が引き蚊の鳴くような声が響く。それをイオンは見逃さない。
「僕が気付いてないと思いましたか、アニス?この2年で何度も僕は貴女の怪しい行動を目撃していますよ」
「・・・あ、あの・・・いくら怪しいからって、それだけで私が大詠師のスパイだなんてそんな・・・」
「ならば証拠を見せればよろしいのですね?」
「え・・・っ!?」
すかさず冷静に攻撃するイオンにアニスは精一杯に状況証拠だけじゃ無理があると怯えながら言えば、物的証拠はあるとイオンは宣いアニスの表情に焦りを浮かばせる。
・・・前はアニスがモースのスパイをしていたことが分かったときはルーク達の目の前で起こした現行犯だったため物的証拠など必要なかったが、今回はアニスを表舞台から消したいのもあってイオンは変に事態がこじれる前に決定的な証拠を掴むべきだと裏で動いていた。
そして今その証拠を出す時と、イオンは懐に手を突っ込みその証拠を取り出す。
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