必然は偶然、偶然は必然 第十三話

二手に分かれたルークとイオン達・・・そんな二手に分かれた内のイオン達だが当面の目的地としているのはバチカルではなかった。その目的地とは・・・









・・・セントビナーより数日かかりタルタロスに乗って海を越え、ある港に着いたイオン達はその港に上陸する。ただし・・・
「イ、イオン様ぁ・・・お願いです、やめてください・・・」
「教官・・・!」
・・・アニスはセネルに、ティアはクラトスに両腕を後ろ手に組まされ手を握られ歩かされる形で。二人はそれぞれ悲痛な声で拘束を解くように願い出てくるが、先頭のイオンは眉間にシワを寄せつつ振り向く。
「何を言っているんですか。わざわざダアトに来たのは貴女達の処遇を決めるためになんですよ。それに遅かれ早かれ貴女達はこうなる事は決定してました。大人しくついてこないというなら導師の裁量を持って今この場で裁断してもよろしいんですよ?」
「「・・・っ!」」
すかさず情け容赦なく言外に文句あるなら殺すと言えば、二人は今までとは更に一線を画したイオンの迫力ある中身の声に言葉を失う。



・・・そう、ここはダアトの港である。イオン達がダアトに来た理由とはティアとアニスをここで断罪するためであるのだが、当然それを知らされていなかった二人はガイとジェイドを差し置き牢から出されダアトに着いたと言われ非常に顔を青ざめさせた。

だがいくら二人が嫌がり拒否した所で情けをかける気もない上、この二人を使ってこそやれることをやるためにダアトにイオン達は来たのだ。だからこそイオン達は二人を逃がす気など毛頭なく、例え抵抗したとて力づくででも連れていく気でいた。









・・・イオンが二人を黙らせた後、一同はその足をダアトへと向けた。もちろん二人はぐずってはいたが、そんなことなどイオン達には関係無い。
時間もそこそこしたところで、イオン達はダアトに辿り着いた。



「さて・・・セネルさん、クラトスさん。拘束を解いて差し上げてください。とは言ってもあくまで街中で拘束をしている姿を街の人に見せるのは少しはばかられかるというくらいですから、街中では普通に振る舞ってくださいね」
「「・・・はい」」
「では行きましょう」
街中に入った所で拘束を解くように言えばセネルとクラトスは手を離すが、声色が逃げるなと暗に優しいが怖く示していただけに二人は肯定する以外に出来ずにイオンの後をついていく。



「・・・さて。すみません、少しいいですか?」
「はっ!なんでしょうか、導師!」
・・・そして教会の中に入ったイオンは早速と近くにいた神託の盾の兵士に声をかける。
「すぐに私の部屋に詠師陣を呼んでもらっていいですか?火急の用ですので、余程の用でなければすぐに来るように伝えてください。いいですか?」
「はっ!かしこまりました!」
そのまま用件を頼み込めば兵士は敬礼を威勢よく返しながら了承し、その場を去っていく。
「さ、僕の私室に行きましょうか」
「「・・・っ!」」
その姿を見届け振り返りながら行こうと言うイオンだが、詠師陣を集めるという意味に気付いたのか二人は顔面蒼白となっていた。










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