必然は偶然、偶然は必然 第十二話

『まぁ独身であることを否定する気はないが、出来れば身を固めてもらった方がいいとは思う。元々ウッドロウはこの世界の人間ではない。下手にどこの出身といった話になればややこしいことになりかねん』
「えぇ、そうですね。どこの人間か、というのは重要でないように見えて人はこだわりますからね。現に身分不確かな人間は能力があっても、不遇の位置にいたりもしますから。いくら僕やルークが言っても、快く思わない人は少なからずいるでしょう。それを無くすには結婚をしていただいた方が都合はいいんですよね、色々誤魔化しが聞きますし・・・」
・・・そう、二人が一抹の不安と懸念するのはウッドロウがこの世界の者ではないことであった。



・・・このオールドラントにおいて、身分もだが出自も重要な物がある。ガイのようにはなから元々からの身分を必要としないような職につくのならさして出自に身分は必要はないが、国の重職となるとまた違いが生じてくる。

優秀ならそれでよし、と言われる程身分に出自の壁はオールドラントは低くはないのだ。もちろん国も優秀な者を嫌う道理などないが、ある程度どういう人物かをわかりやすく見れる基準があった方がいいと判断する物。その点身分不確かな傭兵崩れ、という身分はあまりにも国の上層部にいきなり食い込ませるには反発が来るのは容易に想像が出来ていた。



「でもそれをウッドロウさんに言ったところで素直に結婚をすると思いますか?まぁ僕達の言いたいことはわかってくれるでしょうが、個人的には間に合わせのような人とくっついてほしくはありませんしウッドロウさん自身が納得してくださる方とそうしていただきたいのですが・・・」
『・・・まぁそれも当然だな。俺としてもウッドロウ本人が納得出来るような人物と結婚をしてもらうにこしたことはないし、そう言った事情を理解してくれる人物でなければな』
・・・しかしそんな不安があるとは言っても、結局当事者となるのはウッドロウ。本人の意志を無視した上で話を勝手に進め結婚をさせるなど、二人にとってかなりはばかられることで二人共に苦い声を上げる。
『・・・俺として一番いいと思うのは、リグレットとくっついてもらうことなんだがな・・・』
「リグレット・・・ですか?」
『あぁ』
そんな中でイクティノスから出たリグレットという名に、イオンの目が意外だと見開く。
『これは俺がデオ峠で二人の事を見ていたから、だろうがな。下手にウッドロウに見合いをさせるよりはリグレットにウッドロウを落としてもらった方が収まりがいいと思えるんだが』
「・・・確か話を聞けば彼女はウッドロウさんに説得されたと聞きましたし、それからは彼女は僕やルークにクラトスさん達と比べればウッドロウさんの隣によくついてますから・・・よく見てみれば、お似合いと言えば確かにお似合いですね」
更にイクティノスの話を受け頭の中でウッドロウに近く寄り添うリグレットの姿を思い浮かべ、イオンはそう言えばそうだと納得する。
「ですが彼女がそう言ったことに関心を持つでしょうか?いくらこちらに付いてくれたとは言え、彼女がその方面でウッドロウさんを見れるか少し怪しい気がしますが・・・」
『・・・ふむ』
とは言え軍人としての姿しか見たことのないイオンはリグレットの何のしがらみもない女性の面があるのかと疑問の声を向けるが、イクティノスは何かを考えついて落ち着き払った声を上げる。
『ならばリグレットの元に行こうか、俺がそれを確かめてみる。ちょっと連れていってくれ』
「え?・・・あ、はい。わかりました」
その声にこもった確信めいた響きを受け、イオンは少しキョトンとしたがすぐに気を取り直して立ち上がりイクティノスを持ち上げるとその部屋を退出していく・・・











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