必然は偶然、偶然は必然 第十二話

「グフフ・・・とりあえず行きましょ、遅れちゃまずいわ」
「は、はいです・・・」
(ルークはアリエッタの自主性に任せるみたいに言ってたけど、それじゃあヴァンにどうにか丸め込まれる可能性もあるからね~。だから私は私なりにやらせてもらうわよ、この子の為にもね♪)
・・・だからこそルーク自身がいかに不本意な形であろうとも、アリエッタの意志を踏みにじらない程度にハロルドは行動しようと決めた。
まずは追いつこうと言われ戸惑ったままのアリエッタを後ろに気配を感じながら、ハロルドは至って楽し気な笑みを浮かべつつルーク達の後を追う・・・















・・・そんな事がルーク側で起きている中、タルタロスに乗って移動しているイオン側・・・



「・・・さて、とりあえず目的地まで時間もあることですししばらくは休憩しますか」
「うん、ルーク君達には少々申し訳ないがね」
ルーク達を置き終えブリッジに戻り航行も安定した所でイオンが休憩を提案し、ウッドロウを始めに以下一同頷く。
『ウッドロウ、イオン、いいか?』
「ん・・・どうしたイクティノス?」
「僕達に何か?」
その空気を読み解散になる前、すかさず二人の名を呼んだイクティノスにウッドロウとイオンの注目が集まる。
『いや、休憩の所でなんだがイオン。俺にちょっと付き合ってくれないか?』
「え・・・それはいいですけど、何に付き合えばいいんですか?」
『何、俺はこの身なんでな。この世界の事を改めてお前の口から直に聞きたいんだ。それで少しお前の時間を俺に使ってもらえればありがたいが・・・』
「大丈夫ですよ、そういう事なら全然構いません」
そのイクティノスの用事向きとはイオンとの話で、イオンも快く了承する。
『助かる。とは言え俺にウッドロウも付き合わせるのは休憩の意味が薄れるからな。ウッドロウは俺をイオンに預けて休憩していてくれ』
「おや?・・・珍しいな、イクティノス。お前が私に気を遣うとは」
だが続いた二人の間でらしくない事を言い出すイクティノスに、ウッドロウは意外そうに笑みを浮かべつつ首を傾げる。
『何、たまにはお前は俺を気にするでもなく休憩をしてもいいだろうと思ってな。まぁイオンには悪いとは思うがな』
「いえ、悪いなんてそんなことはありませんよ」
「ふむ・・・そういう事ならお言葉に甘えよう。はい、イオン君」
しかし自身もたまにと言ってイオンも笑顔を浮かべたことに、ウッドロウは素直に好意を受け取りイクティノスを鞘ごと手渡す。
「ありがとうございます。では部屋に行きましょうか」
『あぁ』
イクティノスを受け取ったイオンも笑顔で礼を言い、早速と二人はその場を退出していく(正確には一人と一本だが)。









・・・そしてタルタロスの中の一室に入ったイオンとイクティノス・・・
『すまない、イオン。入口側にではなく窓側に寄ってくれ。出来ればこの話を誰かに聞かれたくない』
「え・・・あ、はい・・・」
すると部屋に入った途端イクティノスから緊迫感のこもった声が届いてきた事に、イオンは入口側から対角線上にあった机の所に向かう。
『すまないな』
「いえ・・・もしかしてこうやって話をしたいと申し出たのは、別に訳があったからですか・・・?」
『あぁそうだ。騙す形で悪かったがな』
「いえ・・・貴方がそうするということはそうしなきゃいけない訳があるんでしょう、話してください」
すぐにその机に着きイクティノスを置けば、届いてきたのは謝罪の声。その声に申し出に裏があったのを感じたイオンにイクティノスは騙したことを謝るが、イクティノスの人柄を知るイオンは気にした様子を見せずに席に座りながら先を促す。









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