必然は偶然、偶然は必然 第十二話

「そういうことなら俺は何も言わないよ、後はヴァン謡将達とどういう風にするかを決めるだけだ・・・それはともかくとして、だ。よく決心したな、イオンの事」
‘ナデナデ’
「あ・・・うん、ちゃんと考えた、です。アリエッタ・・・」
辛い物と向き合い前向きな結論を出せた。その事を誉めながら頭をなでたルークに、アリエッタは少し気持ち良さそうにうつむきながら答える。
「・・・お前の知るイオンに俺は会ったことないからなんとも言えないけど、アリエッタに自分が死ぬことを伝えなかったのはそのイオンの気遣いでもあったかもしれないけど同時に残酷な事でもあった。アリエッタの想いが届かないままに時が過ぎてしまったんだからな、死んだことを知らないままに。それを乗り越えられたことを俺はすごく嬉しく思うよ」
「・・・ありがとう、です」
そのままに真摯に自分の想いをルークが微笑みを浮かべ言えば、アリエッタは更にうつむき小さく声を上げる。その角度と身長の違い上ルークからは見えなかったが、アリエッタの頬にはほんのり赤みがかっていた。
「ルークー、アリエッタに構うのは別に構わないんだけどそろそろ行かない?こっちはタルタロス無いからイオン達より遅くなんのよ」
「ん、あぁ悪いな。ハロルドもディムロスも」
と、空気を壊さないようにしてたが痺れを切らしたのかハロルドが声をかければルークは軽く二人に向き謝る。
「いや、構わない。それよりここから近いのはシュレーの丘のセフィロトだったかな?」
「あぁ、んじゃ行くか」
「・・・・・・っ・・・何?」
ディムロスが首を横に振って答えれば、ルークはならさっそく行こうと足を動かす。それに習いディムロスとハロルドも後ろに付いていこうとしたが、ハロルドの横に来たアリエッタが腕を引いてきた事にその寂しそうな顔を見たハロルドは程々に男二人から距離を取りながら歩きつつ、行動の訳を問う。
「・・・もうちょっと、時間欲しかった、です」
「っ・・・あぁ、そういうことね♪」
すると出てきたのは邪魔しないで欲しかったとすねたような顔と声だが、その顔を見てハロルドは何かに気付きニンマリとそれは楽しそうにアリエッタの顔を覗き込む。
「まぁいいじゃないの、これからしばらくは一緒にいられるんだし♪そうなれば私達だって気を遣って二人きりくらいにはしてあげるわよ?」
「!?ふ、二人きり・・・!?」
そこから明らかに楽しんでいる口調でハロルドがトンと指先で鼻を押せば、アリエッタはボンと一瞬で顔を赤くさせてしまった。
(グフフ・・・なんて可愛いんでしょ、この子♪)
・・・今までさしてハロルドは色恋沙汰に興味は持たなかった。自分がそうしたいと思えるような対象がいなかったために。だが知識だけはそれこそ様々な本なり周りにいい実例がいたため、豊富ではあった。その上でハロルドはそれなりに可愛い物を室内に飾るくらいには好きであり、今のアリエッタは彼女の可愛いという基準を上回る程に可愛かった。
(これはこの子の為にもルークの為にも、是非とも私が色々手助けしないとね~♪)
・・・だからこそアリエッタはルークが好きになったのだろうと遠回しに言ったことに真っ赤になって反応した瞬間、ハロルドは元々の愉快犯気質に火がついたのもあって二人をくっ付けようと考えていた。それこそどんな手段を使おうともと。









10/17ページ
スキ