必然は偶然、偶然は必然 第十二話

「ま、いいじゃないの。それよっか私達がどういった組分けをするかもちゃんと伝えないといけないでしょ?」
「まぁそうだけど・・・確かフリングス少将はイオンの方だよな?」
「えぇ。こちらはモースを止める言わば表側の仕事ですからね。こちらに来てマルクトの目としてその結末を見届けるのが妥当ですから」
「ま、そうだな」
そんな忙しかった疲れなど全く見せないハロルドが気楽に組分けと言えば、セネル・イオン・ルークの順で顔を見合わせながらわかってると軽い笑顔で宣う。



・・・効率に加えてこれからの展開に余裕を持たせる為。ここでだからこそ二つに組分けするのだがキムラスカに行くのはイオンを中心としてウッドロウにクラトスにセネルにリグレットにフリングス少将、セフィロトを回るのはルークを中心としてハロルドにディムロスにアリエッタというメンバーにすることを一同は決めた。

何故このような人選なのかと言えばまずイオンには表向きはモースより立場が上なのを利用するため、イオン達の方が人員が多いのは下手すればキムラスカが相手になりかねない危険があるため、ウッドロウがイオン側にいるのはイクティノスを介してルーク達と連絡をローレライが取れるようにするため・・・というのが主な理由である。

他のメンツはそれぞれどうするか話し合った結果、各々付いていく側を決めこのような割り振りとなったわけである(尚女性三人の訳としてアリエッタは自らルーク側に行くのを希望し、同様にリグレットもウッドロウがいるイオン側の方を希望し、ハロルドは実物のパッセージリングを見たいという理由でルーク側を希望したと1人熱の入り方が違っていたことを明記しておく)。



「・・・お待たせ致しました導師、ルーク殿」
「・・・あぁ、貴方がフリングス少将ですね」
「はい、以後お見知り置きを」
「こちらこそよろしく」
すると話をしていたルーク達の前に現れフリングスは丁寧に一礼をすると、イオンとルークはその人柄と結末を知っているだけに好意的に会釈する。
「それで早速ですが、もう出発されますか?」
「いえ、まずは話を聞いていただけないでしょうか?これからの行動指針を聞いていただかなくてはいけませんので・・・」
「・・・はい、わかりました」
そこで早速出発を口にしたフリングスにイオンが表情を神妙にして話を切り出し、それにフリングスも真剣に頷く。そこからイオンは話し出す、自分達の目指す展開の為に二手に分かれることを・・・















「・・・という訳です。だから僕達は二手に分かれたいのですが・・・」
「成程、そう言うことですか・・・そう言うことなら確かに二手に分かれた方がいいですね」
・・・そして二手に分かれるメリットを語り終わった所でフリングスは納得して頷くが、そこで難しい顔をしながら次の言葉を続けた。
「・・・ですがそれではルーク殿の経過が分からない事に不安を覚えますし、私個人だけでなくマルクトとしてもその経過を知りたいと思うでしょう。ですので出来ればルーク殿には無事であるとの確認と事後報告を兼ねて、グランコクマに報告の手紙を送っていただけないでしょうか?ルーク殿の方は目立つのを避ける為に人員を多くしないよう、これ以上は人を付けられないとのことですからそうしていただけるとありがたいのですが・・・」
「あぁ、そう言うことなら全然大丈夫です。マルクトに協力してもらってるのもありますからそれくらいはやらせていただきますから」
「すいません、ありがとうございます」
そんな中身は離れるルークに対して、最低限出来るマルクトへやる報告の手紙を出して欲しいとの切な要求。その下手に出た声にルークは気分を悪くするでもなくあっさり頷けば、フリングス少将はまた丁寧に頭を下げる。
(やっぱり違うな、あの陰険眼鏡とは)
そんなフリングスにルークもイオンも気分をより良くしていた、その細やかな気配りにまともな形で下手に出て願い出るその姿勢に。






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