必然は偶然、偶然は必然 第十二話

「フォミクリー技術の詳しい概要もしくは第七音素を収束するコツを教えて欲しいのよ」
『・・・ふむ、それは出来ないことはないがそなたはフォミクリー技術の事を研究したいとか言ってなかったか?そんなそなたならフォミクリー技術の仕組みはもう勝手に理解してるかと思ったのだが・・・』
「そりゃそうしたい所だったわよ。けどフォミクリー技術の詳細が書かれた本なんてそこら辺にあるわけないし、ジェイドにそんなこと聞くのも余計な事を勘づかれかねないしね。自分で研究しても良かったけど、何せ時間が足んないのよ。技術を独自で解明するにはね・・・それに今回は人命かかってんでしょ?だからフォミクリー技術はもうさっさと治療用に転用した方がいいと思って、あんたに詳しい話聞きたいのよ。余計な時間を食う前にね」
『・・・成程、そういうことか。そう言うことなら喜んで協力させていただこう』
それで協力の内容を語り時間がないからやむなく自分を曲げて願い出たと言うハロルドにローレライは肯定して返すが、ここでイクティノスがローレライに続く。
『しかしまた、人命がかかっているとは言えお前が科学の事で妥協するとは珍しいものだなハロルド。てっきりお前の事だから意地でも自分でやると言うかと思ったのだが・・・』
「イクティノスー、あんた私を馬鹿にしてる?そりゃ私も未知の技術に挑戦したいと思ってたわ。けど私だって少しくらいは時と場合はわきまえるわよ、人の命が関わるときくらいはね。それにフォミクリー技術を応用した技術を開発するのも楽しそうだと思ったから、それで今は我慢しようと思っただけよ。それはそれで誰もやったことない未知への挑戦だから♪」
『そうか・・・』



・・・自分の知るハロルドなら有無を言わさず自分の納得するまでやりたいことをやるはず、時には周りを巻き込んでまで。そんな姿ばかりを見てきたイクティノスにとって意外と言えば意外だったが、別にハロルドにとってはさして意外な事でもないのだ。興味が移ろいやすい性格も、自分がのめり込める物の対象を自分の気分でよく変えることも。



そんな気まぐれさも相まってこそハロルド、といった楽しげな答えを返されイクティノスも納得をしてそのまま沈黙をする。
「あっ、そうそう。クラトスー、あんた見ているのはいいんだけどその装置が完成したら障気障害の患者を連れてきてくんない?作ったからには使わないと意味ないからね」
「あぁ、わかった」
そこから思い出したようついでにハロルドが役割を頼めば、クラトスはあっさり首を縦に振る。
「さ、部屋に戻ってさっさと作業に取りかかるわよー♪」
一通り自分の言いたいことを言い終えハロルドはそれは楽しそうに歩き出す、早くその技術の着手に取りかかりたいと言わんばかりに。












・・・それから程なくしてフォミクリー技術の概要をあらかた聞いたハロルドはその時点で自身の中でどうするか決めたのか、さっさと怒濤の勢いでそこらにあるものを適当にひっぺがすなりクラトスに必要な材料を持ってこさせるなりして障気抽出装置を作り上げた。表向きこそコーラル城にあったようなフォミクリー装置を小さくしたような形をしていたが。

ただ形はともかくとして、ハロルドが作り上げたその装置の上に寝転がった1人のアクゼリュス住民にその装置を使った結果・・・その住民から、障気を取り除くことに成功した。これにはイオン達に恥ずかしさから逃げたルークも驚愕しか出来なかった。

それでどういう原理かと詳しい話をルーク達が聞けば、簡単に言えば上の部分から第七音素を集め下の背中の接地面にその集めた第七音素が障気を吸い取る仕組みになっているとのことだった(ちなみに詳しい仕組みの構造までの話はルーク達は丁重に断った、理解出来ないと思った為)。

そんな誰もがなし得なかった装置の作成にハロルドは成功した訳だが、一万人もいるアクゼリュス住民相手ではすぐに全員全快という訳にはいかない。故にハロルドは装置開発の責任者として使い方を教えたり、治療をしたりとセントビナーに行くまで忙しかった身なのだ。







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