必然は偶然、偶然は必然 第十二話

「まぁどうなるにしろいずれピオニー陛下には会わなきゃならないんだ。その辺りはまだ気にしないでいいだろ・・・それよっか問題はここからだな」
「うん、そうだね。ここからは二組に分かれて動くんだから」
そんなピオニーの事は気にするなと言いつつも表情を固く締めるルークに、ウッドロウがその意味・・・二組に分かれるという中身を明かす。
「このままモースを放っておいたらこちらとしても面倒な事態を引き起こされかねませんしね。かと言ってこのままパッセージリングを放っておけばもしもの時手遅れになりかねません・・・これを解決するには僕達が二組に分かれた方が効率がいいんですからね」
「問題はフリングス少将を説得出来るかどうかだが・・・」
「ま、そりゃルークとイオンの二人の仕事だから頑張ってね~」
「何気楽に言ってんだよ、ハロルド・・・まぁお前はすごいことやってくれたから、お前はやらなくてもいいかもって思うけどな・・・」
・・・その訳はモースにパッセージリングという前者は何をしでかすかわからないもので後者は後に回せば回すほどまずくなりかねない、どちらも放っておけば手遅れになりかねない物。早急な問題解決には二組に分かれた方がいい、そうアクゼリュスからセントビナーの間で話し合ったからこその結論である。



その話し合った中身に基づいた事をフリングス少将に納得をしてもらわねばとディムロスは難しい顔をするが、至って気楽に説得をぶん投げる発言をしたハロルドにセネルが疲れたような声を上げる。






・・・さて、ハロルドが何をしたのか。それはアクゼリュスからセントビナーに出立する前のタルタロスにまで時間が戻る。












「はいはーい、ちょっとごめんなさいね~」
「む・・・ハロルド、何の用だ?」
・・・アリエッタに話を通し終わりウッドロウが話したいと思っていた話をし終えて少しして、その部屋に唐突にノックもなしにハロルドが楽しそうに入ってきた。ディムロスが怪訝な顔で反応するが、ハロルドは全く気にせずウッドロウの前に向かう。
「ウッドロウ、ちょっとイクティノス貸して!」
「・・・いきなりどうしたんだい、ハロルド?」
「ちょっと障気を体から取り出す装置を作るのにイクティノスが必要なのよ、だから貸しなさい!」
「まさか・・・もしかして、もうその装置を作れるというのか?その言い方からして」
「んー、まぁね」
「・・・っ!」
ウッドロウの前に立ちイクティノスを要求するハロルドにウッドロウが少し首をひねる中、有無を言わさない声でまた手を差し出す様子にリグレットが先程話していた障気を取り出す装置の事を聞く。その声にあっさりとハロルドは肯定し、リグレットは信じられない物を見る目になる。
「だがどうしてイクティノスが必要なのだ?イクティノスが必要な訳がわからないが・・・」
「んー・・・ちょっとね。調べたいことがあって、だからイクティノスが必要なのよ」
「・・・成程、そういうことか。わかった、イクティノスを渡そう」
そこにクラトスが疑問の声を上げるがハロルドにしてはらしくなく言葉を濁しつつアリエッタの方をチラッと見て答えれば、クラトスもウッドロウも言葉にしないものの納得をしてウッドロウはイクティノスをハロルドに手渡す。
「じゃあ私は仕上げにかかるわね~」
「待て。少々私はその装置に興味がある。私も行っていいか?」
「いいわよ。けど作業に集中したいから話しかけないでね。それと部屋が狭くなるからクラトス以外は来ないでね~、邪魔になるから」
「あ、はい・・・わかりました」
「んじゃ行くわよ~」
もらうものはもらったとさっさと上機嫌で退出しようとしたハロルドにクラトスも行くと声をかけ止めれば、了承を返しつつも他は来ないように辺りを見渡しながら言い渡す。イオンが少し戸惑いながらも返せば、今度こそハロルドはクラトスを伴いその部屋を出ていった。









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