必然は偶然、偶然は必然 第十二話

「・・・まぁ何はともあれ、導師がこちらに来られる前にピオニー陛下から最終的にどうするのかとの指示の手紙が届いて参りました。その中身は要約すれば『貴殿方にマルクトは全面的に協力する、必要な物があればなんなりと言ってくれ。是非とも滅びは避けたいからな』とのことです」
「そうですか・・・」
・・・そんなモースだからこそ皇帝陛下として、マルクトの一市民として信じる気にはなれない。ピオニーの気持ちまで乗せて語るマクガヴァン元帥に、イオンは神妙な表情になる。
「・・・それとまた『貴殿達が内密に行動していることは知っている。だがマルクトも状況を把握したいからジェイドの代わりと言ってはなんだがマルクトの目としてアスランを派遣するから連れていって欲しい』とも言っております・・・一度ジェイド坊やを派遣した事で導師のお心に我々に対する不審はおありでしょう・・・ですがあえてもう一度だけフリングス少将を信じてはいただけないでしょうか?本来でしたら信用がなくとも我々が行きたいのですが、我々にはアクゼリュスの住民の受け入れとセントビナーをまとめる役割があって行けないのです・・・ですから、どうか!」
「ちょっと、そんなに頭を下げないでください元帥!事情があるのはわかってますので、フリングス少将に来ていただいても大丈夫ですよ!」
だがそこからマクガヴァン元帥はこれが本題だと言わんばかりにジェイドの分の謝罪までも含めて力強くフリングスを連れていってくれと頭を下げて願い出れば、イオンは焦ってすぐさま大丈夫だと声をかける。
「そうですか・・・ではフリングス少将を呼んでまいりますので少しお待ちください。時間があるのでしたら基地の中でゆっくりとしてから送り出したいのですが、皆様はもう行かれるのでしょう?だから我々はまだ残る問題に向かうかたわら、フリングス少将を呼んでまいります」
「すみません。本来でしたら我々も見送りたい所ですが、アクゼリュスの住民をどういう風に受け入れるかまだ問題が残ってまして・・・」
「いえ、気にしないでください。そういう事でしたらお引き留めするわけにはいきませんので」
「ありがとうございます。では、我々はこれで・・・」
そんな声にホッとしつつもすぐさま気持ちを切り替え、フリングス少将を呼びに行くとマクガヴァン元帥は言いつつもまだクリアすべき課題があるとも告白する。その後をグレンが丁寧にすまなそうに引き継げばイオンも快く了承して頷き、マクガヴァン親子は一礼をしてセントビナーの中に入っていく・・・
「フリングスさんか・・・まぁフリングスさんなら信頼出きるな」
「えぇ」
その後ろ姿を見送りつつもイオンを中心にルーク達は顔を見合わせる。
「だが流石に預言の事を密告したからと我々を全面的に信頼することはなかったようだな。私はルーク達の話からマルクト皇帝はそういった信頼があるなら、後は任せるといった考えをする放任主義かと思ったのだが・・・」
「まぁそんな面も確かにあっけど、そっからのリカバリー早いんだよあの人。それにだ、そんな面を見せなくなったら頼りになるんだぜ?あの人・・・ま、張り切りすぎるくらいにまでなっちまうけどな」
「・・・成程」
そこにクラトスがピオニーが監視と言ってもいいフリングスの派遣を意外だという声を上げるが、ルークが意味深にその性格を言えばクラトスは簡潔に納得をする。



・・・ただ何故意味深にルークはそんなことを言ったのか、更に言えば何故クラトスが言葉少なく納得をしたのかと言えば・・・まだアリエッタには未来からルーク達が来たことを明かしてないからだ。

一応保留で敵にならずにいるとは言え今のアリエッタにそれを言えばどうなるかわからない、そう言った懸念がある故にである。

ただピオニーの件に関してははっきり言えばジェイドに責任がある。ピオニーは余裕を常に持ちジェイドと違った意味で飄々としていたが、そんな心のゆとりをジェイドは失わせてしまった・・・その事に関して罰を与えられても全然おかしくないほどに。









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