必然は偶然、偶然は必然 第十一話

「・・・・・・わかんない」
「・・・あ・・・」
・・・そして何分か経ち、アリエッタから出てきたのは暗い面持ちの一言。イオンは反応し声を上げ近付こうとするがすぐに続いた言葉に気付き立ち止まる、それはアリエッタの独白だと言うことに気付き。
「わかんない・・・イオン様がホントは死んでるとか、謡将がそんな風に考えてるなんて言われて、自分でどうにか考えろって言われても、アリエッタ、わかんない、です・・・それにイオン様が死んでるなんて言われたのも、アリエッタ、それだけでも、キツいのに・・・ヒグッ・・・!」
「「「「・・・」」」」
・・・その暗くうなだれた顔と声にこもっていたのは、未だ自身に混乱及び悲嘆が残っているというもの。涙が再び流れる姿を見てイオン達の顔がまずかったかと歪む、尚早だったかと・・・一人を除き。
(いきなりアリエッタに言うのは酷でしたか・・・って、ルーク?)
心の中で結論を急ぎすぎたかと思うイオンだったが、真剣な表情のルークが一人アリエッタの前に歩み寄る姿を見る。そして・・・
‘ポン’
「えっ・・・?」
「・・・辛いよな、いきなり自分だけで色々全部考えろとか言われたらな」
軽く頭に手を置いた。優しげなその行為にアリエッタが涙に濡れたその顔を上げると、そこにあったのはルークの悲しげに歪んだ顔だ。
「いきなり事実を言われてもどうしたらいいかなんて、わかんないよな」
「・・・なんで貴方が、そんなこと、言える、ですか・・・?」
「・・・俺にもあるからだよ、アリエッタみたいに考えざるを得ない状況ってヤツにあったことがさ」
「「・・・っ!」」
そして同じ立場に立ったように話すルークだったが、アリエッタは何故そんなことをと聞いてくる。だが続いたルークの悲し気な実感がこもった笑みにアリエッタだけでなく、イオンもハッと息を呑んだ。
(・・・そうでしたね、ルークはアクゼリュスの時に考えざるを得ない状況になってしまいましたね。いえ、それを言うなら正確には考えを変えざるを得ない状況でしたね。ティア達が扱いやすいような考え方になるように・・・)
・・・イオンは思い出す、前のアクゼリュス以降のルークの変わり方を・・・



・・・アクゼリュスを知らなかったとは言え消滅させてしまったルークとイオンが再会したのは、再び幽閉されてしまったダアトであった。その姿を見た時髪を切った姿も印象的ではあったが、それ以上に印象的だったのは生き方をティア達にこれ以外ないと選択肢を与えながらも実質的に強制された選択肢のみを選ばせた姿だった。

当時のイオンはそんな姿を見て何とか前に進もうと考え動いているのだと考えていたが、今思えばルークの考えを強制したからこその行動だと思っている。ルークの考え方は不器用なだけで優しく、うまく表現出来ていなかった物を馬鹿だとティア達は罵っていたのだとも。



(幸いアリエッタもルークの想いも含めた過去に、彼の背景をを少なからず感じ取ってくれたようですね・・・ここは下手に何かを言うより、ルークに任せた方がいいでしょうね)
・・・だからこそアリエッタはルーク自身が行動を起こしたことにより、ルークに任せるのがいいだろうと考えた。下手に強制して考えを圧し殺させるよりは、同じように痛みを分かるルークに話をしてもらうことを希望して・・・








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