「ルークとアッシュの入れ換えにレプリカ技術による大地の生成、その２つに使われ、使う予定があるというのは今聞いただろう。だがまだレプリカ技術を用いやったこと及びやろうとしていることはある・・・まずやろうとしていることだが、その大地の生成の後の大地であらかじめレプリカ情報を抜き取っていた人々の情報を用いてのレプリカの人間を続々と産み出すことだ」
「え・・・その後の世界に残るの、謡将達だけじゃないんですか？」
「いくら預言に影響のない世界の為に世界を滅ぼしたとて、その後に残るのがヴァン率いる神託の盾のみなら精々の所その次の子供世代くらいまでしか社会の形成は出来ず次第に生まれる人の数も少なくなる。そうならないように社会を建て直すためレプリカで数を補い、ヴァンは社会を形成する腹積もりなのだ・・・ヤツ自身が見下している、そのレプリカでな・・・」
「そんな・・・アリエッタ、知らなかったです。レプリカでそんなこと、謡将がする気だったなんて・・・」
・・・まずはと１つ本題に行く前のクッションを。リグレットはこれからレプリカ技術で何をやろうとしているかを追加で語り、アリエッタはそれも聞いてなかったとヴァンの心中を知らなかったと悲しそうに目を伏せる・・・だが次こそが言わなければならないことの本題、その為にもと決意するためリグレットは決心をつけて頷く。
「・・・それとアリエッタ・・・これは嘘などではない・・・心して聞いてくれ・・・」
「・・・何を、ですか・・・？」
「・・・２年前に導師が一部の者を除き自室から出てこず、ダアトに姿を現したときにはお前は導師守護役を解任されただろう。その裏にはどのような事情があったかを、お前は分かるか？」
「っ・・・それは・・・わかんない、です・・・リグレットは知っている、んですか・・・？」
「・・・それはだ」



「・・・２年前に被験者の導師は、病に犯されて・・・死んだからだ」



「・・・えっ・・・えっ・・・！？」
・・・慎重に確かにはっきりと、リグレットはアリエッタにとって何より残酷な事実を段階を踏んで口にした。だがその言葉があまりに現実味がないと感じたのか、アリエッタはキョトンとしてイオンを見るがそこにある苦く悲しげな真剣な眼差しににただの冗談ではないと困惑が生じリグレットを交互に慌てて見る。
「どういう事、ですか・・・リグレット、イオン様・・・！？」
「・・・これはヴァンから聞いた話だが、きっかけは導師が体調を崩し始めた頃にモースを導師が呼んだらしい・・・そこでヴァンはモースに命じられ、導師の・・・レプリカを作ることとなったのだ」
「っ！？じゃあ、まさか・・・！」
「・・・そう・・・それが、僕です」
「！そんな・・・っ！」
互いを見ながら焦り問い掛けるアリエッタだがリグレットの前置きにもう認めたくない結論が出ていたのだろう、問いの答えを聞きハッとしたその姿にイオンがその考えを悲しげだが確かに肯定し首をイヤイヤと振りながらアリエッタは涙をまなじりに浮かべたまらず後ずさる。
「・・・何でそんなことを、イオン様が・・・っ！？」
「話によれば導師の死は秘預言に詠まれていたらしく、その預言によればその後は導師の座が空位になるとのこと。それで導師の発案によりモースに自分のレプリカを作るよう命じたとのことだ」
「・・・ですがその事実を明かせばダアトが混乱に陥るのは必然。だから僕はその事実を話さないように言われてきましたし、モースもけして公にしないようにと手を打ちました。それが・・・」
「アリエッタが導師守護役を解任された理由、ですか・・・？」
「モースは恐れたのだろう。お前が口には出さずとも何か勘繰られるような態度を取ることを。だから今まで近しく導師と接点のない者を使いその者から以前の導師と違うと悟らせないよう選んだ人選がアニス、だったのだろうな」
「そんな・・・！」
・・・被験者のイオンの死、その事実の隠蔽。自らに伏せられたその事実を近しい関係者と当事者に偽りなく聞かされたアリエッタは、力を無くして地面に膝から崩れ落ちる。







．