必然は偶然、偶然は必然 第十一話

「・・・とは言ったものの、まずは何から話しましょうか・・・」
・・・だが話の口火を切ったはいいものの、イオンはどういう順序で話すべきだと首をひねる。ここで話の順番を間違えればアリエッタに深い傷を負わせてしまう、下手な事は言えないと慎重に悩みながら。
「・・・なら横から失礼する形になるが、まずは私から注意しておくべきことを伝えておこう」
「え・・・?」
「アリエッタ・・・これから話す話には嘘偽りはない、そしてけして君にとっていい話とは言えないが聞かなければならない話でもある・・・だから心して聞くんだ、いいね?」
「っ・・・はい・・・」
「・・・すみません、ウッドロウさん・・・」
そこにウッドロウが割って入りながらも視線を合わせるよう腰を屈め真剣に覚悟を決めるように言えば、アリエッタは最初戸惑いこそしたもののその真剣さに押されコクりと重く頷く。そんな覚悟をしてもらう配慮に満ちた行動にイオンが口内で礼を小さく言えば、意を決してアリエッタに視線を向ける。
「・・・ではお話しします。まずはですがアリエッタ、貴女はレプリカ技術がどのような経緯で使われているかをご存知ですか?」
「えっと、それは・・・アリエッタ、その、ルークがアッシュのレプリカだってことくらいしか知らない、です。それと、近い内にアリエッタの為にフェレス島をレプリカ技術で作って、復活させるってことくらいしか・・・」
「そうですか・・・」
そこからまずはとどれくらいのレプリカ技術に対する知識量があるかと問えば、案の定ヴァン達のやっていることのほぼ全容を知らされていない現状で、尚且つ言い方は悪いが目の前に餌をちらつかせ協力したくなるよう仕向けた内容。フェレス島を復活させるのはずっとイオンのとこに行けないアリエッタのやる気を出させる為なのであろうが、そのやり方では都合よく飼い殺しにされて結局アリエッタの望まぬ結末で終わりがオチだとイオンは険しい表情で眉を寄せる。
「・・・では詳しくはお知りではないのですね、ヴァン達のやろうとしていることの最終的な目的を」
「・・・目的?」
「はい、貴女はそれを聞かないままにヴァンに付いていたのでしょう・・・リグレット、その目的は貴女が詳しくお話ください。これは僕が話すより長い時をヴァンとともにいた貴女が話していただけたなら、彼女も納得していただけるかと・・・」
「・・・わかりました、話ましょう」
・・・ならば教えるしかない、今こそヴァンの目的を。だがそれを自分の口から言えば信じられないかもしれないと慎重を期しリグレットに話すよう願い出れば、リグレットもその役割に重く頷く。















・・・そしてリグレットから語られるヴァンの目的及び行動・・・ルークとアッシュの入れ替え、それは超振動が欲しくて預言を騙す為にやったこと。本来だったならルークを使いアクゼリュスを住民全て巻き込んだ上でパッセージリングを壊し、この近辺一帯を消滅させるのが狙いだったこと。それから先はイオンを引き連れパッセージリングの封印を解きつつ預言を重んじる世界全てを魔界に落とし、消滅させるつもりだったということ。そして最後にホドの土地をレプリカ技術を持って復活させ、レプリカで作った人間を用いて預言に縛られない新たな世界を作ることが最終的な目的だということを・・・






「・・・ということだ」
「そ、んな・・・謡将がそんなこと、を・・・」
「信じたくはない、のだろう。お前をよくしてくれたヴァンを・・・だがこれは事実だ」
・・・そして話が終わり愕然と泣きそうな声を上げ目を潤ませるアリエッタに、リグレットは言葉を選ばず率直な答えで返す。








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