必然は偶然、偶然は必然 第十話

「どうした?どうして何も言えねーんだ?俺はただ聞いてるだけだぜ。ティアかイオン・・・どっちが悪いかってな」
「・・・」
「・・・何も言うつもりはない、か?それとも何だ?ただ俺が言ったことが気に食わなかったから反発しただけ、が正解か?もしかして」
「っ・・・!」
「図星、か。随分と分かりやすい反応だな、ガイ」
どっちが悪いか、ルークを除いたならどう思うか。そう聞けば閉口して目を反らすばかりで答えれずにいるガイに、自身が気に入らないだけだろうと言えばわかりやすくビクッと反応させる。その様子にルークは呆れと失望を混ぜた声をぶつけていく。
「なぁガイ、お前よく考えも無しに俺にそんなこと言えたな。つーかそれ俺に失礼ってだけじゃなく、イオンにまで失礼だってわかんねーか?」
「・・・え?」
「え、じゃねーよ。イオンの言ったことはダアトの人間として言ったことなのに、そんな個人的な感情でティアの罪がなかったどころか俺が全て悪いだろうみたいな言い方をした」
「そんな・・・俺はそんなつもりで言ったんじゃ・・・!」
「つもりじゃないとか言い訳にならねーよ、勘違いすんな。主張ってのは感情はこもってるのいいとは思うけど、中身がこもってなきゃ何の意味もねぇ駄々をこねるガキ以下の行動だ。そしてそんな行動を本来立場的に関わっちゃいけないはずのお前が取ってしまった・・・考えてみろ、屋敷の中で重要な話をしてる時に横からしゃしゃり出てそんな行動取ったとしたらお前の雇い主でもある屋敷の主の父上はそんなことを許すと思うか?」
「っ・・・それは、公爵は許してはくれないだろうな・・・」
続々責める言葉をぶつけていくルークは例えとしてファブレ公爵の事を口にすれば、ガイは流石に公爵を出されては許されないだろうと口にする。ただその目に一瞬憎悪がこもっていたのをルークは見逃さず、更に畳み掛ける。
「許される訳はない・・・それが分かってるんなら何でお前イオンに対してそんな態度取れたんだ?」
「えっ・・・?」
「だってイオンは導師な訳で立場的に言えばキムラスカにマルクトの両陛下と比べても遜色ない立場にいるわけじゃん。そもそも俺は公の場じゃない時は対等な立場で互いに話そうって事になってるからまだいいけど、お前イオンにそんなフランクにしていいとか言われたか?ティアにアニスはダアトの人間だからまだしもジェイドだって言葉使いをちゃんと改めてんだ。なのになんでお前そんな自然に言葉使いをフランクにしてんだ?百歩譲って今までイオンが何も言わなかったにしても、ハッキリ言ってさっきの態度含めておかしいぞお前。普通楽にしていいとか言われても偉い人の前でちゃんとした態度を崩さないのが使用人ってもんじゃないのか?」
「そ、それは・・・」
・・・公爵に取るべき対応は導師にも取るべき、それを例え本人から咎められなかったからと言って気を抜いた態度はいかがなものか?



段階を踏まれて使用人としてどころか人としての態度の悪さを指摘され、またガイは何も言えずにキョロキョロとする。ただ周りを見てもイオンに対しての態度を思い返しあぁと今頃になって納得しているのか、味方と言えるはずのティアにアニスにジェイドは擁護の言葉が出てくる様子はない・・・まぁ擁護の言葉が出た所でルークと違ってガイは、と言った自分本意の味方びいきの声しか出ないだろうから構う必要はないだろう。











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