必然は偶然、偶然は必然 第十話

「・・・という訳、だそうだ。導師に自身の信頼する教官、その二人から直々にお前の不出来を嘆く言葉をいただいた訳だが・・・それでも尚、お前は自分の態度は間違ってないと堂々と胸を張って言えるか?」
「・・・・・・っ」
「・・・何も言えない、か。ふん、随分と都合いいなお前。散々人を色々罵っといて自分が責められた途端、口をつぐむなんてな」
「おい、ルーク。それくらいにしろよ、ティアも悪気があってやったことじゃ・・・」
「悪気がないから全てを許せ、という次元で僕は話をしていませんよガイ。ルークの言っていることは全うな主張です。それを事態に全く関係ない貴方に止められる謂れなどありませんよ」
「え・・・っ!?」
そんなティアに責めるよう言葉をぶつけるルークに弱り俯く姿にガイが語気を少し荒くしなだめようとするが、イオンがその言葉が場違いだと口を挟む。
「僕が今言ったのはダアトの神託の盾の一兵士として、あるまじき態度を指摘したまでのこと・・・それを被害者であるルークも感じて汲み取り同調してくれましたが、貴方はティアの擁護に出た・・・それでお聞きしますが、貴方は僕の言葉を否定出来る程の材料をお持ちの上でティアをかばわれましたか?」
「そ、それは・・・その、俺はティアがミスをしただけでそこまで言われる程じゃないと思ったから・・・」
「それだけですか?だからと言ってルークが責められる謂れは無いとは思いませんか?」
「た、確かにそうだが・・・だからってあんな言い方は・・・」
「なぁガイ。さっきからお前の話聞いてっと、どうあっても俺が悪くねーと気が済まねぇって言ってるようにしか聞こえねーのは俺の気のせいか?」
「っ!?」
そこからイオンがティアの方が悪いと言っても尚食い下がる様子を見て、ルークは以前から思っていた自身が悪いのが前提という見方で見るガイの考え方をジッと苛立ちの眼を浮かべながら上げる。
「どうなんだ、おい?」
「い、いや・・・俺はただちょっと、言い過ぎだろうと思って・・・」
「へー。だったら百歩譲って俺の言い方が悪いのは認めた上で、それを抜いてお前はティアのやったことはどう思ってんだ?答えてみろよ」
「え・・・?」
その眼のままにジットリ責めていけば視線をさ迷わせ直視を避けようとするガイに、ルークはまた以前から考えていた自身以外へのメンバーの犯した罪の重さを軽く見るその考え方を利用して攻めるよう口を開いていく。
「え?じゃねーよ。だってお前は俺の言い方が悪いみたいに言ってるわけだろ。だったらそれ抜きでイオンがティアに言ったことに対してどう思ったか答えろよ、今さっき言われた事だから忘れたなんて言わせねーぞ」
「そ、それは・・・」
全て自分という因子を抜いたら、その考え方をしろと言うとガイはしどろもどろとルークのせいに出来ないことで何も言えずに視線をさ迷わせる。
(・・・やっぱガイはマルクトの貴族として活動すんのは無理だな。こいつは自分の悪いところを探すより、自分より立場が良くない人間を上から見て言葉だけ優しく言っときながら悪いのは相手だって堂々と言ってのけるからな・・・ジェイドにも言えることだけど、そんなんだからピオニー陛下から政治から引き剥がされたんだよ・・・)
そんな光景を見ながらもルークは考える、かつて譜石帯より見ていたマルクトでのガイの行動の事を。










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