必然は偶然、偶然は必然 第十話

「んー・・・まず何から話した方がいいかな・・・つーか誰からいっていいかわかんねぇな、順序」
「な、何を言ってるの貴方・・・私達は何も言われるような事はしてない、貴方がわがまま言うから・・・」
「あぁちょうどいい、うっさいからお前から行くぞティア」
「えっ・・・!?」
ティア達をびびらせ辺りを見渡しながらルークは考えた、誰からターゲットにするかを。だがティアが恐る恐ると言った様子で尚もお前が悪いと言ったことで、ルークは最初をティアとすると冷たい視線で射抜くよう見据える。
「俺の態度がわがままっつーんならお前が俺に対して全く改めようともしないその自分は俺と対等の立場だって態度はなんだ?答えてみろ」
「それは、当然じゃない・・・」
「なんでだ?」
「えっ・・・?」
「だからなんでだ?っつったんだよ。いつから俺とお前が対等の立場に立つことが決まった?答えてみろよ、ちゃんとした理由を」
「そ、それは・・・なんでそんなことを聞くの・・・?」
「だってそうだろ?初めからお前そうだったじゃん、ファブレっていうお前ん家じゃない人ん家に入って散々迷惑かけただろ。それで罪の意識も何もない犯罪者が全く被害者の俺に遠慮しねーっつーんなら話わかんだけど、お前迷惑かけたっつって一応申し訳ないみたいな感じに言ったじゃん。けどお前そんな俺相手に丁寧に下手に出るどころか、一回たりとも自分はお前より上の立場だって姿勢も口調も出さずそうやって終始通してたろ?それもイオンに一回タルタロスで捕縛された後も全く懲りた様子もなく。あれ、確かファブレ襲撃の件でお前捕まったよな?」
「え、えぇ・・・」
「でだ、お前も知ってる訳だろ?俺がそのファブレ襲撃の被害者だって点は?普通ここで改心したっつーんならあってもよかったんじゃねーのか?口調もちゃんと正して、『申し訳ありませんでした』ってくらいはな。けど神託の盾の襲撃でその捕縛から逃れた後、俺は一回たりともそんな言葉を聞いた事はなかった。それって言ってみりゃ俺を軽く見ただけじゃなくイオンの顔を汚した事になんだぞ、罪を償うべき相手に対しての姿勢を見せるために導師は処置を施したのに当の本人は全くそんな気を見せてないって事でな」
「えっ!?・・・イ、イオン様の顔を汚した・・・!?・・・そ、そんなこと私は・・・!」
「ルークの言う通りですよ、ティア」
「イオン様・・・!?」
・・・そこから俺とお前は対等な立場かと理路整然と自分の言葉を用い話すルークにティアは一方的に押されていたが、イオンの名前が出たことに動揺しながらも否定を返そうとする・・・だがその言葉はイオン本人の肯定により、先を言えなくなった。
「ティア、悪いことをしたら謝るというのは子供でもわかることです・・・ただそれが通じるのはあくまで子供の話で、大人はただ謝るだけでは物事を納める事は出来ません。それに軍属という年齢を言い訳に出来ない所に所属していて加害者である貴女なら尚更です・・・考えなさい、ダアトの導師として僕は貴女をバチカルでキムラスカ軍に引き渡しました。本来国をまたいで罪を犯せば余程悪質な理由でない限り、その国に判断を委ねるのが普通です。ただ貴女にヴァンはモースの口添えもあってなんとか減刑の機会をもらい、このアクゼリュスへ付いてきた。その件について僕の意向がないのはまたモースにも問題がありますが、そこは置いておきます・・・ですがそこでティア、貴女はキムラスカの代表として派遣されたルークに対して一度でも敬語を使いましたか?」
「・・・いえ・・・」
「・・・だからそれが僕の顔を汚したと言ってるんですよ。貴女はファブレにひいてキムラスカに多大な迷惑をかけ名目としては罪人と言えるような立場でアクゼリュスに向かったのに、当のファブレ関係者でキムラスカ代表として派遣されたルークを全く敬う事も言葉遣いも改めず自分の考えが上だと半ば罵るような言葉すら投げた・・・正直、僕は目も向けられませんでした。心情としても立場としても絶対に上に立つべきではない相手に対して対等以上の言い方で物を言っていた貴女とルークが対等である理由など、どこにもないというのに・・・」
「イ、オン様・・・」
そこから子供に諭すよう物事を語っていたイオンだったが、敬語の有無を聞いた後のあからさまな落胆から手で顔を覆うその姿にティアは話の中身が正当だったのもあるがイオンの失望を買ったという大きすぎる事実に言い訳も言えず愕然と名を呟く。







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