必然は偶然、偶然は必然 第九話
「イオン様っ・・・見てないで離せって言ってくださいよぉ・・・っ!」
「・・・なんですか、アニス?」
「・・・えっ・・・?」
すぐさま自身を助けろと批難めかせてアニスは言うが、イオンはそんな声を出すこと自体訳がわからないと言ったように冷ややかに見据える。
「そもそも不当な扱いと言うのであれば僕はディムロスさんが貴女を押し倒した時点で声を上げてます。ですがそうしないのはそうすることを認めるだけの理由が僕にもあるからなんですよ」
「っ!・・・えっ・・・!?」
アニスは何事かと声を上げるが、意味深に語る不穏な響きのイオンの言葉に一瞬不安に顔を染めかけるが何のことかと動揺残る顔で何のことなのかととぼけようとする。
「まぁ後でそれは説明します、アリエッタも一緒にね・・・では皆さん、行きましょう」
「・・・はい、です」
そんなアニスを見ないよう先に行くとイオンが言えば、アリエッタがどこか緊迫した面持ちで頷く。
・・・そのやり取りをきっかけに一同は動き出す、やはりディムロスに隙なくアニスは腕を取られ拘束されながら歩かされる形で・・・
・・・そしてアッシュを見張っていたセネルと合流したルーク達が向かったのはアクゼリュスより少し離れた地に悠然と佇んでいたタルタロス。そのタルタロスから誰も神託の盾が迎撃に来なかった事にアニスとアッシュは何故だとギャンギャン叫んでいたが、それには勿論訳がある。
・・・元々アクゼリュスはヴァン達が崩落をさせることを前提にした土地であるが、それは正直な話で厳密に言えばヴァン一人がいれば事足りる事である。何故ならルークを操り超振動を使わせればいいのだから、そこにヴァン達の兵力である神託の盾の多大な戦力は必要ないのだ。だから神託の盾はティアを連れていくための分の兵力くらいしかこのアクゼリュスには連れてこなかった。その後の計画の予定もある為に。
その事をルーク達はタルタロスが魔界に落ちても六神将が無事だったことに加え、神託の盾の兵力が少なくなったように感じなかった事からここに来た時のタルタロスはほぼ空き家同然の物ではないかと考えていた。ただ無論推測だけではと思ったルークはデオ峠の時にリグレットにその事を確認した上でウッドロウにマルクト軍とともにタルタロスの制圧も頼んだ結果が、これであった。
・・・情報と推測を併せて駆使した上で収まるべき所にして収まった結果、だがそれをアッシュ達に言ってやる気など毛頭ない。ルーク達は何か訳を説明することもせず口うるさい二人の声を流しながら、タルタロスの中へと入っていく。
・・・それで中に入ったルーク達がマルクト軍兵士の動き回るタルタロスの中、向かった先はブリッジ。そこでルーク達が中に入れば・・・
「「ルーク!?」」
「・・・」
マルクト軍兵士の背後での監視の下、並ばされて後ろ手に拘束され膝立ちで座らされたティア達がいた。ブリッジに入ってきたルークを見つけるとティアとガイの二人はまさかと言った声を上げ、同じマルクト軍兵士に拘束されているジェイドは何も言わない代わりに鋭い視線を静かにルークに向けている。
「ん?どうした?なんか俺に用か?」
「ルーク、この状況は一体なんなの!?私はマルクト軍に捕らえられるような事はしていないわ!・・・っ・・・それに、なんで教官が・・・」
「・・・」
「・・・はいはい、ちゃんと説明してやっから一個ずつな」
そんな状態を全く意に介さずとぼけるルークだが、ティアは言いたいことを言うことに必死な表情を浮かべるが・・・その時敬愛する教官の顔がルークの後ろに見えティアの表情から勢いが削げて曇るが、リグレットの顔も曇る。だがそれはティアへの同情の色ではなく、むしろタメ息を吐きたそうな苦々しい色だ。
そんなリグレットの気配を後ろから感じながら、ルークは適当になだめの言葉をかけつつ話を始める。
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「・・・なんですか、アニス?」
「・・・えっ・・・?」
すぐさま自身を助けろと批難めかせてアニスは言うが、イオンはそんな声を出すこと自体訳がわからないと言ったように冷ややかに見据える。
「そもそも不当な扱いと言うのであれば僕はディムロスさんが貴女を押し倒した時点で声を上げてます。ですがそうしないのはそうすることを認めるだけの理由が僕にもあるからなんですよ」
「っ!・・・えっ・・・!?」
アニスは何事かと声を上げるが、意味深に語る不穏な響きのイオンの言葉に一瞬不安に顔を染めかけるが何のことかと動揺残る顔で何のことなのかととぼけようとする。
「まぁ後でそれは説明します、アリエッタも一緒にね・・・では皆さん、行きましょう」
「・・・はい、です」
そんなアニスを見ないよう先に行くとイオンが言えば、アリエッタがどこか緊迫した面持ちで頷く。
・・・そのやり取りをきっかけに一同は動き出す、やはりディムロスに隙なくアニスは腕を取られ拘束されながら歩かされる形で・・・
・・・そしてアッシュを見張っていたセネルと合流したルーク達が向かったのはアクゼリュスより少し離れた地に悠然と佇んでいたタルタロス。そのタルタロスから誰も神託の盾が迎撃に来なかった事にアニスとアッシュは何故だとギャンギャン叫んでいたが、それには勿論訳がある。
・・・元々アクゼリュスはヴァン達が崩落をさせることを前提にした土地であるが、それは正直な話で厳密に言えばヴァン一人がいれば事足りる事である。何故ならルークを操り超振動を使わせればいいのだから、そこにヴァン達の兵力である神託の盾の多大な戦力は必要ないのだ。だから神託の盾はティアを連れていくための分の兵力くらいしかこのアクゼリュスには連れてこなかった。その後の計画の予定もある為に。
その事をルーク達はタルタロスが魔界に落ちても六神将が無事だったことに加え、神託の盾の兵力が少なくなったように感じなかった事からここに来た時のタルタロスはほぼ空き家同然の物ではないかと考えていた。ただ無論推測だけではと思ったルークはデオ峠の時にリグレットにその事を確認した上でウッドロウにマルクト軍とともにタルタロスの制圧も頼んだ結果が、これであった。
・・・情報と推測を併せて駆使した上で収まるべき所にして収まった結果、だがそれをアッシュ達に言ってやる気など毛頭ない。ルーク達は何か訳を説明することもせず口うるさい二人の声を流しながら、タルタロスの中へと入っていく。
・・・それで中に入ったルーク達がマルクト軍兵士の動き回るタルタロスの中、向かった先はブリッジ。そこでルーク達が中に入れば・・・
「「ルーク!?」」
「・・・」
マルクト軍兵士の背後での監視の下、並ばされて後ろ手に拘束され膝立ちで座らされたティア達がいた。ブリッジに入ってきたルークを見つけるとティアとガイの二人はまさかと言った声を上げ、同じマルクト軍兵士に拘束されているジェイドは何も言わない代わりに鋭い視線を静かにルークに向けている。
「ん?どうした?なんか俺に用か?」
「ルーク、この状況は一体なんなの!?私はマルクト軍に捕らえられるような事はしていないわ!・・・っ・・・それに、なんで教官が・・・」
「・・・」
「・・・はいはい、ちゃんと説明してやっから一個ずつな」
そんな状態を全く意に介さずとぼけるルークだが、ティアは言いたいことを言うことに必死な表情を浮かべるが・・・その時敬愛する教官の顔がルークの後ろに見えティアの表情から勢いが削げて曇るが、リグレットの顔も曇る。だがそれはティアへの同情の色ではなく、むしろタメ息を吐きたそうな苦々しい色だ。
そんなリグレットの気配を後ろから感じながら、ルークは適当になだめの言葉をかけつつ話を始める。
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