必然は偶然、偶然は必然 第九話

「ご無事で何よりです、ルーク殿」
「グレン将軍。貴方が来てくれたんですね」
「はい、本来でしたら父もこちらに向かいたいと言っておりましたが父はセントビナーにてグランコクマより来る本隊をお待ちしています。故に私が父の指示の下、先行してセントビナーの兵を連れこのアクゼリュスへと参りました」
「そうですか、ありがとうございます」
そこにいたのはルークの前に歩み出てきたマルクト軍の兵を引き連れたグレン将軍で、気遣いの声とともに敬礼をしてくる。笑顔で答えるルークにグレン将軍は何故自身が来たのかの経緯を説明し、ルークは父親であるマクガヴァン元帥と似ていないその堅物な様子に好感を感じていた。
「ではルーク殿、これよりは我々が住民の皆様方の救助に取り掛かります。そちらの方も我々が介護致しますので、こちらに」
「はい、ありがとうございます」
そこからルークが背負っていた人を渡すようにグレン将軍が勧めれば、ルークも素直に背中を向けグレン将軍は優しく住民を引き取る。
「・・・我々はこれよりアクゼリュスの住民の救助活動に入る!皆、急ぎ行動せよ!」
「「「「はっ!」」」」
そしてグレン将軍はマルクト軍に振り返ると声を張り、救助活動の開始を命じる。その声にマルクト軍全員が敬礼を返しアクゼリュスの中へと各々散らばって走っていき何人かはクラトス達の背負っていた住民を受け取って離れグレン将軍も場を離れるが、ルークはそのマルクト軍のいなくなった入口付近に2つの姿を見つける。
「あれ?リグレットにアリエッタ・・・どうしたんだ、そんな後ろにいて?」
「いや、少しな・・・」
そこにいたのはリグレットとアリエッタの二人だったが、何故姿を見せていなかったのか・・・ルークはそれに首を傾げるが、リグレットは微妙そうに顔を歪める。
「・・・ってあれっ!?なんでルーク様、その二人と普通に話してるんですかぁ!?」
「ん・・・あぁ、いたな。そういや」
だがリグレットが訳を言う前にアニスが二人と何故普通に会話をしているのかと空気に流されずに大声を出すが、ルークは思い出したかのよう冷めた顔を向けると・・・
「悪いディムロス、頼んだ」
「あぁ」
「えっ・・・きゃあっ!?」
‘・・・ズザッ!’
すかさずディムロスに何をと言わず声をかければ、アニスにディムロスはスッと近寄り腕をひねりあげトクナガをでかくさせる暇もなく地面に押し倒しその体を背中に乗せ抵抗の間も与えずに終わらせた。
「な、何をするんですか・・・!?」
「ん、やられてわからないか?拘束だよ、ちょっとやることがあるからな」
「やることって、何を・・・!」
「まぁ色々だけど・・・とりあえず、だ。ウッドロウ、タルタロスの奪還は成功してんだろ?」
「えっ・・・!?」
地面に這いつくばらせられたままアニスは抗議の声を上げるがルークはわかるだろうと当然のように言いつつも、更なる抗議の声がかかる前にウッドロウにタルタロス奪還の事を聞きアニスを驚愕させる。
「あぁ、今は少し離れた場所に置いてある。行くなら案内するが、セネル君はどこに?」
「セネルはアッシュと一緒にいっから、呼んでから行くか・・・じゃあディムロス、アニスは頼んだ」
「心得た」
「つっ!・・・な、なに・・・なんなのぉ、一体・・・!?・・・っ!」
ウッドロウはその声にもう表向きの敬語を使うこともせずに肯定しながらもセネルがいないことを口にし、気楽にセネルを迎えに行ってから行こうと言うルーク。その上ルークからアニスを連れていくよう頼まれたディムロスがその腕を引っ張り上げるようにして体を上げさせると、アニスは痛みに顔を歪めさせるがすぐさま先の展開が見えない事に恐怖で顔を歪ませる。だがふとアニスの視界にある姿が映る・・・そこにいたのはイオン。







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