必然は偶然、偶然は必然 第九話

「この屑がぁっ・・・っ!?」
「その手を剣からどけてもらおうか」
「「「っ・・・!」」」
すぐさま沸点を振り切り怒りで剣に手をかけようとしたアッシュ・・・だがクラトスがその動きを読みきり鋭い目で自身の剣をアッシュの首元に瞬時に突き付ければ、アッシュだけでなくティアにアニスの動きも驚愕で停止する。
「くっ・・・!」
「それでいい・・・さて、このまま勝手な行動をされても面倒だが・・・どうされますか、導師?」
「そうですね・・・」
その状況から下手な抵抗は命が危ないと感じたのか苛立たしげに手を離すアッシュに、クラトスは丁寧に後の対応を後ろのイオンに問う。
「・・・このままアッシュを放置してもまた勝手な理屈をつけて僕ら、もしくはルークを襲いかねません。ですのでセネルさん、アッシュを縛って連行してください」
「わかりました」
「っ・・・おい、導師・・・!」
「何ですか?ここで貴方を離したところで今言ったような行動を取るのが関の山でしょう。あぁ否定してもしなくても構いません。どちらにしても貴方を信用する気など僕にはありませんから。それでも拘束から逃れたいというならどうぞご自由に・・・クラトスさんの剣から逃れる自信があるのならね」
「「「・・・っ!」」」
そして考え込んだ上で出した拘束という結論をセネルに頼むとセネルも快く了承するが、すかさず剣に気を向けながらもアッシュは抗議の声を上げてくるがイオンは厳酷な判断を変える気はないと冷笑を浮かべて言うと3人はまた共通して引いたように驚愕する・・・察するに今までのイオンと違いすぎて、どう反応していいかわからないのだろう。
「さて、そろそろここを出ましょう。住民の皆さんの救助活動に戻らねばいけませんし、ウッドロウさん達にもそろそろ動きがあってもいいころですしね」
「え、あ、はい・・・」
そんな空気など全く見ないフリをしてイオンが戻ろうと言えば、アニスはしどろもどろに同意してティアもコクコクと微妙そうな表情で頷く。それでその様子を見ていたルークのもとにいつの間にかディムロスが隣に付くよう移動し、セネルはいつの間にか取り出したロープを持ちながらアッシュに近付きすぐさま拘束にかかる・・・セネルも伊達に船の扱いに長けていた訳ではない、船を扱うにあたってロープを使う作業に慣れていた為にすぐに拘束は完了した。
「さぁ行きましょうか」
「あぁ」
その光景を見届けイオンが改めて戻ろうと口にすれば、ルークも同意して先を歩き出す。
「・・・くそが・・・っ!」
「うるせぇ・・・」
それで一同はすっきりしてる者もしてない者も含め先を歩き出すのだが、最後尾をロープでしっかり体を結ばれセネルに引っ張られたアッシュはやはり今の現状に苛立ちながら愚痴をこぼしその様子にセネルはひっそりと眉を歪めていた・・・






(・・・ルークよ)
(ん、ローレライか)
そして再び坑道を戻っていくルークの頭の中にローレライの声が響く。
(どうした?)
(ウッドロウ達の様子を伺っていたが、あちらも接触及び奪取に成功した)
(だろうな、元々ここは崩落させてなんぼって場所だからあれは楽にいけると思ってたし順当だろ)
それで通信をしてきたわけを問えば簡潔に成功と返され、ルークも特に喜ぶでもなく当然だろうと言ってのける。
(それでだがもう少しすればこちらにウッドロウ達が来る手筈となっているが、それまでどうするそちらは?)
(・・・時間があんなら坑道にいる人達を少しでも無事に外に連れていけるようにするよ。なんだかんだまだ中に残ってる人は動けずにいるわけだからな・・・ウッドロウ達が来るまでは救助活動に準じるよ)
(そうか・・・わかった、イクティノスを通じてウッドロウとハロルドにはそう伝えよう)
(あぁ、頼む)
そこからウッドロウ達が来るまでの時間の使い方を問うローレライに、ルークは掛け値抜きの本音でアクゼリュスの人達を自分で助けたいと言う。ローレライもそれを了承し伝言の為に話を切ろうとした時、ルークは礼の言葉を言いまた真剣に前を見据える。自分にやれることを今後悔しないでやりきるために・・・









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